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こどもとおはなしの家

 NPO法人こどもとおはなしの家では、次のような活動をしています。

  *放課後児童クラブの運営 
  *交流事業 
  *学習会 
  *相談・情報提供
  *講師派遣 
  *調査・研究 


プロフィール

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びっくり本箱(17) [2013年12月01日(Sun)]
 僕が何気なく買った一冊の本「船乗りクプクプの冒険」。もともと読書は好きではないし、本当にただ何となく買った。強いて理由をあげるとするなら、とても安い本だったから。さて読んでみるかとページを開けると、あらら? たった数ページしか本文がない。あとはめくってもめくっても白紙だらけだ。やっと、文字が出てきたと思ったら、[作者のあとがき]。しかもその内容を読んでびっくり。作者のキタモリオは、編集者に急かされて筆をとっているけれど、思いつかないし眠いしで、話が書けない。だから、白紙で埋めて、ノート代程度の金額で売り出すだって?


 これは、私が小学生だった時にとても衝撃を受けた本の出だしのあらすじです。

 その本のタイトルは、「船乗りクプクプの冒険」。そうです、主人公のタローが手にした本と同タイトルだったのです。私がこの本を手にしたのは、図書館のリサイクル図書にあったからでした。家に帰って読み始めてみると、この出だしにガツンとやられたのを覚えています。

 え!?主人公が読んでる本って私が今読んでるのと同じもの?びっくりして表紙と文面を何度も確認しました。その上、主人公が読んでいる本の執筆を途中で諦めて編集者から逃げ回っている人物は、私が読んでる本の作者「キタ・モリオ=北杜夫」ではないか!

 物語の中では、タローがその白紙の本の中におちて行き、クプクプになってしまいます。そして船乗りとして数々の困難に立ち向かいながら、キタモリオを探していく。

 読んだのは確か小学5年生の頃だと思いますが、本に作者が居ること・物語はフィクションだと知っていても、この導入から虜になって、クプクプの不思議な世界が本当にあるんじゃないか、キタモリオはまだ編集者から逃げ回っているのではないかと引き込まれたのを覚えています。
 この本はユーモアだけではありません。頭がいいというのはどういう事なのか、文明が栄えることの意味など、要所要所に大事なことが詰まっていました。何度も何度も繰り返して読んだ本です。

 でも、とても大好きな本だったのに、今この本は手元にありません。
 高校を出て引っ越した際にどこかに行ってしまったのでしょう。たまにネットで見かけることもありますが、この本に関して言えば、きっと今購入しても懐かしいと感じて、当時のドキドキ感は味わえないような気がします。
 それよりも、当時感じた何とも言えない不思議な気持ちや、心に残った言葉、読んで感じたことを心に残っているままに大事にしておきたいと思う本なのです。

 衝撃的な導入にも勝るほど、印象強かったシーンについて少し書きます。
 それは、クプクプが不思議な世界で出会った仲間の知識を「頭がいいね」と褒める場面。その相手はこんなことを言います。
 頭がいいのではない。ただ知識があるだけ。本当に頭がいいと言うのは、その知識を生かすことのできる人間。

 セリフはうろ覚えですし、もしかすると全然違う解釈が正しいのかもしれません。それでも、私の中には、大人になった今でもこの場面やその後クプクプが知恵を使って困難を乗り超えていく様が強く残っているのです。

 こどもとおはなしの家にいると、懐かしい本に再びめぐり合う機会がとても多く感じます。
 特に、「内容はすごく覚えてるのに小さい頃に読んでもらったきりでタイトルが思い出せなかった!」という本との再会は嬉しい限りです。
 しかし、中には、「大好きなのに今は読むのをやめとこう・・」と思う本もあるのだなとこの本で知りました。
(Mu)
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