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2020年07月13日

「六ケ所再処理工場が放出するトリチウムの問題」

「六ケ所再処理工場が放出するトリチウムの問題」

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日時:6月5日 18:00〜20:30 Google Meet方式
主催:原子力資料情報室  https://cnic.jp/
講師:イアン・フェアリーさん(放射線生物学専門家)
司会:伴 英幸(原子力資料室共同代表)
はじめに:イアン・フェアリーさんはロンドン在住の環境中放射能影響に関する専門家。1986年チェルノブイリ事故以降研究を進めている放射線問題のコンサルタント。
講演:再処理施設は無害で中立的に聞こえるが、実際には非常に危険で汚い工程で、先ず高レベルの放射性燃料から金属基盤を剥ぎ取る。次に沸騰した高温の硝酸で燃料を溶かし、放射性ウランとプルトニウムを分離して、残った核分裂生成物を貯蔵タンクに保管し、ガラスブロックに入れて封じ込める。これらは危険な作業で作業員は健康を害し、汚染を伴い、かつ莫大な費用の掛かるプロセスだ。最終的に非常に多くの放射性廃棄物がパイプラインを通して海中に排出される。さらに深刻なのは、放射性ガスと水蒸気が大気中に放出されることだ。日本以外の国々も再処理を試みているが酷い経験をしている。2017年10月ロシアのマヤク再処理工場で重大事故が発生した。これにより揮発性の放射性物質ルテニウム106がヨーロッパとアジアの広い地域に拡散した。1957年にもそこでさらに大きな事故が起きている。推定2000万キュリー約70京ベクレルの放射性物質が化学爆発で放出された。INESでは7段階中のレベル6と評価された。
・ 日本では1997年にそれより小さなレベルの東海村の再処理施設で爆発による火災が起きている。動燃によるもので、結果として再処理工場は閉鎖された。カナダは再処理をしたことはなく、英国は今年2020年後半にすべての再処理を中止する。実際ほとんどの国は使用済み燃料は再処理せずに保管している。世界中の約400基の原子炉から発生した使用済み燃料の約95%以上が再処理せずに保管されている。六ケ所再処理工場も動かせばさまざまな事故が起こる。重大事故なら労働者や住民に高線量の被ばくをもたらすことになる。さらに大気への大規模な汚染を引き起こす。
・ ではなぜそのような計画が許されているのか? 日本の原発には使用済み燃料を保管する場所がないためだ。再処理は“原子力ムラ”:日本政府・原発事業者・日本原燃らは増え続ける使用済み燃料を処理する手段として位置づけている。他の乾式貯蔵キャスクに貯蔵する方式は、今日米英独加で行われている。再処理工場の運転トラブルなどを排除することができるよりましな方式だ。
・ 環境影響は、六ケ所再処理工場が操業すれば、何百種類もの放射性廃棄物が発生し、処理することになる。大気中の放出は海の放出よりも危険だ。汚染された魚は食べないことができるが、汚染された空気は摂取しない訳にはいかない。再処理工場から10km範囲の7000人は汚染の中で生活することになる。飲み水、食物、呼吸に必要な空気すべてが汚染される。例えば英国のセラフィールド再処理工場、フランスのラ・アーグ工場は世界最大の放射能汚染源で、アイルランド海は世界で最も汚染された海だ。再処理工場から放出されたプルトニウム約500kgが海底に沈んでいる。
・ 汚染の原因となる放射性核種は、半減期10年のクリプトン85、半減期5730年の炭素14、半減期1600万年のヨウ素129。吸入摂取、皮膚呼吸により集団線量が高くなる。半減期が8日間のヨウ素131、半減期30年のセシュウム137、半減期29年のストロンチウム90、半減期1年のルテニウム106、半減期24,400年のプルトニウム239等が主な核種で、他にも危険なものが多い。
・ 小児白血症は原子力施設の周辺で多くなっている。セラフィールド近くの村では小児白血病が増えているため、放射線核種の吸入と摂取が関連していると考えられている。行政当局は関連ないとしている。多くの科学者はこれらの公式推定放射線量は信頼できないとしている。
(質疑から): 福島第一のトリチウムを海に放出したがっているが?  @絶対ダメ!!
・ 大気への放射能放出がある再処理はダメ 安い・簡単なキャスクがよりまし!!

所感:世界では止めているのに日本は推進しようとしている。コロナウイルス禍は、抜本的な原発の在り方転換のジャスト・タイミングではないだろうか。国がなくならないために。 
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