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大野修一(日本財団)
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ファットゥと言う名前の不思議な果物 [2010年04月18日(Sun)]
4月18日(日曜日)

     <日本財団のロゴが付いた自立生活センターの車イス運搬車>

朝9時45分、ラジャさんと一緒にタクシーでハノイ自立生活(IL=Independent Living)センターへ。IL センターは日本財団の支援で昨年から始まった重度障害者の自立生活支援運動の拠点。6階建ての新築ビルを借りきって、ホンハーさんを中心とするハノイの重度障害者たちが自分たちで運営している。障害当事者による障害者への啓蒙活動や、障害者サービスの要となるPA(Personal assistant)講習、介護サービスの提供などが活動の中身だ。ASEANで障害者フォーラムを立ち上げることになり、ASEAN事務局の最高幹部の一人であるラジャさんに自立生活運動とは一体どんなものか見てもらうことにしたもの。
センターの入り口には、日本財団のロゴが付いた自立生活センターの車イス運搬車が停まっていた。私がこの車を見るのは初めて。苦労して日本から持ち込んだ新車である。日本では通常生産しない筈の左ハンドルの車に、電動式のリフトを付けてベトナムまで輸送するという割の合わない仕事を引き受けてくれたのは日産自動車だが、メーカーとの交渉から始まり、無事通関してセンターに引き渡されるまで、一年以上かかったので皆の喜びもひとしお。
ILセンターの事務室には、日曜日にもかかわらず代表者のホンハーさん、事務局長のトゥイさんらが待っていてくれた。パワーポイントなどを使って、ラジャさんのために活動の様子を詳しく説明してくれた。ラジャさんも感心してさかんに頷いていた。

    <自立生活センターではホンハーさんたちが活動を説明してくれた>

午後、タクシーでASEANサミット会場に予定されている国立会議場へ。ホーチミン国立音楽院のフオン院長と合流。この場所に来た目的は明日、文化省で相談する予定のASEANオーケストラの演奏会場としてこの会議場内部のホールを利用する可能性があったための下見。フオン院長から文化省に予め頼んであったので、係の人が特別に内部を案内してくれる。
この「ASEANオーケストラ」とは、昨年11月、ホーチミン市で開かれたホーチミン国立音楽院付属オーケストラのコンサートに、ラジャさんと一緒に招待された際の雑談から生まれたアイデア。史上初めての試みとして、ASEAN各国の音楽家から成るオーケストラを編成し、ベトナムでのASEANサミット開催に合わせてクラシック・コンサートを開催しよう、というもの。その時のコンサートの指揮を務めた福村芳一さん、ホーチミン音楽院院長のフオンさん、ASEANのラジャさんらその場に居合わせた我々の間では、夢の企画に大興奮し盛り上がったのだった。

          <国立会議場の正面入り口階段>

早速、ラジャさんからスリン事務局長に話してもらったところ、是非やろうということになった。彼の夢である、コミュニティーに根ざしたASEAN作りに繋がるからだ。また、駐ASEANのベトナム政府代表も大賛成。今年、ASEAN議長国となったベトナム政府としては、自国の誇れるものをアピールしたいという動機がある。というのも、ASEAN地域には、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピンなど、オーケストラを持つ国も少なくないものの、楽団員の多くが欧米から来た外国人であることが多いのに対し、ベトナムには自国民で構成されるオーケストラが5団体も存在し、しかも、団員は殆んど自国民という事実があるからだ。
指揮者を務めるのは日本人の福村芳一氏。彼は現在、国立ホーチミン音楽院の音楽監督だが、90年代にはベトナム政府の要請によりベトナム国立交響楽団の再建を手掛け、文化功労勲章を授与された経歴を持つ、ベトナムでも大変人気の音楽家。シンガポール、タイ、フィリピン等、ASEAN各地でオーケストラを指揮した経験もあり、今回の指揮者として最も適任だ。


         <国立会議場中最大のホールは3500人収容>

この会議場のメーンホールの収容人員は3500人。このような大きな会場で念願のASEANオーケストラが演奏出来るかもしれないと思うと身震いする思い。ところが、専門家のフオンさんは、「ここの音響効果はいまいち。国立オペラ劇場にはかなわないわよ」と、クールに一言。
そこで、フランス植民地時代の香りが漂う国立オペラ劇場にも足を延ばし、急遽、手配してもらいその内部を見学することが出来た。内部をひとしきり見て回ったあと、外に出て隣接するカフェでコーヒーを飲みながら作戦会議。明日の文化省での会議には、ASEANサミットの文化行事の総責任者を務めるタン次官自身が出席してくれるという。ベトナム政府も真剣に考えてくれているものと思われるが、果たして、どんな結論になるのか。外務省にも伝えておくと支持を約束してくれた駐ASEANのベトナム政府代表は、果たしてどこまで信じてよいものか。ラジャさんもさすがに今回は自信がなさそうだ。
すると、フオン院長が、バッグから不思議な果物を取り出した。「実は今朝、今回の会議の成功祈願にお寺に行ってきたのよ。そこでもらった神聖な果物、ファットゥと言うのよ。このままでは食べれないんだけれど、縁起ものなので一つづつどうぞ」と。冷静に見えたフオンさんも、実は神頼みするほどの心境だったのだ。


         <ファットゥと言う名前の不思議な果物>

曇り空のハノイは4月と言うのに肌寒い。この寒さで、シンガポールでの行き過ぎた冷房で風邪がぶり返した私は絶不調。VNAHのハイさんは精が付くからと夕食にヤギ肉を食べようという。ベトナムでは日本のうなぎのようにヤギ肉が元気の出る食べ物と考えられている。しかし、なかなかヤギ肉を食べられるところは見つからず、結局、すっぽんを食べることに。

10時 自立生活センター訪問
12時30分 保健省マイ博士
16時 国立会議場視察
19時 VNAHのハノイ所長
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