9月20日(月曜日)
朝8時、市内南部にあるホテルから本多さんと二人、タクシーに乗り込む。今日から北京大学で行われる日本財団グループの支援事業の関係者若手を集めたBABAセミナーのオリエンテーションで日本財団グループに関するプレゼンテーションをするためだが、その前に主催者であるIRCのラジャさんとの打合せも入っている。
北部の北京大学キャンパスまでは通常は一時間弱の距離。しかし、今日は途中で交通事故らしき現場を通ったこともあり1時間半かかってしまう。
北京大学の新校内に出来たばかりのモダンなホテルのロビーで、3人で打合せをした後、徒歩で10分ほどの北京大学国際交流センターに設けられたBABAの会場へ。今回の参加者は13ヶ国から26名。うち、女性が11人。
プレゼンテーションを終えたあと、メインスピーカーとして来てくれていたThe Nationグループの編集副主幹のカビさんと暫し雑談。彼はこの後、モンゴルに行きエルベグドルジ大統領と単独会見する由。何でもハーバード留学時代の知り合いなのだそうな。置き薬事業など日本財団のモンゴルでの事業について説明を求められる。置き薬事業の詳細は、たまたま今回のBABAに参加者として来てくれていた現地NGOワンセンブルウのオユン事務局長に任せ、私はひとり空港へ。 <各国の民族衣装を着て自己紹介する参加者たち>
北京大学から車に乗ったとたん、雨が振り出した。街の様子をカメラに収めようとしていると、運転手がスピードを緩めると同時に、電動式の窓を開けてくれた。丁度オリンピック競技場、所謂「鳥の巣」の前。私がてっきりそれを写そうとしたものと勘違いし親切に気配りしてくれたもののようだ。折角なので一枚パチリ。すると、にっこり笑って窓を閉めてくれる。
中国人にとって今回の北京オリンピックを成功させたことは大変な自信になったようだ。今回久し振りに会った日本留学OBで北京市政府で働くフォンさんが話してくれたのだが、オリンピックの次の目標は北京を世界都市にすることなのだそうな。世界都市という言葉には余りなじみが無いが、どうやら「世界のトップレベルの都市と並ぶような一流の近代都市」、「世界のどこに出しても恥ずかしくないような都市」というような意味が含まれているようだ。気が付くと道路の脇にはあちこちに中国語のスローガン「国際品牌 世界城市」と英語のスローガン「International Brand --- World City」が踊る幟が下がっていた。 <オリンピックの次の目標は北京を世界都市にすること>
しかし、今回の出張でも見たように、表面的には躍進ぶりばかりが目立つ中国にも影の部分が無いわけでは勿論ない。発展から取り残された人々や、政治的な弾圧に抵抗する不満分子の存在だ。笹川会長が9月15日付のブログで紹介しているように(https://blog.canpan.info/sasakawa/archive/2597)監視の目をかいくぐりながらも、中国国内にも反政府運動は存在しているのだ。私自身も今回の滞在中に反政府的な文言が書き込みまれた一元札を見ることが出来た。こちらは会長が見たゴムスタンプのような書き込みではなく、ちゃんとプリンターで印刷したもののようで、殆ど元々の印刷かと見まがうほど。よく見ないと見逃してしまいそうだ。
書いてあったのは「天滅中共開始快快退党団隊大難来時命能保」その意味は、「天が中国共産党を滅ぼすのが始まった。早く、退党せよ。そうすれば、大難が来た時には命が助かるであろう」という物騒なもの。腕が悪いのかカメラのせいか、ピンボケの写真だが、書き込みは2箇所。赤で囲った円の部分だ。 <反政府運動によるものとみられる書き込みのある一元札>
バンコク行きの飛行機のなかではいつものようにタイの英字紙The Nationを所望。トップニュースは昨日開かれたタクシン支持派「反独裁民主統一戦線」による集会のこと。タクシン元首相を失脚させる2006年のクーデターから丁度4年。参加者6000人は4月の騒乱以来では最大規模。タイの方でも、政治的な安定には尚、時間がかかると言うことのようだ。8時 ホテル出発
9時半 ASEANラジャ事務局長特別顧問
11時 BABAリトリート会議
13時半 北京大学出発
17時05分 北京発
21時15分 バンコク着