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ひがなラジオを聴きながら [2015年01月23日(Fri)]
事務局長の10年前シリーズ「木霊の国から」 これなんかもまあ好きなできばえなんですが。
実はあと3ヶ月で完結となります。だって10年前にそうだったからしかたないのです。

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第240回 ひがなラジオを聴きながら 2005/01/21

 雪が積もった時にできる山仕事は枝打ちくらいである。仕事納めにあと3日分だけ残していた県境の奥山の現場は、年明けの大雪で入れなくなってしまったから、町内の山の枝打ちをやることになった。
 安全帯を腰に巻いて、木登り器をふたつ担いで、鋸を持って、{まっすぐな木を見つけて、(木登り器をかけてワン・ツー・スリーでよじ登り)×2回、地上約3mの足場に立って安全帯を回し、手の届く限りの枝をぜんぶ鋸で落とす}×数十回を毎日繰り返す。ひたすら単調な作業である。寒いので汗もかかない。半日かけてテニスコートくらいしか進まないところもある。
 こんな作業にはラジオが欠かせない。続けて同じ局を聞いていると、番組の構成を覚えて、パーソナリティーの声も覚えてしまう。山の斜面の方角によって、NHK第一の日もあれば、RCC(広島)の日もある。朝鮮半島発の強力な周波数の隙間にかすかな日本語を探してダイヤルを合わせる。AMポケットラジオである。アンテナもないから木に抱きついている角度によっては、雑音で途切れてしまう間が長い。なにも全部きれいに聴き取る必要はないから、(雑音)6:(トーク+音楽)4でも、退屈がまぎれればよろしい。ニュースは30分おきに繰り返すから、今わからなくても後で確かめられる。
 ラジオでは「みなさんはどんなことをしながら、聴いていらっしゃるんでしょうか?」って言うじゃな〜い? 今、木に登ってるんだよと応えたくなるけど、携帯でメールをお寄せすることもままならない。山で聴くのにふさわしい番組というのもなかろうが、料理番組や、道路交通情報(全国の高速道路)なんていうのは想像力をかきたてられるから、それなりの趣きがある。健康や文芸や著名人インタビューや風土記といった雑学は確かに身につく。4時に始まる大相撲実況中継をラジオで正しく思い描くには、たいへんな修練が必要であろう。1時間ごとに伝えられる為替と株の動きはいっそワシらには意味がない。

 世の中にはラジオを一日中聴いている仕事の人もたくさんいるのだろう。タクシードライバー、トラック運転手、散髪屋。うちのばあさんも内職のミシンを踏みながらラジオを聴いている。どれもみな頭(思考力)を使わない作業である。
 山の仕事も日常ほとんど思考力は不要だが、完全手作業の枝打ちの日々くらいしか、ラジオを聞くことができない。チェーンソーや刈払機を使っていたら、うるさくてとっても聞こえない。
 (2004/01/21)