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2008年09月18日

分かち合いの世界へ  『菜園家族21』

小貫雅男・伊藤恵子   コモンズ 2008

分かち合いの世界へ  『菜園家族21』
  
いのち削り、心病む、終わりなき市場競争
  
 
21世紀、人びとは大地への回帰と
   
 
人間復活の道を歩みはじめる


プロローグ
  私たちは、大地からかけ離れ、あまりにも遠くに・・・
 今、暮らしのあり方を根源から問われているのでは・・
  日本の農村コミュニティーは、最悪の事態に直面しています。高齢者が住民の半分を超え、集落の自治や、生活道路の管理、村の行事など、共同生活維持が困難になった「限界集落」が、全国各地に続出しています。田畑は荒れ、空き家は朽ちるのを待つばかりです。
  一方、大都市では、人口過密が生活環境や子供の育つ場を悪化させています。競争にかきたてられる教育環境の下で、これまで考えられなかった異常事態が、子供の世界にも次々に起きています。

第1章 モンゴル『四季・遊牧』から『菜園家族』構想へ 
・ 私たちは長年の間、モンゴルの遊牧地域を考察してきました。この結実がドキュメンタリー
映像作品『四季・遊牧―ツエルゲルの人びと』であり、『菜園家族』構想です。
・ 2001年琵琶湖畔の山合集落・大君ヶ畑の空き家を借りて、里山研究庵を立ち上げた。
・ 並行して、滋賀県立大学で“菜園家族の学校”を立ち上げ、住民市民との交流をしてきた。
第2章 人間復活の「菜園家族」構想          http://www.satoken-nomad.com/
 ・ 今では家族の大半は大地から離れ、「農業」を捨て、職を求め都市に集中し、生活に必要なものは賃金でまかなわれなければならなくなりました。学歴社会の構造は制度化され、この体系に乗らない限り、生きる道はないかのごとくです。子供たちは、仲良く助け合い、分かち合い、ともに生きる大切さを学ぶことなど出来ません。子供たちが自然に触れる時間的余裕がありません。
・ 人間は元々、家族とともに身体を存分に動かし、大地に働きかけて、生きてきました。今、問題山積の中、もう一度ふるさとの大地に根ざした、いのち輝く農的暮らしを取り戻しましょう。
・ 明治大正昭和のある時期、1950年代の半ばまでは農業と工業のバランスは取れていました。それが、戦後まもなく始まるアメリカ型「拡大経済」と、高度経済成長から変わりました。
・ しかし、今や経済成長は停まりました。地球上では世界の人口の20%が富める生活をし、80%は貧困にあえいでいます。日本は富める国の生活に身を浸かり、農業を捨て、工業を発展させ、繁栄を求めてきました。しかし、地球資源や地球環境の有限性を考えればこうした生活が将来的に成り立つ筈はありません。そこに「菜園家族」構想が生まれました。
・ 「菜園家族」構想は、週2日だけ従来型の仕事をし、残りの5日間は、「菜園」での栽培や手作り加工、商業や手工業、サービス部門などの非農業部門の自営業を営むのです。この5日間は文化活動やスポーツ娯楽など、自由自在に人間らしい創造的活動にも携わります。
・ 「菜園」から採れる農作物は、売ることが目的ではありません。自給自足です。田畑は2〜3反もあれば家族の自給が可能です。 (自然農法の福岡正信さんは1反で5人と言います。)
・ 従来型の仕事が週2日になり、「菜園」や自営業の仕事が週5日になると、大都市への集中は自然になくなります。自動車の交通量も激減し、静かな都市が取り戻されます。都市は仕事の場から、文化・芸術・学問・娯楽・スポーツなどの文化的欲求によって人びとが集う交流の場として、精神性豊かな、ゆとりある文化都市に変貌していくにちがいありません。
・ 江戸時代や戦後の高度成長経済以前の日本は、「循環型」社会で、ものを大切にが美徳でした。
第3章 グローバル経済の対抗軸としての地域
・ 国際競争を勝ち抜くには、自由化で競争力を強くするのが基本とし、農地規模拡大に固執し、単一品目の大量生産を展開してきましたが、大規模化すれば農薬や化学肥料に依存することになり、無農薬・有機栽培による安心・安全な食料の供給は望めません。
・ 農業は、森と水と野を結ぶ循環の中で、様々な水路・農道・里山などで成り立ちます。
「菜園家族」構想は、長期的展望にたった持続可能な社会の農業のあり方です。
・ 国産材自給率は、1955年の100%から1980年35%、2005年では20%と減少しています。
1960年初頭には国の植林政策の「杉や檜の植林事業」を進めましたが、国が同時に進めた外材の輸入促進政策によって「林業はダメ」と不要の産業にまで転落させられました。
・ しかし、生物多様性保全が世界中で叫ばれる今、抜本的な見直しが望まれます。
今日の林業家族として、21世紀にふさわしい「森の菜園家族」も創出しましょう。
第4章 地域再生に果たす国と地方自治体の役割
・ ヨーロッパ随一の農業国フランスでは、自然村が今も維持され、誇り高く自治を行っています。
・ ヨーロッパでは経済的利益だけでなく、環境・社会・倫理的側面を重視して活動する金融機関「ソーシャル・バンク」が存在し、個人から資金を預かり、社会的な企業やプロジェクト、チャリティー団体やNPOなどに融資を行い、社会的にも重要な役割を果たしています。
第5章 “菜園家族 山の学校“その未来への夢
 ・ 21世紀、混迷の中から、世界が求めているものは、エコロジーの深い思想に根ざした本物の自然循環型共生社会への確かな糸口です。
・ 都市の住民も農・山・漁村の住民も商工業者も、また子供からお年寄りに至るさまざまな世代の人びとが自主的に楽しみながら学びあう場。これが“菜園家族 山の学校”の最大の特長。
・ 土地を耕し、作物を育て、収穫し、料理し、食卓を囲み、味わい、語り合い、楽しむ・・・
エピローグ
・ 世界は今、ものでもなく、お金でもなく、精神の高みを心から望んでいます。「菜園家族」はこの世界の願いに応えて、必ず世界に先駆けてその範を示すことになるでしょう。

所感: リーマン・ブラザーズの倒産に世界中が驚いている。60兆円の負債と聞く。アメリカがつくりだした虚像とも言える「グローバル経済」が破綻し始めている。大地に根ざし、地道に額に汗して働く生活こそが、動物である人間には適っているのではないかと感じざるを得ない。
    日本中の都市や地方がグローバル経済に追随できなくて困窮し始めている。そんな時にこの本に出会った。菜園を中心に家族の団欒を取り戻す「菜園家族」構想は、未完成なものかもしれないが、格差社会の問題点が染み出している今日の社会では重要な提言・指摘である。
 一昨日、自転車で往復50キロの松戸へ墓参りに行った。私の住む江東区でも屋上菜園と
自転車エコライフは楽しいもので、新しいライフスタイルではないかと挑戦している。
明るい、こころ美しい日本再生「お江戸観光エコシティー」を夢見続けたい。
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