8月9日(水)に東吉野村で野外体験実習を実施しました。今年は小学生13名、中学生2名、保護者10名の方々にご参加いただき、奈良女子大学のスタッフ13名を加えた総勢38名で実習を行いました。
四郷川での野外実習を行う予定でしたが、当日あいにくの増水のため、大和・紀伊半島学研究所分室(旧四郷小学校)での室内実習に変更となりました。
「川の生き物について学ぼう!」と題した実習では、スタッフが事前に四郷川から採集した水生昆虫や魚を観察しました。
バットの中で動き回っている大小さまざまな昆虫を、丁寧に仲間分けしていきました。するどい観察眼で、葉にうまく隠れて生活している昆虫がいることにも気がつきました。また、水生昆虫にも肉食のものと草食のものがいることや、これまで地上で成虫の姿しか見たことがなかった昆虫の意外な幼虫期の姿など、新たな気づきや出会いが多くありました。
最後は見つけた昆虫をみんなで報告し、同じ川でも深くて流れの緩やかなところと流れの急なところとで、住んでいる昆虫の種類が異なることを学びました。
次に「こんなところに!水中の小さな生き物を顕微鏡で見てみよう」と題した実習で、四郷川やそのほかの河川、池、海にすむ微生物を顕微鏡で観察しました。
観察とミニ講義を通じて、水辺のヌルヌルした石の表面には、肉眼で見ることのできない単細胞の藻類や、それらを食べて生活している小さな動物がたくさん生活していることを学びました。さらに、これらの微生物は水生昆虫や魚など、より大きな生き物が生きるための大事なエサとなっていることを学びました。
時間いっぱいまで顕微鏡を真剣にのぞいて生き物を探し、環境によって住んでいる微生物の種類も異なることに気付きました。見つけた生き物でビンゴゲームにも挑戦しました。少し難しかったですが、ビンゴを達成できた参加者の方も多くいました。また、藻類の緑色や黄土色をした葉緑体を、色鉛筆を使ってとても上手にスケッチしている方もいました。不思議な模様をしたガラスの殻をもつケイ藻を見て、「これが藻なのですか?」と質問される場面もありました。
楽しみにしていただいていた川での実習は行うことができませんでしたが、参加者の皆様のご理解とご協力に感謝いたします。今回の2つの実習が、河川の環境や、一見しただけでは存在に気が付きにくい生き物の多様性について想像する楽しみに少しでもつながりましたら非常に幸いです。