地域主導型再エネ事業の人材育成を目指す「飯田自然エネルギー大学」は、2022年秋から4期生が学んでいます。
1月20(土)-21日(日)は「地方自治体の脱炭素化」をテーマに、第14回授業を開催しました。
1日目のテーマは「脱炭素社会づくりと地方自治体の行政計画」。
茅野恒秀先生(信州大学人文学部准教授) から、自治体の脱炭素計画づくりの現状と課題について講義を聴きました。

エネルギー問題は「課題が複雑に絡み合う“やっかいな問題”」とした上で、取り組みを進めるには医療保健福祉分野のような多職種の連携が有効として、松本市ゼロカーボンコンソーシアムやドイツカッセル市の事例を紹介しました。
自治体が取り組む基本政策は、「省エネ」「地域主導の再エネ転換」「それらを可能にするインフラ整備」の3点と整理しました。
また、環境部署だけでなく全部署で脱炭素化施策を立案した長野県箕輪町、市街地空洞化をきっかけに市民参加型の対話イベントが続く長野県上田市の取組みも紹介。
地域から流出するエネルギー費用は莫大で、それを地域内に留めるには地域主導型の再エネ事業は欠かせないと呼びかけました。
2日目は長野県、奈良県生駒市の脱炭素化計画の講義を行いました。
長野県環境政策課・室賀課長からは、2021年に策定した「長野県ゼロカーボン戦略」と、2030年度目標を達成するためのロードマップについて説明がありました。
受講生からは「住宅断熱化は重要だが、大工さんが減って若手がいないのが課題。人材育成の計画などありますか」「戦略を裏付けるバックデータの試算はどのように進めたのか」
など質問が挙がりました。

奈良県生駒市の取組みは、SDGs推進課・木口課長補佐より説明いただきました。
同市は環境省「脱炭素先行地域」に選定されて、取組みには地域エネルギー事業者や地域新電力も参加しています。
今後の事業計画では、公共施設だけでなく市内の住宅地2地区も指定されていて、既存住宅地の脱炭素化やコミュニティサービスに取り組む点が、受講生の関心を集めました。

飯田自然エネルギー大学は、2024年6月まで月1回ペースで授業と演習を行い、卒業時には全員が事業計画を立てて発表します。
次回、第15回授業は2月に開催します。