江東区議会傍聴
「江東5区マイナス地域浸水を無視していません?」
はじめに:
コロナウイルス感染数の変動の中、課題山積の区議会質疑を聞く機会に恵まれた。本会議、各種委員会では、江東区の最大課題「マイナス地域防災対策」に注目した。
日 程:
6.8 本会議 6.14 区民環境委員会
6.16 建設委員会 6.17 文教委員会
6.23 防災・まちづくり対策特別委員会
6.24 医療・介護・高齢者支援特別委員会
地下鉄8号線延伸・交通対策推進特別委員会 江東5区広域避難推進協議会・水害ハザードマップ
《本会議・委員会で注目された点、質疑等》
6.8 本会議
区長挨拶:地域防災都市江東実現に向けて真剣に取組んでいる。コロナ対応体制ができ、社会活動が再開し、環境フェアなどが動き出した。地下鉄8号線の活用については各位の協力を得たい。
議員一般質疑から:
・ 山崎区政の3年間の公約達成度について、重点プロジェクトの@水彩環境都市づくり。A地域活性化、B防災都市実現は達成されていないのではとの質問があった。区長からは、首都直下型地震対策は着実に進んでいると回答があった。(マイナス地域防災は全く避けていた。)
・ 中小企業支援についての質問があり。@BCP策定が28%になったと回答。
・ 区民の暮らしへのアベノミクスの打撃、人材センターのインボイス制度の中止、非正規雇用で賃金の上がらない労働者への支援、給食費の公費化などについて厳しい質問が出された。
6.14 区民環境委員会
・ 自衛隊募集時の住民基本台帳閲覧中止、受動喫煙防止強化、羽田新ルートなどの質疑が続いた。
・ 区立スケートボード・パーク整備を夢の島に進める。クラウドファンディングを活用する
・ 江東区産業実態調査が報告された。多岐にわたる貴重な調査ではあるが、江東区の最大課題「マイナス地域防災に関する質問」がなかった。
6.16 建設委員会
・ 電線地中化に関する陳情:電柱倒壊の危険個所が何カ所かの質問に対し、液状化地点が心配だが、仙台堀川公園は問題ないとの回答。5年に及ぶ長期継続になっているので電線地中化問題を再認識することができた。20分の質疑後、正副委員長に陳情者を招いての陳情撤回要請があった。
・ 仙台堀川公園整備:経年劣化の公園が住民意見を入れ、安全・魅力の増した公園に改修できた。
・ 若洲風力発電所は、障害が増し経年劣化が進み、改修を続けているが、存続が難しい。
6.17 文教委員会
・ 区立幼稚園廃園問題、不登校の居場所づくり、放課後子供プラン、小中学校給食費無償化、私立学童クラブへの支援を求める陳情等が出され、区議からは抜本的再検討が求められた。
@ 園児減少に対応するとの回答や 外国籍中学生の調査の必要性が挙げられた。
・ 都立中学校英語スピーキングテスト中止:問題のベネッセ業務発注に対する疑問が提起された。
6.23 防災・まちづくり対策特別委員会
・ こうとう安心ラジオ885:充電問題等課題の多い現状だが、保証期間も過ぎ今後は対応できない。
・「江東5区マイナス地域防災研究所創設」
@江東区は国や東京都との連携を進め、防災問題に真摯に対処している。2019年の台風19号で江東区の課題が多くの住民に理解された。防災タイムライン等作成を進め、国や東京都との協議を進め、都からは広域避難場所として代々木公園の使用を獲得できた。
・陳情者に対して説明し理解を求めたが、現状の対策では取り下げられないとの回答を得ている。
・ある議員からは、本件は不採択にすべきとの提案がなされた。
・マイナス地域防災について、研究所の協力を得て対処できないかとの質問が出された。
@江東5区広域避難推進協議会で検討しており、区としてはその予定はない。
・既存の研究所での検討がどこまで進んでいるかについて、防災課長の認識が問われた。
@避難計画検討に対し、研究者は大規模水害・浸水を予想している。
・防災課長の回答では不安を感じる。 ・議論が続き、本件は継続審議となった。
報告事項
・ 江東区総合防災訓練:詳細なシミュレーション、避難対策が必要だ。防災訓練では避難場所の鍵が開かないなど課題は多い。備蓄倉庫が山積みで何処に何があるか不明だった。
・ 江東区の新たな被害想定:都の被害想定が耐震耐火の進み等で10年前からかなり減少した。
・ 江東区都市計画マスタープラン2022:大規模開発中心で、住宅に対する検討が大幅に縮小した。
2019年台風19号のような大規模災害の対応が不十分との意見が出された。
6.24 高齢者支援・介護保険制度特別委員会
・ ケアプランの有料化は行わない・介護保険料を引き下げる陳情:安心して健康管理が行える江東区にすべしとの意見が議員から。熱中症対策を進める。一人暮らし高齢者が5割になっているので必要な対応を。認知症検診の実施を行う等諸課題の検討要請があった。
6.24 地下鉄8号線延伸・交通対策推進特別委員会
・ 長い長い区の夢がかない前進することになった。事業費は2650億円で、国25.7%、都48.7%、その他は事業者が負担となる。東京メトロは完全民営化を進めており、誘致をアピールしてきた区の基金100億円などが有効になる。完成は2035年ごろとなっている。
・ 地下鉄8号線沿線まちづくり構想:地域住民・学生・専門家などの委員会を開催し策定する。
《 検討課題 :産業実態調査から見えてくるもの。浸水対策支援 江東区条例創設を 》
・ 貴重な江東区産業実態調査がなされたが、事業継続計画(BCP)が十分に進められていない。
江東区の最大課題は「マイナス地域防災」で、温暖化による台風の大型化などの浸水対策である。
さらに今後30年間に70%の確率で予想される首都直下型地震で、堤防の越水や堤防破損が想定されており、荒川の海水侵入による大規模災害が予測されている。国土交通省荒川下流河川事務所のシュミレーション「荒川氾濫」によると地下鉄内が浸水し、霞が関まで浸水で機能不全になると予測されている。そのマイナス地域水害問題を十分予測・対策せねばならない。
・ 産業実態調査には、最大課題のマイナス地域防災対策が欠けている。このために地域にある地上1階や地下1階の中小企業・商店、スーパーやコンビニに防災対策支援の江東区条例を早急に制定し、地域の中小企業・商店・スーパーなどの防災対策費支援を行う必要がある。特に区民が食生活を依存している「スーパーやコンビニ浸水対策支援」を行うための江東区条例が必要だ。
所感:長い間の江東区の夢「地下鉄8号線延伸」が実現し、費用負担などの現実的課題が生まれ
つつある。荒下・荒川氾濫によると地下鉄は危険だ。江東区の最大の課題マイナス地域防災
対策を優先すべきと痛感する。