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2016年02月26日

ツーリズムから アガサ・クリスティを読む

首都大学東京 東秀紀 教授 最終講義

ツーリズムから アガサ・クリスティを読む

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日 時: 2016年2月19日(金)   
 所 : 首都大学東京南大沢キャンパス国際交流会館
挨拶: 首都大学東京 学長 上野淳
持ち前の飄々とした文化人で、沢山助けて頂いた。
観光科学の創立に多大な貢献をされ、感謝いっぱい!
先生紹介: 清水哲夫(首都大学東京 観光科学域長)
早稲田大学理工学部建築学科卒業、日本鋼管入社、
都市開発研究所長、清泉女学院大学・首都大学東京大
学院教授。日本建築学会員、日本ペンクラブ会員等々
最終講義: 東秀紀
・ 私はミステリ・ファンで、最終講義は「ツーリズムからアガサ・クリスティを読む」とした。
・ 多くのミステリになぜ観光が出てくるのか? 主人公:旅行作家、車掌、旅館の女将、観光地の住人、 舞台:観光地、列車や船等の乗り物、ミステリは観光地PRにつながる? 
映像化は地域の協力が得やすい。旅行書の売上アップ・・・
・ クリスティも松本清張も旅を題材にミステリを書いている。
アガサ・クリスティ:今なお世界的に人気で、観光を題材としたものが多い。イギリスの世界的ミステリ作家で、売上総数は20億部。代表作『オリエント急行殺人事件』等々1890年観光地トーキーで誕生、1896年フランスに一年家族旅行、1914年最初の結婚、1930年若い考古学者と再婚、戦前は中東の発掘現場に毎年同行 
・ 作家活動を始めた1920−30年代の欧米は第一次世界大戦後の空前の観光ブームとなる。観光の普及・大衆化、有給休暇制(ILO)の導入。クリスティ以前のミステリが観光に好意的だった訳ではなく、欧米観光地も危険だった。
・ クリスティのミステリは1/3が観光を占め、田園舞台が多い。
『オリエント急行殺人』:雪に閉ざされたオリエント急行での殺人。映画では容疑者は有名俳優ばかり。読者を異国の地に誘う効果的なツールだった。クリスティの田園には、名所旧跡はなく、どこにでもある村で、自然環境や風景よりも、村人たちを重点にした。都会では得られない「ユートピア」だ。よそ者が滞在する、静養、農業体験、創作行為の場所であった。大英帝国崩壊後のイギリス人にとって、田園は自分たちの文化のルーツ:国土の再建=田園への回帰であった。
・ 観光がもたらすもの=出会いの素晴しさ:そこには人間的な人々、生活と結びついた建築、無名の、心温まる人々との出会い、観光の真の姿があると、クリスティのミステリは教える。

所感: 飄々とした東教授の最終講義を聞くことができた。改めて、自然や人との出会いの素晴ら
しさ、観光の素晴しさを確認することができた。生物多様性・海洋観光立国を祈念して。

2016年02月22日

横田一「亡国の首相安倍晋三」

横田一「亡国の首相安倍晋三」七つ森書館16.2.1

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はじめに――“一億総玉砕”の危機迫る日本
 2015年11月、フランスに同時多発テロが起き、日本でのテロリスクも懸
念されるようになった翌12月、原発テロ対策の海外取材を行った。専門家
が口をそろえていたのは「日本の原発テロ対策は不十分」「日本は世界で最
も脆弱な国家」と言うことだった。国内の原発がほぼ“ノーガード状態”に
近いのに安倍首相は、有志国連合の対テロ戦争に加わる姿勢を鮮明にし、
原発テロリスクと被害を大きくする原発再稼働にも邁進している。
第1章 後藤健二氏人質事件と原発テロのリスク
・ 紛争地で女性や子供など戦争被害者の視点で丁寧に報道をしてきた後藤氏は、空爆賛成の安倍首相にとって厄介な存在に違いなかった。
・ 膨大な数のシリア難民が国を追われ貧しい生活を余儀なくされている構造的問題に目を向けないと、イスラム国の問題は解決しない。一部の人に富が集中するという中東の構造的格差問題を解決しない限り、火種は消えない。サウジのように一部の王族がほとんどの富を独占、大多数の国民は貧困に喘いでいる。一方でイスラエルがとんでもない軍事的行動を続けている。
・ 「テロに屈しないぞ」と威勢よく訴える安倍首相だが、「世界で最も脆弱」とされる日本での原発テロによって、地球規模の放射能汚染を招くリスクがある。
・ 「国民虫けら・アメリカ神様」が行動原理のような安倍首相は、アメリカが望む原発再稼働に突き進んでいる。「原発ゼロ社会を目指すべき」と訴える小泉元首相と見比べると、どちらが国民の生命財産を守るのに熱心であるかは明らかだ
第2章 “外交的談合決着”でも改善しない日韓関係
・ 「第二自民党」「官邸別働隊」と呼ぶのがぴったりに「大阪維新」が“偽装野党”として振る舞うことで非自民票分断の先兵役になってもらう――このシナリオを安倍首相と橋下氏は共有する。
・ 2015年12月日韓外相共同記者発表で、安倍首相は元慰安婦に対し「心からお詫びと反省の気持ちを表明する」という合意が明らかにされたが、韓国の支援団体は厳しく非難している。
第3章 “一億総玉砕”のアベノミクス
・ ベストセラ―『里山資本主義』で有名な藻谷氏は、「アベノミクスは刹那的なマネー資本主義」と批判し、「里山資本主義」こそ、地方再生(創生)の切り札と訴え続けている。
・ 総選挙で自民党は圧勝し、安倍政権が誕生すると、金融緩和などを柱とするアベノミクスに突き進んだ。円安が進んで株価も上がったが、日本は貿易赤字国に転落することになった。韓国の“猿真似”をしたアベノミクスによって藻谷氏が警告を発した通り、物価高に国民は苦しむことに。
・ 日本は、一人あたりのGDPが世界の20位以内の水準、失業率も先進国で最低水準なのに、「もっと稼いでGDPを増やさなければ」と叫ぶ政治家ほど、支持率が上がる。刹那的な「マネー資本主義」に走り、資源を使い尽くす。今稼ぐために、借金と汚染物質は残してはいけない。
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2016年02月19日

提言・実践首長会 第40回全体会合

提言・実践首長会 第40回全体会合

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日 時: 2016年2月16日   
 所 : 5東洋海事ビル 会議室
事務局: NPO地域交流センター
1)挨拶  久住時男会長(見附市長)
人口減少・超高齢化社会、地方自治の自立が必須!
キーワードは、コンパクト&ネットワーク!
2)交通インフラを活用した広域連携と地域ストーリー観光
(1)『地域資源の編集とストーリー』  丁野朗(日本観光振興協会常務理事)
・ 観光客は鳥の目でやってくる(鳥の目と蟻の目):吉田初三郎の鳥瞰図が旅人を誘う。
  2005年、名古屋の「愛・地球博」で産業を観光資源にする「逆転の発想」が生まれた。
 今、地域の物語(ストーリー)化が注目されている: 雪国観光、ジオパーク・・・
 ・ 着地型観光の問題点: 客離れ(顧客ニーズとのミスマッチ)、客知らず(アウトバウンド中心の地域の旅行会社は地域を知らない?)、地域離れ(地域住民・企業から乖離している)
(2)空で繋がる隣町(空の駅・道の駅・まちの駅) 赤崎隆三郎(全国空港のある地域連携協議会)
 LCCと通信等の新しいインフラを活用し、空港所在地を含む周辺自治体が連携し、これからの観光交流、物流連携などの新しい市場の開拓が広がり、大きな可能性を感じている。
3)地域コミュニティ活動と人材育成
(1)全世帯加入のNPO「きらりよしじまネットワーク」 高橋由和(NPO事務局長)
 ・ 山形県川西町吉島地区では公民館を中心とした自治活動を転換し、全世帯加入のNPOを立ち上げ、住民ワークショップを継続し、その中から生まれたアイデアを事業化している。
 ・ ITタブレットを活用した高齢者の見守り支援、買い物支援等ユニークな活動を展開している。
 ・ 次代を担う担い手育成のシステムで若者の出番を創出している。
・ これからの高齢化社会は、行政では対処が難しい。昔の大家族のような疑似大家族で“暮らし安全”、“地域通貨”の再考も!
(2)地域コミュニティ活動と人材活用  中村俊介(総務省地域自立応援課理事官)
  全国的な加入率低下により自治会・町内会が従来の役割を果たすことが困難になる中、様々な関係主体が「参加」し、地域の将来ビジョン等について「協議」し、地域住民自らが実行する「地域経営型」自治への進化が求められている。「NPOきらりよしじま」は先進事例である。
(3)社会教育と地方創生  佐藤秀雄(文部科学省生涯学習政策局社会教育課長補佐)
・ 新時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方を検討し、コミュ
ニティ・スクールが注目されている。学校を応援し、地域の実情を踏まえた特色ある学校づく
りを進め、子供も大人も地域が好きになり、進んで地域参画する地域づくりとなる。
・ 「支援」から「連携・協議」、「個別活動」から「総合化・ネットワーク化」へ
4)日本版『首長誓約』について  萩原喜之(NPO法人 地域の未来・志摩センター)
・ ヨーロッパで進む、エネルギー自治を通じた地域創生・地球貢献に関する「首長誓約」を見本
に、「日本版『首長誓約』」実現を目指し活動している。
・ エネルギーの地産地消、CO₂削減、「しごと」づくり等の「地域創生」のために自治体の首長
が「誓約」し、地域住民・企業、専門家、コンサルタントが連携し、実現に向け取り組む。

所感: 急激な人口減少・高齢化が進む中、従来の地域の仕組みが衰退、崩壊し、地域の維持がま
まならなくなっている。行政のコンパクト化、市民・企業・地域団体・NPO等の連携・ネットワー
クを創りだし、拡充し、試行錯誤を積み上げ、対処していく必要性が高まっている。

2016年02月17日

「市民介護相談員なは」の活動から見えてきた、利用者の声

「市民介護相談員なは」の活動から見えてきた、利用者の声

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日 時: 2016年2月13日(土)   
 所 : 東洋大学白山キャンパス1号館 
開 会: 松本誠一(東洋大学社会学部、学会長)
 那覇市で20年も委員として活躍されてきた、同僚の尊敬
する高山先生から身近なテーマで講演頂けることになった。
講 師: 高山 直樹(東洋大学社会学部社会福祉学科 教授)
○ 自分らしく生きられない! 
・「戦後築かれた社会の仕組みの閉塞感」を如何に改革するかが日本中で今問われている!!
・悩みや不安を抱えている国民は66.7%、自殺者25,427人(2014)、
・知的障害者入所、精神疾患者社会的入院、抑制・拘束、児童虐待(6万件超)
・「貯める――老いる――呆ける――縛られる」
 ・自分たちの国を、地域を、職場を コントロールできない現状に立たされている!!
○ 我が国の福祉構造の問題
 ・みなし契約(形式的で、本人不在)、・サービスメニューの数は世界一だが、メニューに利用者を当てはめる福祉行政!
 ・官僚制の逆機能の構図
 医療・教育・福祉・行政: 管理疲れ、燃え尽き症候群
 患者・生徒・利用者・市民: あきらめ・依存
  上の関係が上下関係・従属関係になっていることが問題!! 患者・市民の立場で、自分らしさ・自己決定権が優先されるべき、市民の民主主義が課題!!
○ “一般社団法人 市民介護相談員なは“とは?
・ 目的: 介護サービスの質の向上と高齢者の権利擁護に寄与する。
・ 全国初の市民による介護相談員派遣事業を事業所との契約に基づいて行う。
・ 平成18〜25年度: 累計契約施設数 158、 相談件数 約15,000件
○ 介護相談員の役割:利用者―事業者―那覇市 の間に入って、利用者と事業者との橋渡し(契約)、 
 利用者と保険者の橋渡し(保険料)、事業者と那覇市との橋渡し(介護報酬)を行うこと。  
・ 介護相談員は介護保険施設を訪問して、直接利用者の“声”に耳を傾け、その方々の不満の改善に向かうお手伝いをします。介護サービスの質の向上と高齢者の権利擁護を図る!!
・ 介護相談員の要件: 市民目線(利用者の立場)で考えることができる者!!
○ 平成25年度の『活動報告書』から見えてきた課題
・ 慢性的な人手不足が深刻化! 人材確保・尊厳あるケアとほど遠いケア! 虐待の怖れ!
・ 聴こえてきた“離島出身利用者の声” ・もう一度島に帰りたい。畑を、祭りを見たい・・・
・ 人口規模の小さい島嶼社会は、人材、施設設立・維持困難に直面している。
・ 利用者の願い:楽しさ=生き甲斐=畑…、生き甲斐の感じられる地域参加、地代への影響力

所感: 身に迫る課題に対する、驚くべき対処の実践を聞くことができた。深く感謝したい!!

2016年02月13日

―ゴータマ・ブッダと葬式仏教―

―ゴータマ・ブッダと葬式仏教―


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日時: 2月6日   所:アンフェリシオン
主催: 淡交会    http://www.tankoukai.net/
講師: 古澤 宣慶(永昌山浄鏡寺、63回)
1.ゴータマ・ブッダと葬式仏教
・ 開祖ゴータマ・ブッダは、葬式への関わりは否定したとされている。
その根拠は、「アーナンダよ。お前たちは
修行完成者〔ブッダ〕の遺骨供養(崇拝)にかかずらうな。
どうか、お前たちは、正しい目的のために努力せよ。正しい目的を実行せよ。正しい目的に向かって怠らず、勤め、専念しておれ。・・・」「仏教の修行僧は、自分の修養につとめることだけせよ、葬儀などやるな、という思想」「ブッダの遺骨崇拝も世俗人のやること」(中村元訳『小乗涅槃経』)
・ インドの仏教は、葬式を始めとする世俗のことがらに出家者が関わらなかったために滅びたとされる。一方、日本では、葬式に関わり、世俗化したが故に、生き残り、定着した。
「よく葬式仏教と言われるように、習俗の中に溶け込んだ仏教と、例えば鎌倉の祖師たちの高邁な思想とがどのように関係するか、そもそも両者を同じ仏教と呼んでよいものか、それさえもがいささか疑問に思われてくる。だが、その葬式仏教なしに、日本に仏教が定着しなかったであろうことも事実である。」(末木不美士『日本仏教史 思想史としてのアプローチ』(新潮文庫))
・ 私の結論
@ まず「仏法」に生きることが、「葬式」への関与に優先する。 
A 生きることは矛盾がある。それを承知で、「仏法」の学習、修業、伝道に励むこと。
B 今は葬式すらまともにできていない。「仏法者」の誇りをもって、真当な葬式を行うこと。
  お経を大事に読むこと。説法を行うこと。適切な戒名、引導、深層に訴えること。
2.ゴータマ・ブッダの人と思想
・ BC463年、シャカ族の王子として生まれる。  29歳の時に出家。
  35歳で、成道。「ブッダ(覚者)」となる。「ダンマ(ダルマ・理法)があらわになった。」
・ 説法を躊躇。法を説いても、他の人びとは理解してくれないだろうとはじめは考えたが、「梵天勧請」:法を説けば、悟る者もいるでしょうと、ブッダは、生きとし生ける者への憐みの心をもって、説法を決意した。「おのが信仰(先入観)を捨てよ」
・ 「初転法輪」 バーラーナシー(ベナレス)郊外の「鹿の苑(サールナート)」にて。
   四諦(四つの真理)  苦・集・滅・道
   十二因縁  無明・行・識・名色・六処・触・受・愛・取・有・生・老死
   八正道   正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定
・ 80歳で入滅(BC383年)するまで、伝道の旅を続ける。
「最後の旅」王舎城外の「鷲の峰」で説法した後に旅立ち、商業都市ヴェーサーリーを経て、
クシナーラーの沙羅双樹の下で亡くなる。
「この世で自らを島とし、自らをたよりとして、他人を頼りとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとせずにあれ。」「すべての者は暴力におびえている。すべての生きものにとって生命が愛しい。己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてならぬ。」「一切の生きとし生ける者は、幸福であれ、安穏であれ、案楽であれ。」「自己の確立と社会活動」
・ 宮沢賢治は、「世界のすべての人が幸福にならねばならない。」と言い、殺しあう人間を憂えた。

所感: 人口減少・高齢化が進み、「国のかたち」も「暮らし方」も大きく変わらねばならない。
   そんな中、貴重な「ブッダと葬式仏教」の話を頂いた。決して殺してはならない。すべての人が幸福にならねばならない。まして戦争法案を創り、大規模新基地を造るなどはもってのほかではないか。農林水産業・製造業・土建業をベースに生物多様性立国を! 

2016年02月11日

海洋観光に関するワークショップ2016

海洋観光に関するワークショップ2016
〜次世代の若者による海洋観光へのチャレンジ〜

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日時:2016年2月2日 
所:東洋大学白山キャンパス
主催: 国土交通省
第一部:東洋大学生からの政策提案発表
○国境離島(南鳥島など)へ観光、魅力的な企画  A班
「南鳥島での航海と現地の海の体験学習」
○海洋観光の専門家育成、今後の取組  E班
「未来の海を担う人材〜ウミとヒトをツナグ〜」
○海の魅力を10代の若者に発信する今後の取組  H班
「Sight “sea” ing Project 今、伝えたい「青」がある」
第2部:最近の取組紹介 
国土交通省における海洋観光に関する取組紹介
○海事局内航課「日本の魅力を活かした船旅」:手軽に楽しめるサービスの創出を瀬戸内海で推進中。
○港湾局「クルーズ振興を通じた地方創生」:世界のクルーズ人口は急増、10年前の2倍になっている。2015年の日本への入国旅客数も前年比2.7倍の約111万人にもなっている。全国の港湾管理者や自治体が参加する「全国クルーズ活性化会議」会員との商談会を2014年から開催している。クルーズ船寄港時に臨時の免税店が埠頭に出店している等、各地の港で工夫が展開されている。
民間企業・教育機関・NPO法人における取組紹介
○松井克哉(日本クルーズ客船長)
「クルーズ産業の観光事例」
  客船「ぱしふぃっくびいなす」を航海し、「サンゴ礁」や「負の世界遺産」等をテーマに離島海洋観光を展開している。テーマは多く、今後の可能性は大きい。
○青山敦士(島根県海士町 鞄ファクトリー 代表)
  町の消滅危機感が町民を目覚めさせ、島を繁栄させる努力を積み上げ、今では人口増の町に!!
○楠田拓郎(岩手県NPO体験村・たのはたネットワーク事務局長)
  「漁村文化を伝える“番屋エコツーリズム”」
  3・11で流失した番屋が再建され、漁業を中心とした地域文化体験エコツーリズムを、子供から大人までに展開している。
○窪川かおる(東京大学大学院)「海洋観光振興への海洋教育の役割 〜学校と社会教育から〜」
  日本を取り巻く海への関心を高めることが最重要課題である。

所感: 貴重なワークショップに参加することができた。気候が温暖で、水が多く、山紫水明、周囲が海の日本は世界で最も恵まれた海洋観光の国である。これからは、長期バカンス制度を設け、農林水産業・製造業・土建業をベースにした、安全安心、民主主義、平和な、生物多様性立国・海洋観光立国こそが望ましい日本のあり方と提案したい。

2016年02月10日

井村喜代子「世界的金融危機の構図」

井村喜代子「世界的金融危機の構図」

勁草書房10.2.15

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序説
  今回の世界的金融危機(リーマンショック)は、“百年に一度”あるい
 は“1929年大恐慌以来”と言われることが少なくない。しかし今回の金
融危機は資本主義の歴史で経験したことのない深刻な内容を持っている。
事実経過(概要)
@ 2007年6月22日、米国投資銀行ベアー・スターンズが傘下のヘッジフ
ァンド2社の経営危機を発表し、7月に米国格付け会社が関連の住宅ロー
ン債権担保証券を大量に格下げしたことが契機になった。
A 「証券化商品」の価格下落・格下げ、投げ売りが拡がり、大手銀行の経営危機、市場混乱に。
B 08年9月には超大型金融機関の破綻が相次ぎ、世界的金融危機に突入した。
C 9月29日ニューヨーク株式市場で株価大暴落、世界同時株暴落が繰り返された。
D 米国は金融機関不良資産買い取りを柱とする約75兆円の「緊急経済安定法」を成立させた。
E 各国の政府・中央銀行・金融機関も、金融不安の実態を把握できず、金融危機を予想することもできなかった。IMFは金融機関全体の損失見込み額を約196兆円と算出した。
F 08年秋以降は、金融危機は実体経済を巻き込んで、世界的経済停滞・失業増大が深刻化。米国の自動車産業ビッグ・スリーの経営危機が表面化し、米国繁栄の象徴GMが国有化された。
G 09年オバマ新大統領は、2月過去最大の景気刺激策を打ったが、米国財政赤字は174兆円に。
第1部 世界的金融危機の根源  第1章 為替安定化と持続的高度成長、およびそれらの破綻
・ 第2次世界大戦終了後、資本主義は大きな変容を遂げた。第2次世界大戦は史上最大の殺戮・破壊となり、世界の平和・人権を求める様々な運動が生み出された。1945年、50か国が「国際の平和と安全を維持する」決意を謳いあげた。大戦中は連合国であった資本主義諸国とソ連は、大戦末から亀裂を深め、大戦終了とともに「冷戦」となった。大戦後の資本主義は、体制批判勢力の増大と冷戦激化に対し、強力な国際協調体制を構築し、国家が介入して労働者の権利拡大、社会保障制度創設、公的サービス拡充を図り、持続的な経済成長・高雇用を目指すとともに、為替安定化を目的にIMF体制を構築した。また、自由・無差別な国際貿易の発展を目指し、GATT体制をつくった。
・ しかし、米国の巨額の対外軍事支出・対外援助拡大等による国際収支危機によって初期IMF体制は動揺を深めた。こうした中、米国はヴェトナム戦争を強行し、国際収支危機は膨大化していった。さらに「偉大なる社会」という福祉増大政策が掲げられ、双子の赤字化が進み、金ドル交換が不可能になり、ニクソン・ショックに至り、持続的高度成長は終焉したが、日本だけ「経済大国化」に。
・ 他方、米国発のインフレとドル減価は、中東産油国に莫大な損失を与え、第1次石油ショックと狂乱的物価高騰となり、その対策「総需要抑制政策」は世界大不況をもたらした。
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2016年02月09日

柴又まちの駅「ファンタジア」、

柴又まちの駅「ファンタジア」、寅さん記念館

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日時:2016年1月30日https://ja-jp.facebook.com/shibamatamachinoekifantasia
 柴又まちの駅「ファンタジア」を訪問した。寅さんで有名な
柴又駅から参道を通って、帝釈天にお参りし、寅さん記念館の
手前に就労移行支援事業所「ファンタジア」はあった。
 雨模様でお客さんは少なかったが、通常の土日は100人を超
すお客さんや元気な方々でいっぱいとのことであった。美味し
い料理と飲み物、手作り品やくつろぎ空間が人気だ。4人のス
タッフを含め20人の方々がローテーションを組み働いていた。    
 その後、お隣のリニューアルされた「寅さん記念館」、「山田洋次ミュージアム」に移動した。
下町の寅さん記念館はたくさんの人が訪れていて、葛飾柴又撮影所、東京大空襲展示、寅さん団子屋、下町印刷工場、下町の街並み、昔の駅舎、車内等々印象的な展示が展開されていた。
山田洋次ミュージアムは、山田洋次監督のフィルムメーカー山田洋次“もう一つの世界”“「男はつらいよ」誕生まで”等、ポスターを始め、懐かしい作品の紹介がうれしかった。帰路は立石で一服。

2016年02月08日

離島の活性化と再生エネルギーの活用

離島の活性化と再生エネルギーの活用
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日時: 1月28日   
 所: アルカディア市ヶ谷
主催: NPO環境経営学会  http://www.smf.gr.jp/
基調講演:「再生可能エネルギーと地域の活性化」
    末吉竹二郎(グリーンファイナンス推進機構)
・ 昨年のCOP21パリ協定は想定外の成果であった。
第2条では2℃目標を乗り越えて、1.5℃へ向けて努力
する方向性ができた。さらに21世紀後半には人為的排
出と人為的吸収をバランスさせる=実質ゼロにも。
・ COP21 の陰の主役は、世界のビジネスリーダーと機関投資家で、「RE100%」が合言葉に。
・ 世界の現状:風力と太陽光とRE発電容量は、原発総容量の1.5倍で、風力だけでも原発の容量を超えている。2030年の消費電力におけるRE目標比率は、EU45%、ドイツ45%、英国30%、フランス40%、カリフォルニア州50%に対し、日本は20%と少ない!!
デンマークのRE率は、現在39%で、2050年には100%を目標にしている。   
・ 世界の先進国は、石炭から手を引く方向で、英国では2025年までに石炭火力は全廃に。キャメロン首相は、グリーン産業の育成は倫理的義務であると講演している。
・ 3・11は世界に「エネルギーは自分事。エネルギーを考えることは、民主主義を考えること」にとなった。21世紀を動かすキーワード:脱炭素化、持続可能性
パネルディスカッション「甦る離島、自然の宝庫 島、海、里山の未来を考える」
「ないものはない島・海士町」 松前一孝(島根県海士町環境整備課長)http://www.town.ama.shimane.jp/
・ 人口減少、超少子高齢化、超財政難を乗越え、生き残るための
「守り」の戦略・行財政改革断行を展開し、「地域の未来は自ら築く!」
との掛け声のもと、島おこしを進め、地域ブランドを創り、移住者を
増やし、「島の幸福論」を展開し、自立に向けた挑戦を続けている。
「自然と共生する島々」鯨元あつこ(離島経済新聞社)http://www.ritokei.org/
・ 日本の価値を離島地域から見直し、社会に届けることで「島国の宝」
を未来につなげていきたいとのコンセプトで活動している。
・ 6852の島がある日本の420島で人が暮らしている情報にフォーカスするメディアで、経済面では遅れをとりがちな離島地域に、高度経済成長以降の日本で失われつつある「人と人とのつながり」、「人と自然が共生する暮らし」、「伝統文化を継承する心」など、日本の原初的な価値が残っていることに重要性を感じ、離島地域の営みから島国日本の未来のヒントを見つけたいと考えている。
「海を活かしたまちづくり」 古川恵太(海洋政策研究所)
・ 国連海洋法条約は、1958年からの話し合いの末、海の生き物と環境を守り、平和に海を利用するためにつくられた。海は誰のもの?から「沿岸域総合管理」が誕生した。海の恵みを総合的に考える=つながりを知る必要性が大切である。海を知る「海の健康診断」を展開している。
「再生可能エネルギー(自然変動電源)の価値について」 戸田直樹(東京電力経営技術戦略研究所)
・ 東京都新島で電力系統出力変動対応技術研究開発を行っている。
「離島の明日と日本の将来」 小島愛之助(日本離島センター専務理事)
・ 離島の人口減少・高齢・過疎化は日本の縮図、再生エネルギー・海洋資源のポテンシャルは高い。
・ 日本政府は危機意識が低く、企業の経営バックアップ機能も見直されなければならない。

所感: COP21の評価はメディアでは高くない感があったが、世界の環境会議に出席し続けているグリーンファイナンス推進機構(地域低炭素投資促進ファンド)末吉代表報告は目に鱗であった。21世紀後半に人為的排出ゼロに向かわなくては、地球も人類も生き残れないということだ。
環境に優しい、農林水産業をベースの海洋観光立国・生物多様性立国を祈念して!

2016年02月05日

「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』」

渡邉格   講談社13.9.24

「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』」

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はじめに
 「革命は辺境で起こる」と言ったのはレーニンだった。そして今、マルク
スの思想をもとに、日本の辺境で革命が起きようとしている。「勝山」という
岡山の山の中、ほとんど知られていないまさに「辺境」で、「腐る経済」の。
第1部 腐らない経済 何かがおかしい(僕が祖父から受け継いだもの)
高校卒業後、その日暮らしのフリーター生活7年、一念発起して大学へ。
 「田舎」で暮らす農家になりたくて、農学部に入学した。卒業し、20人の
小さな有機農産物卸販売会社に入社したが、“産地偽装”にキレて、同僚の
マリと一緒に本物のパン屋を目指し、新たにスタートした。
第1章 マルクスとの出会い(僕が父から受け継いだもの)
・ パン屋で働いて4年半、4軒のパン屋で修業を積み、僕とマリは独立に向けて、夫婦念願の
「田舎のパン屋」になるための準備を始めた。子ども一歳半、家族の生活を賭けた大勝負。
・ 物件探しに苦戦し、内外装工事も自前で、年末に開店。僕とマリは、メニューの開発に取り
掛かり、つくり手の僕と、売り手のマリとの真剣勝負の経営会議を繰り広げて、バトルに。リーマン・ショック、輸入食材の高騰でパン屋は翻弄され続ける毎日が続いていた。
・ その悩みを父と酒を酌み交わしながらぶちまけた。「イタル、おまえ、マルクスを読んでみたらどうだ?」との父のアドバイスが飛び出した。僕はそもそも、資本の論理で不正がまかり通るのがイヤで、会社を辞め、「外」の世界に出ようとしてパン職人の修業をしたのに、パン屋の工房も経済システムの真っただ中にいることを思い知らされていた。そして、やっと自分の店をもち、「外」の世界に出られると思った矢先、そこには資本の世界市場という、さらに大きな「システム」が待ち受けていて、翻弄される毎日が続いていた時に、初めてマルクスと向き合うことになったのだ。
第2章 マルクスと労働力の話(修業時代の話1)
・ 「ワタナベ君、じゃー明日から働いてもらおう」と言われ、朝2時の仕込み前に店に入った。「S君の指示を聞いて、仕事を覚えていってね」と言われ、S君の手つきを見よう見まねで作業。8時にもなると、エネルギーが切れそうになり、「あの、朝ご飯、どうするんですか?」と問うと、「この店には休憩時間ないですよ。立ったままサッと食べるんだ」。パン屋残酷物語の始まりだ。
・ 解説書片手にマルクスの『資本論』を読み始めた。マルクスは、今から200年前の1818年に生まれ、1883年に65歳目前で息を引き取った。当時のヨーロッパは、産業革命が広まり、イギリスは紡績や織物などの軽工業や鉄道の分野で、目覚ましい発展を遂げていたが、労働者は過酷な労働と貧困に喘いでいた。マルクスの描いた当時のパン屋の状況に目が釘付けになった。
・ 仕事が始まるのは前日の11時、パン生地を捏ね始め、仮眠後、5時からはノンストップの作業、焼き上げたパンを配達し、仕事は午後1時〜夕方6時。当時のパン屋の寿命は42歳だ。マルクスの描いた惨状は、パン屋の姿だけではない。悲惨な惨状を哀しむ怒りが、マルクスが生涯をかけて『資本論』を書かせた。しかし、150年後も何も変わっていない! マルクスは、資本家のせいではなく、資本主義の構造に問題があると。その構造を支配している「労働力」という「商品」がカギで、資本家が利潤を求め、無茶苦茶に働かす資本主義の正体を突き止めようと考えた。
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