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大野修一(日本財団)
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犬山城 (01/18)
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カレン州でモバイルクリニックの村を訪問 [2013年04月25日(Thu)]
4月25日(木曜日)
朝6時半、ホテルに迎えに来てくれたミャンマー医師会と組んで実施中のモバイルクリニッック本部のマイクロバスに乗り込む。早朝のヤンゴン市内を北に走り、ティンニュント博士の自宅へ。彼が乗り込んで来る。次いで、プログラムの担当責任者に就任したチーミント博士を拾う。
これから3人で向かうのはミャンマーの南東部、タイトの国境に近いカイン州の州都パアン。カイン州とはカレン州のこと。ミャンマーの中央政府と対立して長年にわたって武装闘争を行って来た少数民族カレン族の住む場所だ。
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<パアンへ向かう途中の街で見かけた老人はまるで仙人の出で立ち>

我々がカイン州政府に提案して始まることになった薬草栽培事業の調印式が明日パアンで行われるので、それに日本財団を代表して私が出席することになったのだが、この機会を利用して、日本財団がミャンマー医師会と組んで昨年10月から始めたモバイルクリニック事業の現場も見せてもらうことにしたもの。
車に乗り込んで来たチーミントさんから、写真入りの最新版事業報告ファイルを渡される。モバイルクリニック事業の最新の報告書だ。昨年11月に開始以来先月末までの5ヶ月間で実施した訪問診療は217回、1万4,000人近い人が診察を受けた等々、彼が早口に説明を始めたところ、先輩格のティンニュント博士がやんわりと制止、現地についてからゆっくり説明してもらうことに。初代事業責任者のティンウィンチョウさんの辞任を受けて、先月、急遽事業責任者に就任したばかりのチーミント博士の張り切り振りが伝わって来た。
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<モバイルクリニック事業ラインブエ支部で説明を受ける>

ヤンゴンを出発して約5時間。12時前に、モバイルクリニック事業ラインブエ支部に到着。支部長のキンマウンラ医師らが迎えてくれた。早速、現地での事業実施状況に付いて、スライドを使っての説明を受ける。
それによると、ラインブエ支部のチームの構成員は全部で12名。キンマウンラ支部長を中心に、この地区でも特にこれまで政府の医療サービスの及んでいなかった地域に52回の訪問診療を実施し、4700人の患者を診察したという。州都パアンに近いこの辺りでは比較的交通の便は良いのだが、ラインブエ郡381の村のうち、1割以上に当たる41カ村は一年中車でのアクセスは無理、とのことでオートバイでの移動に切り替えたのだという。
支部で全体状況の説明を受けたあと、近くの食堂で昼食を取る。そして、現在、医療チームが出張診療を実施中であるというペイネード村へ向かうことに。
0425truck.jpg
<ペイネード村へ向かう道 雨期では通行は困難>

舗装された道を20分余り走ったところで、いきなり未舗装のでこぼこ道になる。あちこちに、轍に深くえぐれた場所が顔を除かせる。これでは、雨期では通行は困難だろうが、幸い今はまだ雨期まで少し時間がある。砂埃を巻き上げて進むクリニックのトラックを追って走ること30分、ペイネード村に到着。村の真ん中の広場のような場所で車を降りる。右手には大きな僧院らしき建物。
ペイネード村の村長と校長先生 民族衣装で迎えてくれた。実は、今日は仏教のお祭りで、そのための民族衣装だとか。近隣の村からも人が集まって来る日なのだそうで、それに合わせてモバイルクリニックによる移動診療が行われるのだ。
0425village chief.jpg
<ペイネード村の村長と校長先生 民族衣装でお出迎え>

ペイネード村は220世帯、人口は1380人。この辺りでは、大きな村になる。全員がカレン族、その約半数は文盲だという。診察の場所は僧院に併設された集会所。早速、覗いてみた。
すると、そこには60人ほどの男女が集まっていた。その約半数は文盲で、ビルマ語は話せないという。ところが、移動診療担当の医師はヤンゴン出身のビルマ族の若者。カレン語は全く分からないので、モバイルチームの一員で、カレン出身の看護婦さんが通訳をする。
村人たちに聞いてみた。このモバイルチームが来てくれるまで移動診療は受けたことが無かった。このように医師の診察が受けられるのは本当にありがたい、という。
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<ペイネード村のお寺でモバイルクリニックの診察を待つ人々>

集まった村人に対する診察が行われている集会所の外の広場では、モバイルチームの別の看護婦さんが大勢の子供たちを集めて手洗いについての講習会を開いていた。
手洗いがなぜ重要か、どのように洗えば良いのか、紙芝居を使っての説明の後、実際に水の入った洗面器を使って子供たちをモデルに実習。最後に、小さな石鹸とタオルを入れたセットを子供たち一人一人に配って終了。
診察をしていた医師によると、この地域では栄養不足の者が多く、貧血症の患者も少なくない。そのために、感染症に対する抵抗力がなく、ちょっとしたことで大事に至る危険が高いのだとか。特に、抵抗力の弱い子供たちにとっての危険は大きい、という。
手洗いの励行はそのような状態の改善への第一歩だ。しかし、安全な飲み水の確保さえままならないのがこの地域の現実だ。まだまだ、前途は遼遠である。
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<村の子供たちを相手に看護婦さんが手洗いの励行に付いて力説する>

ペイネード村モバイルクリニック事業の視察を終えて、でこぼこ道を戻り、舗装道路を通って今夜の宿泊先であるホテルへ。切り立った岩山の麓に立つロッジ式の、なかなか立派なホテルである。
パアン周辺には、何故か垂直に突き出た形の岩山が多い。中国の山水画に描かれているような光景が広がる。パアンには昔は使われていたという小さな空港の跡地も残っているが、今は全く使われていない。しかし今後は、外国企業がヤンゴンとの間の空路の再開を検討しているという話もあり、そうなれば観光地としての開発が有望である。
ホテルに着いて、一足先に薬草事業の調印式の準備などでパアン入りしていた間遠ヤンゴン所長と会って明日の式典の段取りなどについて打合せ。
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<パアンの周辺に広がる岩山は将来有望な観光資源>

06時半 ホテル出発
07時 ティンニュント博士ピックアップ
09時半 休憩
11時45分 モバイルクリニック事業ラインブエ支部訪問
13時 昼食
14時半 ペイネード村モバイルクリニック事業視察
16時半 パアンのホテル到着
17時 間遠ヤンゴン所長打合せ
18時半 夕食 
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