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2021年02月18日

 関東大震災時 朝鮮人はなぜ殺されたのか?

    
 関東大震災神奈川ZOOMセミナー

 
関東大震災時 朝鮮人はなぜ殺されたのか?

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日時:1月16日    
主催:関東大震災追悼神奈川実行委員会
はじめに: 山本すみ子会長
関東大震災時の朝鮮人の虐殺は「天災」ではなく「人災」である。一過性の出来事ではなく、植民地ですでに多くの朝鮮民衆虐殺を日本軍隊、憲兵、警察は経験し、虐殺を後方から支えていたのだ。
講演  槙蒼宇(シンチャンウ)
はじめに 
小池都知事は、墨田区横網町公園で毎年開催されるき
関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典への「追悼の辞」
を3年連続で見送った。小池知事の歴史修正主義と人権意識の欠落を強く感じざるを得ない。
1.虐殺の背景
虐殺の背景@ 日本による朝鮮植民地化と在日朝鮮人の増加・蔑視の形成
 日本の朝鮮植民地支配の45年(1905〜1945)の間で「流移民現象」「国境をまたぐ農民層分解」
虐殺の背景A 民族運動の展開と弾圧の繰り返し
 帝国主義列強間では、「戦争」の範疇から排除し不可視化。
 近代日本の「戦争」は、真珠湾攻撃、アジア・大平洋戦争、満州事変以降の「15年戦争」
2.朝鮮植民地戦争の展開
@東学農民運動(1894.10〜1895.1):3〜5万人の死亡。
A日露戦争下の民衆迫害(1904〜1905)
B義兵戦争(1906〜1915)
C三・一独立運動/シベリア戦争(朝鮮人がシベリアで革命運動参加)/間島虐殺から関東大震災
(1)軍人・軍隊の朝鮮植民地戦争・台湾・シベリア経験
・ 日本の多数の司令官・参謀長・連隊長が複数の植民地戦争・ジェノサイド経験者が。
 司令官レベルでは、「朝鮮植民地戦争」経験者が世代を超えて50年間継続していた。
・ 日本陸軍師団に、朝鮮派兵(関東大震災時の朝鮮人虐殺含む)経験者が。
(2)憎悪と偏見@ 軍隊の「暴徒殲滅」論;繰り返されてきた「暴徒殲滅」「処分」
・ 東学農民戦争(1894.9.2):「責任ある村は焼き払い、民は撃殺すべし」「ことごとく殺戮!」
・ 抗日義兵戦争(1907):捕虜にする前に適宜処分すべし。(世界法規に抵触!!)
(3).憎悪と偏見A メディアによる朝鮮人=「暴徒」「不逞鮮人」像の形成。
・ 「独立の陰謀を謀る恐るべき朝鮮人」=「不逞鮮人」観がこの時期、日本社会に浸透。
    関東大震災時の流言に「架空のテロリスト」を生み出す原因となった。
・ 韓人の独立観念増長を抑え、軍隊的政治で処するが最善の道と指導した。
(4).軍法違反の蛮行の恒常化とその隠蔽・正当化。
・ 軍法違反の蛮行「やむなし」の恒常化。
  東学農民戦争:「日本軍全般の利益」のために殲滅は「やむなし」。
 抗日義兵戦争:「発砲」「捕虜銃殺」「村落焼夷」「性暴力」の頻発。
 三・一独立運動弾圧における実態の隠蔽と正当化
 ジェノサイド=無罪

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「暗殺の幕末維新史桜田門外から大久保利通暗殺まで」

一坂太郎

「暗殺の幕末維新史桜田門外から大久保利通暗殺まで」

中公新書.20.11.15

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はじめに
  日本の近代化のスタート地点とされ、奇跡のような革命と称賛されることが多い「明治維新」など、一歩踏み込めば暗殺および暗殺未遂事件のオンパレードだ。ペリー来航から王政復古まで僅か十数年の間に、その数は百件を超す。テロや暗殺を悪とするならば日本の近代化は賞賛できない?
「明治維新」を正当化するため、靖国合祀等がシステムとして利用された。
序章 繰り返されてきた暗殺
・ 6世紀末、蘇我氏は大和朝廷の豪族として権勢を誇った。592年蘇我馬子が儀式に臨席した崇峻天皇を暗殺させる。これは史上唯一の天皇暗殺だ。その後、「大化の改新」に繋がり、それから1200年を経た幕末、幕府要人の暗殺を企てた長州の吉田松陰は、躊躇する周囲に向かい「入鹿を誅した事実を覚えている人は一人もなきか」と息巻く。「大化改新」は暗殺で政権を転覆させる先例として、「近代日本」の幕開けにも影響を及ぼした。
・ 12世紀半ば、政治的発言力を強めた武士たちは、凄惨な暗殺を繰り返す。平氏を打倒した義朝の子頼朝は1192年征夷大将軍に任ぜられ、鎌倉幕府がスタートする。頼朝は常に暗殺の危機にさらされる。頼朝没後、将軍となった長男頼家も内紛の末、北条氏が放った刺客に入浴中に暗殺される。
・ 1543年、種子島に伝わった鉄砲は国産化され、瞬く間に日本中に広まった。群雄割拠の時代、大名たちは競って鉄砲を求めた。合戦はそれまでの騎馬戦から鉄砲を持った歩兵戦へと変わった。鉄砲の精度は低く、高度の狙撃術を要するため、暗殺の道具としては安易には使用されなかった。
第一章 「夷狄」を排除する
・ アメリカ合衆国は、中国貿易の寄港地や捕鯨の基地として日本を利用したいと、ペリーを派遣した。開明派の島津斉彬は積極的に西洋文明を導入し、富国強兵を目指し、洋式軍備の充実を進めた。
  一方、尊攘論の徳川斉昭は神国思想に基づく「復古」だった。それでも「維新」派斉彬と「復古」派斉昭は海防、尊皇攘夷の実現を目指して連携し、革新的勢力になった。
・ 幕府は日米和親条約に続き、オランダ・ロシア・イギリス・フランスとも同様の安政の五ヶ国条約を結んだ。だが、神州を異人に土足で踏みにじられたと憤る攘夷家が黙っているはずはなかった。横浜開港2か月足らずでロシア人の外国人暗殺事件が起こり、外国人に対する暗殺は続いた。
・ 大老井伊直弼の暗殺事件は、「神州古来の武威を穢し、国体を辱め」と井伊を非難する。外国人の好き勝手にされないために、天に代わって殺すのだと言い、幕府と敵対する気は毛頭ないと断り、「神州」「国体」「国賊」「天誅」と、昭和20年の敗戦まで続く神国思想に基づくキーワードが、その主意書に出揃っている。幕府内の主導権争いで、水戸浪士たちは靖国神社に合祀されている
第二章 「人斬り」往来
・ 江戸時代の天皇は、「禁中並公家諸法度」により政治からは切り離され続けてきた。幕末のテロの刃は天皇権威に従わない者に向けられた。天皇権威を背景として国政に参画するようになった諸藩の功名心が、複雑に絡まってくる。「人斬り」として英雄視される土佐の岡田以蔵や薩摩の田中新兵衛が暗殺剣を振るった。
・ 生麦事件でイギリス人を斬った薩摩藩は、急進的な尊攘派から喝采を帯びた。一方、長州藩は「航海遠略策」から「奉勅攘夷」に藩是を急転させ、その極端さが返って失笑を買ってしまう。
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2021年02月16日

荒川河口 新砂干潟 初心者野鳥観察

荒川河口 新砂干潟 初心者野鳥観察

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日時: 1月16,17、31日、12時〜13時
 所: 荒川河口新砂干潟 
コロナ禍で活動ができない中、初心者の野鳥観察を行った。いつも多かった一文字提のカワウは少なく、スズガモ、オオバン、ホシハジロ、キンクロハジロ、コガモ、コサギ、ダイサギ、カルガモ、ハクセキレイ等の野鳥が見られた。
岸沿いには流れ込んだゴミが山積していた

中国対外姿勢の背景と国際秩序への影響

笹川平和財団公開フォーラム ZOOM

中国対外姿勢の背景と国際秩序への影響

−コロナパンデミックは何を変えたのか?−

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日時: 21年1月25日16時〜17時
講演:「バイデン米政権の誕生と中国の思惑、日本」
1. 中国からは「けん制と秋波」のメッセージ
       諏訪一幸(静岡県立大学)
(1)バイデンに対する習近平のスピーチ
@ 20.11.25祝電:中米関係の健全かつ安定的発展の促進を希望する。
A 21.1.21定例記者会見:バイデン大統領就任に祝意表明
(2)ブレのない習近平「強硬」外交
 ・ 「強さ」追求は、外交や軍事に限らない、基本的スタイル。
 ・ 4つの自信:中国の特色ある社会主義を
「歩む自信」、「理論的自信」、「制度的自信」、「文化的自信」と強調
 ・ 中国式ポピュリズムと共鳴(大衆の支持と「人民のために奉仕する」)
 ・ トランプのオウンゴール(自国第一主義、コロナ対策失敗)で得点。
 ・ 批判のある「コロナ外交」(マスク、ワクチン)ではあるが、中国はますます自信。
(3)対米(バイデン政権)外交の見通し
 ・ 「売られたケンカ」ではあるが、対米関係改善は、やはり最大の外交課題。
 ・ 中国は、バイデン政権の対中政策が「経済・軍事面では前政権の強硬政策を基本的に踏襲、
人権問題や国家統合問題ではより強硬に、グローバルな課題では協調模索」と予測。
 ・ 基本は是々非々で、緊張含み。国際社会復帰を歓迎し、恩を売る一方で、自国の国益と影響力拡大(人類運命共同体、一帯一路、南シナ海)のため、自信をもって強硬姿勢を継続。
(4)日本の対中外交のあるべき姿
 ・ 中国にとっての日本は、「大国外交」から「周辺国外交」の対象に格下げ。
 ・ 稀有な、高く売るチャンスの到来(米中対立、習近平来日)。
 ・ 民主主義に対する確固たる信念が前提。
 ・ 目指すは、地域と世界の平和、繁栄安定を視野に入れた
「対峙、説得、協働」の三層外交。
 ・ 米中関係改善の「橋渡し役」以上の役割を追及すべき。
 ・ 日本の対中国民感情改善のため、中国の努力を期待。
2. パネルディスカッション:高原明生(東大)、諏訪一幸(静岡大)、小原凡司(笹川財団)
高原:今まで中国はアメリカに立ち向かわず、カナダやオーストラリアをイジメてきた感がある。国力が高まり、アメリカに直接文句を言えるステージになり、国民も自信を持ち始めている。コロナ対策は当初の中国批判から、経済が回復し自信をもって強気の姿勢になっている。
   バイデンは、当面ソフトなバランス外交になると思う。
小原:中国はアメリカとの衝突を避け、アメリカの経済界に影響力を高める政策が推測される。
諏訪:中国は貧困から脱出し、今後は弱虫外交を見せられない。習中国外交は覇権国を目指す。
  バイデンは読みやすいが、人権などはトランプよりもハードになるのではないか。
高原:米中は、競争だけではなく、協力してお互い利益を得る関係になっている。今後、ますます首脳レベル交流が大切だ。相手の国民に訴えるスピーチが重要になる。
 小原:中国外交などを考えるのは難しいが、日本がシッカリすることが先決と考える。

所感:米中が平和のために、最大限の努力を払い続けることを願わずにはいられない。

「イタリアの社会的協同組合」

小磯明

「イタリアの社会的協同組合」

同時代社15.10.20

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はしがき
  イタリアでは障害者福祉の社会サービスの担い手が地域コミュニティから起こっており、社会的協同組合に限らず多くの事業において、協同組合は事業の担い手として登場する。ボローニャでは、コミュニティ(住民)が自主的運営する社会的センターが作られ全土に広がっている。
序 章 イタリアという国
・ 膨大な文化遺産をもち、芸術やファッションでは世界をリードする人材を輩出し、手仕事の国として職人技術を伝承している。
・ 面積は日本の4/5で、日本同様に海に囲まれている。
第1部 社会的協同組合の登場と発展 
・ イタリアでは、現代の非営利組織の先行形態の慈善団体とボランタリー組織が18世紀末まで自由に発展し、ソーシャルワーク、医療、老人介護、教育はこうした民間慈善活動の分野が、
教会の貧民階層への福祉活動を支えていた。第2次世界大戦後、福祉制度が確立し教育と医療が行政によって供給された。
・ 1991年、社会的協同組合特別法ができ、国内的にも国際的にも非常に革新的な役割を認知されるようになった。
・ ヨーロッパの国々で、生協、農協、生産・労働、金融等、組織的な協同組合運動が誕生したのは、1840年代だった。イタリアはイギリスに遅れること10年の1854年だ。1856年ガラス
職人によって初めて生産・労働組合、金融部門は1883年パドヴァ、農協は翌年ラヴェンナが生まれ、1886年協同組合連合会の設立になった。
・ 社会的協同組合は、それまでの協同組合世界には存在しない創意として現れ、「相互扶助性」だけではなく、「連帯」によって協同組合が成立するという考えを定着させた。連帯に立脚する企業の典型としての社会的協同組合は、農業協同組合など、イタリアで初めて実践された。
第2部 社会的協同組合の実践
高齢者介護と社会的に排除された人たちへの社会サービス
・ 高齢者介護施設カッシーナ・デル・ロンゴはパウッロ市役所とつながっている。16戸あるミニアパートは、65歳以上で、一人で住むには不安のある高齢者が対象だ。ベッドが2つあって、入居は夫婦でも姉妹や兄弟でもよく、サービスは希望でき、自分でできなくなると老人ホームに移る。医療設備もそろっていて、重大な場合は外の病院に行き、理学療法士もいて、多様なケアが可能だ。施設は市の所有で、運営は協同組合が行っている。費用は州が30%、家族負担が70%だ。お金が足りない人には市が一部を負担する。仕事は組合員が行うのが基本、共同組合員は480人、全員フルタイムで仕事を行う。組合員になるには、申請書類と出資金(約7万円)が必要となる。
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2021年02月08日

「自治体DX(デジタルトランスフォーメイション)の推進」

第55回 提言・実践首長会

自治体DX(デジタルトランスフォーメイション)の推進」
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日 時: 2021年1月19日
事務局: NPO地域交流センター
挨拶  久住時男会長(見附市長)
コロナ禍をチャンスとして、行政のデジタル化が東京と地方の格差を縮小させている。現場で生かすための議論を。
1. 自治体のデジタル技術導入と活用  狩野英司(行政情報システム研究所)
・ 私は、中央官庁、大手シンクタンク、大手メーカーを経て、現職に。政府・
自治体・企業等のシステム構築や業務改革に、ユーザー/コンサルタントの立場で携わっている。
(1)コロナ禍で起きた変化
・ オンライン化・押印レス化: 電子申請システム整備の進展、押印廃止の動きが全国展開中
多種多様なデジタル化の進展:様々な自治体が、LINEを活用したコロナ対策アプリを提供
 現場主導型のデジタル化の展開:職員がオープンソースを活用し、費用ゼロでサービスを自作
DXの取り組みの組織化、独自の戦略・方針の策定が進んだ
@地域社会の変革、A地域企業の変革、B行政サービスの変革
(2)デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
  @世の中に変化をもたらすDX、Aビジネス変革としてのDX業務をデジタルに置き換えるのではなく、デジタルを前提に業務を再設計する。
(3)自治体デジタル化の3つの側面
  @「線」のデジタル化:プロセスの見直し:オンライン化は国・地方とも8割がた進展しているが、実際の利用率は国は5割、地方は1割に過ぎない。その対策には、スマートフォン等活
用し、誰もが直観的に操作でき、ニーズや課題を的確に把握することが必要である。
     粗大ごみ受付け手続きをLINEで、同時に支払いもできるようにする。
  A市民通報システム:市民が道路の損傷などのまちの問題を発見し、市民通報システム(アプリ)で役所に通報する仕組み。  住民が主体的に行政課題の解決に参画する。
  B「点」のデジタル化:
    AIを活用した相談対応件数の急増、児童福祉士不足の深刻化に対応する等々。
  C「面」のデジタル化:銀行口座も持てない貧困層に直接、給付を届ける等。
    決済、個人間送金、医療、観光などあらゆる領域で、民間企業がサービス提供に利用。
    社会全体のキャッシュレス化、デジタル化を支えるインフラに
(4)なぜ行政のデジタル化が進んでいないのか
  @利用者目線でサービスが設計されていない、
AIT専門人材の不足、B旧態依然とした組織文化
  ・デジタル技術は情報部門に限らず、すべての職員に参加の機会がある道具だ。
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「本当は危ない国産食品「食」が「病」を引き起こす」

奥野修司

「本当は危ない国産食品「食」が「病」を引き起こす」

新潮新書20.12.20

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はじめに
  今の農薬の特徴は、浸透性で、農薬を根っこにまくと植物が吸収して、全体の細胞に行き渡る。当然食べる実にも農薬が浸透している。ビニールハウスの中でも農薬がしっかり浸透しているのを知らねばならない。
第一章 「国産は安全」神話
・ 日本のお茶からは100%ネオニコチノイド系農薬が出るが、基準値の数%に過ぎないので過度の心配は必要ないと語られているが・・・。
・ 東京都は毎年、「国内産野菜・果実類中の残留農薬実態調査」を行い、平均して約6割の農産物からネオニコが検出されている。この値は、EUやカナダ、台湾、韓国に輸出すれば検疫ではねられるほど高い。それがなぜ、日本のスーパーでは売られているのかといえば、EUなどに比べ、日本の残留基準値が信じられないほど緩いからだ。
・ 数年前にフランスで取材した時に、立ち寄ったスーパーの棚で見た日本産茶葉のほとんどが無農薬だった。通常の栽培法ではEUに輸出できない。農水省はそのためのマニュアルを作っている。
・ ネオニコは、多くの農薬とはずいぶん違う。多くの生物は、脳から信号を受け、神経細胞で電気信号をアセチルコリンに変換して放出し、情報が伝わる。ネオニコは、昆虫のアセチルコリン受容体にくっついて神経を興奮させ続けることで殺す仕組みだ。哺乳類の受容体は、昆虫とは形が違うのでくっつき難く、人間には安全と言われてきたが、最近その安全神話がゆらいでいる。
・ 最初に出てきた問題は、ミツバチの大量死にネオニコが関係しているのではないかという疑問だった。一般的にDDTは怖いイメージがあるが、ネオニコのミツバチへの毒性はその数千倍で、ミツバチなどの昆虫がいなくなれば、種子植物は受粉できなくなり、農業が成り立たなくなるのだ。さらに、人間の脳神経にも影響することが明らかになりつつあるという。
・ 日本で化学的農薬が使われ始めたのは戦後で、DDTやBHCが使われ、80年代に使用禁止になった。その後有機リン系殺虫剤が登場したが、人間にとっても毒性が強く禁止されていった。替わって、90年代にネオニコが登場した。有機リン系同様、昆虫の神経伝達を攪乱して殺す仕組みは同じだ。「人に安全な殺虫剤」として売り出されたが、ミツバチが消えたことで問題になった。
 虫が野菜をかじれば死ぬということは、人間の身体にも影響がないわけがない。お茶や野菜から農薬が検出されるように、それを食べる日本人の身体からも農薬が検出されることになる。
第二章 密室で決められる安全基準
・ 2017年の主要国の農薬使用量はOECDによると右図のようで農薬を多く使用するのは日本で、病虫害が発生しやすい温暖な気候と、農薬を大量に使う政策がとられてきたことが要因だ。
・ ある県の農薬ガイドラインでは、慣行栽培の農薬使用回数は、キュウリ56回、トマト54回、ナス59回、イチゴ63回だ。農薬漬けの「きれいな野菜」はとても危険である。
・ 食べても健康被害が出ないようにと残留基準値が定められているが、日本のお茶の基準値はEUの2500倍も高い。ホウレンソウも1000倍も高く危険な状態といえる。
・ 農薬も医薬品も化学物質だから人間には毒である。でも、医薬品は市販前に、フェーズ1からフェーズ3まで何度も人間で安全性を試験する。しかし、農薬はラットなどで試験をしただけで、人での安全性を直接確認せずに、売られている。ワクチンで一人でも死んだら、そのワクチンは使えなくなるが、農薬で一人が死んでも政府は目をつぶる。証明が難しいからだ。
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青木茂「万人坑に向き合う日本人」

青木茂「万人坑に向き合う日本人」
花伝社20.11.25

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まえがき
  日中15年戦争による中国人死傷者は、中国の統計によると3500万人、死者は2100万人になる。戦争中に、日本の民間企業により強制労働させられた中国人は約4000万人で、約1000万人が死亡と推定されている。その膨大な遺体の捨て場が「万人坑」と呼ばれている。その万人坑に
 通い、向き合っている3人の日本人の人生に迫ることができた。
第一部 大東仁さん
第1章 中国人強制連行・強制労働と大石橋マグネサイト鉱山万人坑
・ 1931年9月18日の柳条湖事件を口実に満州への侵略を公然と始めた日本は、1937年には盧溝 
 橋事件をきっかけに中国への全面侵略を開始、1941年に米英に宣戦布告しアジア太平洋戦争に突入する。日本は広大な戦線に兵士を大量に送り込むため、膨大な数の青壮年男子を根こそぎ徴兵。そのため、日本国内では深刻な労働力不足に陥った。東条内閣は、「華人労働者内地移入に関する件」を1942年に閣議決定し、約4万人を移入し、炭鉱・鉱山・港湾・土木建設等で過酷労働させ、6830人もの中国人が死亡している。傀儡国家・満州においては王道楽土を標榜し、膨大な数の中国人を駆り集めて奴隷のように強制労働させた。1640万人と言われている。
・ 強制連行や徴用を「募集」等の手段で集められた中国人被害者は、鉱山、巨大ダムや日本軍基地などの建設工事現場に送られ、監禁され、陰惨な労働を強制された。「満州国」時代の「日満商事調査統計月報」には、日本の企業に関する様々な記録や統計が収録されている。西安炭鉱の労工8万人の死亡率は1年以内に100%となっている。日本国内の17.5%に比し、あまりにも大きい。
・ 満州国をでっちあげ、中国東北部を支配した日本は、満州国防衛と近い将来に想定されるソ連との戦争に備えるため、ソ連国境沿いに大規模な要塞群建設を進め、その工事のために320万人の中国人を徴用し、過酷な労働のために100万人余が死亡した。
・ 本多勝一は、戦争中の日本軍の行動を、中国側の視点から明らかにしようと現地取材し、『中国の旅』を刊行した。ベストセラーになり敗戦後4半世紀後に日本人は初めて知ることになった。それまでは千何百万人もの中国人が殺された事実を日本人はうわさ程度にしか知らなかった。大石橋マグネサイト鉱山の万人坑を見て、こんな恐ろしい光景は、生涯で初めてだと記した。しかし、日本メディアではその後、ほとんどそれに関しては報道していない。報道規制しているのだ。
第二章 大東仁さんと大石橋マグネサイト鉱山万人坑
・ 本多勝一の『中国の旅』を読み、大東さんは万人坑に衝撃を受け、自分の目で見ることを目的に大学3回生の時に中国に出かけた。その30年後の今、大東さんは愛知県一宮市の真宗大谷派の名刹・円光寺の住職として、地域の人々と密接に繋がりながら日々を過ごしている。また、中国に残る日本の侵略犯罪の後を訪ねる訪中団を主宰し、中国各地を訪ね歩いている。
・ 大東さんは、アジア各国への侵略に日本全体が向かい戦争を強行する時代に、仏教を含む宗教界が日本の侵略を肯定し、先導までして侵略に加担した責任を厳しく問い続け、真宗大谷派
の僧侶で、反対した僧侶を掘り起こしている。
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E.H.ノーマン「日本における近代国家の成立」

E.H.ノーマン

「日本における近代国家の成立」

大窪愿二訳1953.6.15


第1章 序論
  全篇を一貫する中心課題は、明治維新(1868)後における中央集権的・絶対主義的国家の急速な創始と、国家の保護統制を条件とする工業的経済の発達を解明することである。明治日本は、現代日本の中に跡を留めているばかりか、隆々と生きている。官僚や軍人階層の発達と網目状の分岐、政党と議会の無気力、企業に対する国家干渉、西洋技術の適用、人口過剰の農村と小規模構造、国内市場の購買力等々の理解には、徳川時代の特質の明確な把握が必要だ。
第2章 明治維新の背景
・ 日本が封建経済の束縛を打破し得たのは、@封建社会の内部的危機、A西洋列強の圧力である。
幾重にも積み重ねられた身分制度の頂点に位した徳川宗家と尾張、紀伊、水戸の御三家で、国土
のほぼ1/4におよぶ直領地を支配し、その内には大商業中心地である江戸、堺、京都及び長崎が入っていた。徳川家の主たる財源は年貢米で、石高は年産2800〜2900万石を占めていた。また、鉱山経営や種々の専売権なども有力な収入源であった。国土の残り3/4は封建領主・大名に分割されていた。譜代大名は176家、外様大名は86家で、藩政は半ば自治を許されていた。
・ 将軍および諸侯の下に位する武士階級は、扶持の代償として領主に従う義務を負っていた。初  
期封建時代には武士はほとんどが農耕者であり、戦時は領主に従い、平時は各自の田畑を耕作していた。武士と農民の階級分化を強化したのは豊臣秀吉である。1585年刀狩により、人民による一揆の危険を喰い止めるとともに、一切の生産機能を武士から引き離した。
・ 財政収入を農民に依存し、保護防衛を武士に仰いだ幕府は、町人階級を最下層に置き、無数の制約を以て拘束した。徳川の法典には「切り捨て御免」が明記されていた。しかし、商人が経済力を増すとともに、次第に重要な地位を獲得し、都市の発達を促した。商人は少数の大独占卸問屋を形成し、幕府から特権を与えられる代わりに「運上」を差出し、武士階級の町人への依存度が増した。
・ 徳川政権末期、地震、洪水、飢饉、火事のような天災が全国を荒廃させた。農業条件が劣悪で、慢性的な農業凶荒は農民一揆を発生させた。大都市には米騒動や打ち壊しが次々と起こり、都市貧民や農民の一揆を誘発した。
第3章 明治維新
・ 幕府の転覆は、薩長土肥の下級武士、浪人と少数の公家を指導者とし、京・大阪豪商の財力を後盾とする反徳川諸勢力の団結によって達成された。この画期的変革の指導層は、当時の政治的代弁者たる上流武士および封建領主に次第に取って代わりつつあった下級武士の手に握られた。
・ 幕府の転覆と新政権の安定に深甚な影響を及ぼしたのは、日本の富の70%を持っていた大阪商人の経済的支援である。官軍の軍事行動に必要な御用金の大部分は三井家が提供したものである。
・ イギリスやフランスの革命は、大商業ブルジョアジーが封建貴族に対して、封建勢力の最後の牙城である教会と王権に対して政治的闘争を行い、勝利した。それに対し、日本では負債のために破産した領主が、富力を誇る大阪の債権者に怨恨を持ちながらも、封建支配階級と大商人の利害が密接に撚り合わされていたために、関係を切れない状況にあった。
・ 大名階級は絶対的な負債の泥沼に沈んでいき、地位挽回のために専売業を営み、また小規模の工業を営なむ必要があると判断し、資本主義的工業生産組織が勃興していった。
・ 日本は西洋に倣って国内再建と工業化に向かうべき派と、対外的膨張政策強行派に分裂したが、前者が優勢となり、国民的独立を達成し外国による侵入の脅威を回避することとなった。
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2021年02月06日

朴勝俊「財政破綻論の誤り」

朴勝俊「財政破綻論の誤り」

   青灯社20.6.25

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はじめに
  世界各地の医療施設で人員・設備・機器の不足が表面化し、医療崩壊もいうべき状況が報じられている。日本では、PCR検査数が絶対的に少ないため、実際の患者数は誰にも分からない。日本の対応が後手に回った理由は本書との関係では、保健衛生インフラの切りつめが挙げられる。コロナ危機は、リーマンショックや世界大恐慌を凌ぐと指摘され、数百兆円規模の経済対策が世界で行われているのに対し、日本では渋っている。
  その要因は、『財政破綻論』の弊害で、日本経済の停滞も、公衆衛生や社会保障の危機も、根本的な原因は、この財政緊縮主義だ。平成時代以来の経済停滞の中で、財政緊縮主義の結果として精神や身体を病み、路頭に迷い、命を絶った人々が、膨大な数に上ることは間違いない。日本政府の対応が後手後手に回り不十分なものとなったのは、財政緊縮主義の弊害だ。
第1章 なぜ財政破綻論は信じられやすいのか
・ 借金や債務は人間にとって、とても恐ろしい。古代、鋳造貨幣が流通するようになると、あまりに大勢の人々が債務を返済できずに奴隷的な状態に陥り、社会の混乱が極めて大きくなったことが、キリスト教やイスラム教で利子を禁止するようになった原因と考えられている。
・ 緊縮策は「財政健全化」とも呼ばれ、社会保障や公共事業などの政府支出を減らし、増税をすることによって、財政赤字を減らそうとする政策だ。テレビや新聞等のメディアで財政破綻論が拡散され、多くの人が信じている。もともとは財務省の広報資料や、財政学者の危機の訴えからだ。
・ 1970〜80年代の日本は、経済が活性化し成長していた。ところが1973年に発生したオイルショックの影響で「建設国債」限定の発行規制を緩和し、「赤字国債」が通常予算として戦後初めて発行され大平大臣の「万死に値する!一生かけて償う」の発言に。
・ 現在では、国債残高が900兆円規模にもなったが、日本経済は右肩上がりで成長している。1989年日経平均株価が史上最高値を付けた後、1990〜92年に不動産バブルがはじけ、バブル崩壊後、日本の不況は深刻化し、税収は減り、財政赤字を国債で埋め合わせ続け、消費税増税が続き、アジア通貨危機も発生した。
・ しかし、2019年末で政府債務対GDP比が約240%に達しているにもかかわらず、日本政府は財政破綻に至っていない。逆に、日本政府の健全性を信用して、外国金融が日本国債を買っている。財政破綻論が広く信じられているのは、経済学の教科書が貨幣に関する理解が間違っているにもかかわらず、それが定説として受け入れられているためだ。
第2章 貨幣の理解――部門別バランスシートを用いて
・ 貨幣と財政の本質の理解には、バランスシートの理解が不可欠だ。 一般企業のバランスシートは右図のように、左側に資産が示される。 流動資産は金融資産の他に、販売する商品の在庫や原材料なども含む。右側には負債と純資産が示される。負債は、一年以内に支払い
を求められる流動負債と、支払期限が1年を超える固定負債に分けられ、左側の資産と右側の負債の差が、純資産となる。純資産は、資本金と利益剰余金である。
・ 負債は会計上の概念で、特定の人におカネを支払う義務で、債務に該当する。一般に企業が破綻するとは十分な資金が得られなくなって債務が履行できなくなることである。      
・ 右図の東京電力のバランスシート(単位:億円)に注目すると、13兆円近い資産と10兆円近い負債と、3兆円規模の純資産を持った巨大な企業だ。ただし、東京電力の負債には、重大な債務(F1事故被害者賠償債務)を書き込めば、債務超過になるので、政府は事故直後、債務超過にさせないことを閣議決定し、損害賠償制度を作り政府が電力に資金を「与える」のであって、「貸す」のではないことに注意せねばならない特異な特例である。
・ 右図の三井住友銀行のバランスシート(単位:兆円)は東電と比べても巨大だ。116兆円の預金は負債で、おカネを発行していることを示す。人々の預金と融資額=信用創造で、預金を創り出すことが銀行の機能である。
政府および日銀のバランスシート(単位:兆円)
  政府(左下)にも日銀(右下)にもバランスシートがある。日銀は一種の企業なので当然だが、政府は最近作られるようになった。政府の負債は1239兆円で、約1075兆円 が公債・借入金・政府短期証券の合計で、俗に「国の借金」などと呼ばれ、純資産は△568兆円だ。
日銀の資産は約574兆円で、ほとんどが国債で、金地金や現金はごくわずかだ。日銀当座預金は民間銀行などが日銀の口座に預けている預金で、日銀の資産はわずか3兆円で、資本金は1億円だ。政府は徴税権、子会社日銀は貨幣をつくることができるので、財政破綻することはない。
第3章 バランスシートで分かる貨幣と財政の本質――MMTからの示唆
・ 貨幣と財政の本質を理解するうえで、MMT(現代貨幣理論)の知見が役に立つ。
・ 経済は複雑なので、常識や直感で考えても間違うことがある。政府は税金を集めて政府支出を行うものだと考え、税金よりも政府支出が多ければ、赤字国債が発行されて、将来世代の負担になると考えられているが、この理解は間違いでしかない。実際には、政府は支出によって貨幣を発行させ、徴税によって貨幣を回収するのだ。したがって、支出と税収の差額である財政赤字は、回収されずに世の中に残った貨幣の量を意味し、将来世代の負担になることはないのだ。
・ MMTは、租税が貨幣を動かす(Taxes drive money)という租税貨幣論で、信用貨幣論と並んで、おカネがなぜ価値を持つのかという問題に対する説明である。政府が支出することによって、世の中におカネが生まれ、あとで税として回収する、これが「スペンディング・ファースト」だ。
・ 日本の国債には、普通国債(建設国債等)と財政投融資国債の二種類あるが、基本的には同じもので、政府は国債を財源として政府支出し、民間の金融純資産を増やすことになる。しかし、政府の黒字、民間の赤字はバブルの注意報で、財務収支の黒字を単純に喜んではいけない。
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