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山に消えた三つの時計 [2013年05月01日(Wed)]
10年前の小ネタです。

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第159回 山に消えた三つの時計 2003/04/25 

 山仕事で腕時計は必需品である。はなればなれでやるチーム作業だから、昼飯や終わりの時間を決めて、それぞれ勝手に下りてくる段取りにしておかないと、足場の悪いところをわざわざ呼びに行くようでは迷惑になる。サラリーマン時代の10年以上、腕時計をはめないで暮らしていたのに、こちらではきっちり左手首に日焼けのこりの跡がつくようになった。
 山仕事で腕時計は消耗品である。夢中で動きまわっているうちに、バンドがはずれるのだろう。手袋とか雨合羽とか、その他もろもろ身につけているので、少々の重量変化には気づかない。落としたらもう後の祭りである。見通しのきかない山の中に捜しに戻る意欲はない。そうしてこの春、みっつめの時計を失った。悔やまないように、はじめから3千円くらいの時計にしているのが救いである。

 ひとつめは一昨年の春。昼休みについ外した腕時計をつけてないのに気づいたのは山を下りてから。場所が特定できるのに、現場の最終日だったのでもう行けない。休日に一人で行くには道が険しすぎるのだ。その翌年にもう一度山に入る機会があって捜してみたが無駄だった。
 ふたつめは昨年の春。朝、車を降りてすぐ外れたのだろう。帰りがけに、トラックのタイヤで踏み潰された時計に路上で再会した。
 みっつめは今年の春。雨の日の間伐で、作業中になくなっていた。ばったばった倒したヒノキの下になっていたら絶対に発見不可能である。

 3千円とはいえ、電池3年保証・生活防水なので、ひとつめとみっつめはまだどこかの藪かげで健気に秒針を進めているのであろうと思うとせつなくなる。
 腕時計やネクタイ(もうしないが)など身につけるものは、いくら安くても自分で気に入ったものだけを選ぶ。そんな縁あるものが消えてしまう淋しさを埋めようと、山の神様への供物にしたのだと思うことにしている。時計より何倍も高い腰鉈もすでに2本消えた。(2003/04/25)

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コメント
なくしものはせつなくなる。ねこのぬいぐるみや中身の入った弁当箱…
Posted by: chiyo  at 2013年05月01日(Wed) 21:34