地域共生型の再生可能エネルギー事業、地域新電力などの担い手育成を目指す「飯田自然エネルギー大学」は、5月から第6期授業がスタートしました。
長野県内をはじめ東京、千葉、茨城、愛知などから12人が受講しています。
第1回は、5月30日に飯田商工会議所で対面開催しました。
入学式では、学長を務める諸富徹教授(京都大学公共政策大学院院長)が、飯田市の再エネ事業について、住民や事業者、金融機関、行政が連携して事業を構築して、そのスキームが全国へ拡大していった経過を紹介しました。
「住民の地域を思う気持ちが、再エネ事業を通じて地域を良くしようという取り組みに繋がった」
「メガソーラーが批判される中、再エネを伸ばそうとする人たちは地域主導型、地域共生型で事業を進めていかなければと考えている」
「飯田へ来て、講義や懇親の機会を通じて飯田のスピリットを体得してほしい」と呼びかけました。

入学式に続いて、諸富学長による第1回授業「再生可能エネルギーと地域再生〜地域と共生する再エネ事業とは〜」が行われました。
飯田市で取り組まれた再エネ事業例を述べた上で、現在の太陽光発電ビジネスのコスト面での課題、エネルギー事業による地域経営の事例としてドイツのシュタットベルケ(公益事業体)が紹介されました。
地域と共生した再エネ事業の条件として、地域の自然環境・景観に溶け込むこと、事業の企画や建設運営に地元企業や住民が参加すること、地域外企業や大規模企業が事業を行う場合には自治体が主導権をとって地域に資する事業へ変換すること、専門的な知見をもつ人材や組織などソフトインフラを構築することの重要性を指摘しました。
「エネルギー事業で稼いで、他の事業へ再投資していく」として、日本版シュタットベルケの可能性について言及して講義を締めくくりました。
休憩をはさんで、受講者で地域と共生する再エネ事業についてグループディスカッションを行いました。


この授業の講義部分は、公開講座として一般の聴講者を受け入れて開催しました。
また翌日は事業者による講義として、おひさま進歩エネルギー(株)、飯田まちづくり電力(株)の事業紹介、質疑を行いました。


第2回は6月27日、28日、台風の影響のためオンラインで開催しました。
27日は「エネルギー総論〜エネルギー問題と再生可能エネルギーの可能性」をテーマに、高橋洋先生(法政大学社会学部社会政策科学科教授)から講義を受けました。
化石燃料に依存する現代社会のエネルギー問題や、再生可能エネルギーへの転換の必要性について言及するとともに、パリ協定の背景や日本が目指す脱炭素の目標など、エネルギー政策の基礎について説明を受けました。
28日は、川又孝太郎先生(千代田区役所ゼロカーボン推進技監)、龍野真一先生(長野県環境部ゼロカーボン推進課長)から、国や自治体、県レベルの環境エネルギー施策についてお聞きしました。
千代田区の取組事例や長野県ゼロカーボン戦略をもとに、地域との合意形成や地域課題の解決と一体となった再エネ事業の考え方について理解を深めることができました。
授業は講師の話を聞くだけでなく、グループディスカッションや、講師との質疑に重点を置いた構成になっています。
双方向の対話を通じて講師と受講者全体で議論を深めて、エネルギー事業の課題を掘り下げていきます。
この大学は、太陽光発電や小水力発電、バイオマス事業などの再エネ事業、地域新電力など、地域で新たなエネルギー事業に取り組む人材育成のため、2016年に開校しました。
第6期は1年間で完結するカリキュラム(全11回)で、会場とオンラインを併用して行います。
エネルギー事業の知識だけでなく、資金調達や法律、地域での事業づくりへの理解も段階的に深めて、卒業時には受講者全員が事業計画を完成させます。
第3回授業は7月25日、26日に開催されます。