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2023年09月19日

「アリの王国」映画上映会(共生科学研究センター 2023年度第2回臨時セミナー)

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108日(日)

ヤマキイサロン/大和・紀伊半島学研究所 共生科学研究センター  

2023年度第2回臨時セミナー:サイエンスドキュメンタリー映画「アリの王国」上映とパネルディスカッション のお知らせ

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共生科学研究センターでは今年度第2回の共生科学研究センター臨時セミナーとして、当センターの協力研究員である尾崎まみこ氏が製作に協力したサイエンスドキュメンタリー映画 「アリの王国」 の上映会及び映画製作者・関係研究者によるパネルディスカッションをハイブリッド形式で開催します。事前申込は不要です。子供から大人まで楽しめる内容ですので、ご興味のある方は奮ってご参加ください。


日時:108日(日) 14:0016:00

対面会場:奈良女子大学 記念館講堂(13:30開場)

オンライン(Zoom)参加:https://us06web.zoom.us/j/85901495071?pwd=QlB2dDhucGNHSGFBTXdBeGNFK3hDQT09

トピック:「アリの王国」、ミーティングID: 859 0149 5071、パスコード: 967453


プログラム:

Part 1 映画製作者とアリ研究者の対談(14:0014:30、開会の挨拶含む)

Part 2 映画上映(14:3015:30

Part 3 パネルディスカッション(15:3016:00、閉会の挨拶含む)


参加費:無料(データ通信費用は自己負担)

事前申し込み:不要


問い合わせ先:共生科学研究センター/酒井 敦 

e-mail: sakai@cc.nara-wu.ac.jp

tel: 0742-20-3425



作品概要: アリたちは、明確に役割を分担しながら社会性に富み統率の取れたコロニーを作りあげ、小さな体でありながら多くの個体が統率のとれた集団行動を示し、どんなに強い相手に対しても組織力で圧倒してゆきます。そうしたアリたちの生態や行動が、実は私たちの未来社会の扉を開く可能性を秘めていることをご存じでしょうか?この映画では小さなアリたちの生き方の中に、私たちがこれから迎える巨大情報ネットワーク社会の時代を生きていくうえでのヒントを探してみます。

講演者:モトキ シンイチ(監督・プロデューサー)、阿部真人(同志社大・文化情報)、尾崎まみこ(奈良女子大・共生科学)、土畑重人(東京大・広域システム)



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2023年08月24日

2023年度東吉野村野外体験実習(8月)が無事終了いたしました

 89日(水)に東吉野村で野外体験実習を実施しました。今年は小学生13名、中学生2名、保護者10名の方々にご参加いただき、奈良女子大学のスタッフ13名を加えた総勢38名で実習を行いました。


 四郷川での野外実習を行う予定でしたが、当日あいにくの増水のため、大和・紀伊半島学研究所分室(旧四郷小学校)での室内実習に変更となりました。


 「川の生き物について学ぼう!」と題した実習では、スタッフが事前に四郷川から採集した水生昆虫や魚を観察しました。


 バットの中で動き回っている大小さまざまな昆虫を、丁寧に仲間分けしていきました。するどい観察眼で、葉にうまく隠れて生活している昆虫がいることにも気がつきました。また、水生昆虫にも肉食のものと草食のものがいることや、これまで地上で成虫の姿しか見たことがなかった昆虫の意外な幼虫期の姿など、新たな気づきや出会いが多くありました。


 最後は見つけた昆虫をみんなで報告し、同じ川でも深くて流れの緩やかなところと流れの急なところとで、住んでいる昆虫の種類が異なることを学びました。


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 次に「こんなところに!水中の小さな生き物を顕微鏡で見てみよう」と題した実習で、四郷川やそのほかの河川、池、海にすむ微生物を顕微鏡で観察しました。


 観察とミニ講義を通じて、水辺のヌルヌルした石の表面には、肉眼で見ることのできない単細胞の藻類や、それらを食べて生活している小さな動物がたくさん生活していることを学びました。さらに、これらの微生物は水生昆虫や魚など、より大きな生き物が生きるための大事なエサとなっていることを学びました。


 時間いっぱいまで顕微鏡を真剣にのぞいて生き物を探し、環境によって住んでいる微生物の種類も異なることに気付きました。見つけた生き物でビンゴゲームにも挑戦しました。少し難しかったですが、ビンゴを達成できた参加者の方も多くいました。また、藻類の緑色や黄土色をした葉緑体を、色鉛筆を使ってとても上手にスケッチしている方もいました。不思議な模様をしたガラスの殻をもつケイ藻を見て、「これが藻なのですか?」と質問される場面もありました。


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 楽しみにしていただいていた川での実習は行うことができませんでしたが、参加者の皆様のご理解とご協力に感謝いたします。今回の2つの実習が、河川の環境や、一見しただけでは存在に気が付きにくい生き物の多様性について想像する楽しみに少しでもつながりましたら非常に幸いです。


 実習後のアンケートでは多くのコメントいただきましてありがとうございました。東吉野村野外体験実習は、来年度も安全性に最大の配慮をしつつ、内容を工夫しながら実施する予定です。今回ご参加いただけなかった皆様もぜひ、またの機会にご応募ください。
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2023年08月08日

東吉野村野外体験実習(8月)は予定通り実施いたします

8月9日(水)の東吉野村野外体験実習(8月)は、予定通り 実施 いたします。
道中お気をつけてお越しくださいませ。
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2023年07月25日

2023年度東吉野村野外体験実習(7月)が無事終了いたしました

 2023722日(土)に東吉野村で野外体験実習を行いました。今年は小学生7名、保護者6名、奈良女子大学からスタッフ6名、林業体験のスタッフの方々8名を加え、総勢27名で実習を行いました。


 はじめに大和・紀伊半島学研究所分室(旧四郷小学校)にてミニ講義を行い、草と木の違いや年輪のでき方、心材・辺材といった材木の構造などのトピックについて学習しました。児童からは木は腐らないように木なりに頑張っているのだと分かったという声が聞かれました。

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 次に林業体験場へ移動し、樹皮はぎとロープの結び方の実習を行いました。ザラザラした樹皮を竹べらで木の幹からはがしていくと、驚くほどしっとりと水分を含んだ、きれいな白色をした層が現れました。今回はがした樹皮は実際の製品に使用するのだと聞き、みな真剣になって取り組んでいました。一枚の大きな樹皮が取れたときには達成感がありました。また、先のミニ講義で習った年輪や心材・辺材を実際に見ることができました。

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 ロープの実習では、もやい結びを習いました。もやい結びは、結びは強いけれどほどこうとすると簡単にほどくことができ、いろいろな場面で役に立ちそうです。もやい結びのことを「おやごろし」とも呼ぶそうで、なおのこと印象に残りました。また、木の幹の高いところにロープをかける方法も習いました。これがやってみると難しく、上手にできたときには「おおー!」とみなから声が上がりました。

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 最後にふたたび分室に移動し、木の高さの測り方を学習しました。三角関数を使用すれば、自分から木までの距離と木の頂点を見上げる角度から木の高さを知ることができるということを体験しました。実際の高さをほぼ正確に当てることができた参加者もいました。あいにく土砂降りとなってしまい、本来予定していたドローンを使用した測定は行うことができませんでした。しかし、みな時間いっぱいまで長さや角度を測ったり筆算したりして、一生懸命取り組みました。
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 暑い日でしたが、無事実習を終えることができ、スタッフ一同ほっとしております。参加者の皆様のご協力に感謝いたします。また、実習後のアンケートで多くのコメントいただきましてありがとうございました。

 東吉野村野外体験実習は、今後も様々な工夫を取り入れながら引き続き開催して参ります。今回ご参加いただけなかった皆様も、またの機会にぜひご参加ください。

 今年度は8月にも川の水生昆虫や微生物の採集・観察をテーマとした実習を予定しております。参加は抽選となりますが、ご応募お待ちしております。

posted by 共生科学研究センター at 13:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 野外体験実習

2023年07月21日

東吉野村野外体験実習(7月)は予定通り実施いたします

7月22日(土)の東吉野村野外体験実習(7月)は、予定通り 実施 いたします。
道中お気をつけてお越しくださいませ。
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2023年06月27日

R5東吉野村野外体験実習(8月)参加者募集のお知らせ【募集期間7/1〜25】

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今年度2回目の野外体験実習を、8月9日(水)に東吉野村(奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所分室、旧四郷小学校)にて、日帰りで行います。

【実習内容】
・川の生き物について学ぼう!
 〜川に入って観察してみよう〜
・こんなところに!水中の小さな生き物を顕微鏡で見てみよう


【日時】2023年8月9日(水)
 奈良女子大学集合の場合:8:45〜18:00
 現地集合の場合:11:00〜16:00
※中止の場合は、本ホームページにてお知らせいたします

【場所】奈良県吉野郡東吉野村大字三尾51-1
    大和・紀伊半島学研究所分室(旧 四郷小学校)

【定員】24名(保護者含む)※定員を超えた場合、抽選となります

【対象】小1〜中3(保護者同伴可、小1〜3は保護者同伴必須)
※多くのお子様に参加頂きたいため、子供1人に対し保護者の付き添いは1名まででお願いいたします(抽選になった場合、満たしていないグループは選外となります)
※保護者の方も申し込みが必要です。

【参加費】無料

【申込】
申込フォームをクリックし、必要事項をご記入の上「送信」ください。
申込期間は 7月1日(土)から 7月25日(火)までとなっております。
   申込フォーム ←クリック!

【行程】
・奈良女子大学からバスをご利用の場合
 8:45〜 受付
 9:00〜 バス出発
10:45〜 東吉野村到着
11:00〜 実習スケジュール説明、昼食
12:15〜 実習準備
12:30〜 「川実習」を実施
14:00〜 「顕微鏡実習」を実施
15:00〜 記念撮影等、帰りの準備
15:45〜 バス出発
18:00  奈良女子大学到着、解散

・現地集合、現地解散の場合
10:50〜 現地で受付
11:00〜 実習スケジュール説明、昼食
12:15〜 実習準備
12:30〜 「川実習」を実施
14:00〜 「顕微鏡実習」を実施
15:00〜 記念撮影等、帰りの準備
15:30〜 順次解散


【お問い合わせ】
奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所 共生科学研究センター 
mail: kyousei.nwu*gmail.com(*を@にかえてご入力ください)


東吉野村には、癒しの温泉や美味しい御食事処、前泊・後泊にご利用できる宿泊施設など、素敵な場所がたくさんあります。現地集合の方は、この機会にぜひお立ち寄りください。
東吉野村の観光情報はこちら→ 東吉野村観光協会HP


皆様のご参加をお待ちしております。

※コロナウィルスの感染拡大状況によっては、開催を中止、または内容を変更する場合があります。
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R5東吉野村野外体験実習(7月)参加者募集のお知らせ【募集期間〜7/14午前10時】

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 今年度1回目の野外体験実習を、7月22日(土)に東吉野村にて、日帰り、現地集合・現地解散で行います。


【実習内容】
 ・ミニ講義:樹の成長と林業について
 ・林業体験(講師:竹内信市氏)
 ・樹のサイズを測ってみよう

【開催日時】 2023年 7月22日(土)11:30開場
※警報等が発令された場合、ホームページ(http://www.nara-wu.ac.jp/kyousei/)で開催の有無を確認してください。

【場所】奈良県吉野郡東吉野村大字三尾51-1 奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所分室(旧四郷小学校)
※現地集合・現地解散です。現地に駐車スペースを用意いたします。

【対象】小1〜中3(保護者同伴参加可、小1〜3は保護者同伴必須)
※多くのお子様に参加していただきたいため、児童1人につき、保護者は1名までといたします(抽選になった場合、満たしていないグループは選外となります)。
※保護者の方も申し込みが必要です。

【定員】24名(保護者含む)※定員を超えた場合、抽選となります。

【参加費】無料(現地でコミュニティバス利用料がかかります。片道 大人100円、小人50円)

【申し込み期限】7月14日(金)午前10時

【申込】
申込フォームをクリックし、必要事項をご記入の上「送信」ください。
申込期間は 7月1日(土)〜7月14日(金)午前10時 となっております。

   申込フォーム ←クリック!

【行程】
11:30〜12:30 受付・昼食(※1)
12:30〜13:00 スタッフ挨拶、スケジュールの説明、安全上の注意、ミニ講義
13:00〜13:30 バスで林業体験場へ移動(※2)
13:30〜15:30 丸太切り、樹皮はがし、箸作り、樹木のサイズ測定等(2〜3班に分かれて実施)、記念撮影
15:30〜16:00 バスで分室に移動
16:00〜16:30 実習のまとめ、アンケート、分室で記念撮影、挨拶、解散

※1 11:30から分室を開放しております。昼食(お弁当等)を現地で食べることも可能ですし、近隣の飲食店等をご利用になった後に受付されても大丈夫です。
※2 講師をしてくださる林業家の竹内氏所有の山で実習を行います。


【お問い合わせ】
奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所 共生科学研究センター 
mail: kyousei.nwu*gmail.com(*を@にかえてご入力ください)


東吉野村には、癒しの温泉や美味しい御食事処、前泊・後泊にご利用できる宿泊施設など、素敵な場所がたくさんあります。現地集合の方は、この機会にぜひお立ち寄りください。
東吉野村の観光情報はこちら→ 東吉野村観光協会HP


皆様のご参加をお待ちしております。

※コロナウィルスの感染拡大状況によっては、開催を中止、または内容を変更する場合があります
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2023年05月30日

未来共創ネットワーキングセミナー開催のお知らせ

 共生科学研究センターでは、奈良未来共創委員会・異分野交流プロジェクト NU crossと共同で、「未来共創ネットワーキングセミナー」を開催していきます。
第1回は下記の要領で開催されます。


テーマ:気候変動問題とセンター/NASOの活動

講師:当麻潔氏(奈良ストップ温暖化の会 理事長)
コーディネーター・司会:瀬戸繭美(奈良女子大学)
コメンテーター:村松加奈子(奈良女子大学)

日時:2023年6月9日(金)09:00〜11:00、対面+オンライン ハイブリッド形式
対面開催場所:奈良カレッジズ交流テラス
要事前申し込みhttps://forms.gle/UFJkZwHdNZtfHK9h9

皆様のご参加をお待ちしております。
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2023年05月24日

センター臨時セミナー「陸上植物の多様性と進化」報告

 2023519日(金)16:2018:20、基礎生物学研究所の長谷部光泰氏を講師としてお招きし、「陸上植物の多様性と進化」と題するセミナーを、2023年度第一回ヤマキイサロン・第一回臨時共生科学研究センターセミナー、兼 奈良女子大学大学院人間文化総合科学研究科化学生物環境学専攻生物科学コース 生物科学特論B 公開セミナー として開催しました。奈良女子大学理学部会議室を対面形式の会場としたほか、Zoomを用いたオンライン配信を併用するハイブリッド形式で行い、対面で20名、オンラインで27名の参加者がありました。講演では長谷部氏自身の膨大な研究成果をもとに、植物の多様性を生み出すしくみを、遺伝子発現制御ネットワーク、幹細胞、組織形成の観点から整理してご紹介いただきました。講演後の質疑応答も活発に行われ、17:50の終了予定時刻を大幅に超過して熱心な議論が繰り広げられました。
posted by 共生科学研究センター at 13:24| Comment(0) | TrackBack(0) | センターの活動

2023年05月11日

共生科学研究センター臨時セミナーのお知らせ

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 この度、奈良女子大学大学院 生物科学コースの専門科目である「生物科学特論B」の講師として基礎生物学研究所の長谷部光泰氏に来学していただくこととなりました。この機会に、より多くの皆様に長谷部氏の研究内容である 「陸上植物の多様性と進化」 にふれていただく機会を設けるため、生物科学コース(生物科学特論B)・ヤマキイサロン・共生科学研究センター連携セミナーを開催いたします。下記のとおり、対面とZoomによるオンライン配信のハイブリッド形式で実施しますので、皆様奮ってご参加ください。

日時:2023519日(金) 16:2017:50

場所:奈良女子大学理学部会議室(A1階、南端)

およびオンライン

※ 対面会場の収容人数は40程度です。

※ Zoom ミーティング情報は下記の通りです。

https://us06web.zoom.us/j/83842939974?pwd=SW8vc2FBSlJHS0FsREhEcXIzUnFwUT09

ミーティングID: 838 4293 9974

パスコード: 792510

講演要旨

陸上植物の多様性をどう理解するか

長谷部光泰(基礎生物学研究所)


 全豹一斑。陸上植物の多様性を語るには、陸上植物を全て知る必要がある。しかし、約33万種の現生種に加え、現生種の多様性を知るために必須な多くの化石種を加えると、全てを記憶できる人は限られる。私にはできない。では、どうしたら良いか。多様な事象を体系化し、人間が理解できるようにするにはどうしたら良いのだろうか。

 古典分類群の系統関係に基づき分類しようというアイデアは系統分類学を生み出した。そして、遺伝子やゲノム解析技術の進展により、ほとんどの陸上植物の系統関係が明らかになった。個々の陸上植物をつなぐ連関図ができたことで、関連付けによる長期記憶がしやすくなった。しかし、多様性の本質である形質の進化については、数が多くて記憶できないという問題は改善しなかった。系統樹の分岐点に形質進化の方向を表示できるようになったが、分岐点の数だけ、いや、複数形質が進化することが多かったり、収斂進化が多々起きているので、分岐点の数の数倍の形質進化情報が分岐点に配置され、現生種の種数を超える形質進化の全貌を記憶し理解することは相変わらず困難だった。

 森羅万象の出来事がニュートン力学や相対性理論で統一的に理解できるようになったように、多様な現象に共通原理を見出すことは、多様な現象の全てを記憶しなくても、多様な現象を理解できる一つの方法である。生物多様性の理解においては、ゲノム生物学と発生進化学がこの役割を担った。遺伝子の異なった発生段階への転用、遺伝子制御ネットワークの改変、細胞分裂伸長や位置情報の変化による大きな形態変化などの基本原理が明らかとなり、これらの原理を共有する形質進化を、関連付けて長期記憶することが可能となった。

 このように、この30年間の広い意味での多様性生物学の進展を集積すれば、陸上植物の全種の形質を覚えなくても、陸上植物全種の多様性を理解できるのではないだろうか。自分はもとより、誰もが、努力せずとも、自分の頭で陸上植物の多様性の全貌を理解し、多様性を語れるようになる術をみなさんと一緒に考えてみたい。
posted by 共生科学研究センター at 09:46| Comment(0) | TrackBack(0) | センターの活動