ドイツでの研修3日目はベルリン最後の日。
10月10日9:00〜10:45に訪れたのは、「ギャングウェイ」という非行青少年へのストリートワークを行う団体でした。
実はこのギャングウェイは、私が事前に最も興味を持った団体の一つだったので、ここには書ききれないぐらいに質問をしてきました。
概要としては、1990年に設立。背景としては、東西ドイツ統一によって人種差別・国粋ムードが流れ、噂や差別から身を守るためにトルコ・アラブ系の移民を中心に青少年がグループ化したことがありました。そのギャング達と出会うためにギャングウェイができたそうです。
グループは最大300人、組織統制がとれていてバット・なた・拳銃などの武器を持っており、コンタクトは難しく、ケーサツでも十分に対応できずに政治の方で策を考えました。それまでは通所式の施設しかなかったのですが、300人が施設に来ても対応もできないということで、新しい方式として、ドラッグと同様にストリートで彼らの方へ行くことになりました。ストリートワークは柔軟性が必要で官庁向きではないということで、ベルリン行政ではNGOに委託することにしました。
常勤職員70人、パート50人、その120人の管理職は5人であり、NGOだから上司が少なくて済むそうです。
縦割りではなく、横割り、15のチームがあり各チームは独立して同等の権限を持っています。いくつかの原則があり、「対象は12〜25歳の複雑な生活環境の青少年」「チームでストリートワークをする」「敷居を低く、規則を押し付けない」「常に青少年の側に立ち、権利主義的機関と
は一緒に活動しない」「透明性を保つ」「青少年が自立する」等々です。
質疑の中で、「この設立については、議会が決めてトップダウンでNGOが設立された。その為にロビー活動に強いこと。」「まず新しいことをする時には柔軟性が必要なこと。」「資格なしでの採用でもどんどん再教育・研修が入り、最低でもエデュケイターの資格を取っている」「チームにリーダーというものはおらず、取り組む事例やプログラムによって役割が変わってくること」「前衛的な取り組みなので外部研修は難しく、むしろ外部に発信してほしいと言われること。」「研修は内部で行い、情報交換や議論を行うこと。何よりも実践で学ぶこと。」など多くの学びを得ました。
常に青少年の側に立ち、行動は否定しても人格を否定しない等、青少年との関わりは日本と共通の部分が多い一方で、組織運営や研修、チーム自体の捉え方に独自性を感じました。また、ドイツでもトップダウンが必要になる事例があることを知りました。
この後、昼からはハンブルクへの移動でした。