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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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今月の俳句(平成29年7月) [2017年07月26日(Wed)]

今月の俳句(平成二十九年七月)

  兼題は「夕焼」。四季を通じて夕焼けは見られますが、俳句では単に夕焼といえば、夏の季語です。季節に合わせて、春夕焼、秋夕焼、冬夕焼と言います。

「影踏みの声響く里夕焼けて」
  湯澤 誠章


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影踏みとは何と懐かしい言葉でしょう。遊び仲間の一人が母親から「○○ちゃんご飯よう〜」と呼ばれるまで夢中で遊んだ記憶が立ち上がってきます。大勢の子供が夕暮れの里で影踏みに興じている景。里の西側の山の端は真っ赤に夕日に染まっています。平凡で平穏な日常の有難さがしみじみ伝わってきます。
今月より当句会に参加された新人の方の一句。新しい感性が光ります。


「夕焼けてだんだん遠くなる駅舎」
  木原 義江

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この句は写生俳句とは趣を異にしています。分類をするとすれば心象俳句といえるでしょう。気候・時間に関わりなく物理的には起点から駅舎までの距離は一定です。しかし、人の感覚は季節により時間により駅までの道のりを近くに感じたり遠くに感じたりします。誰でも感じるこれらの感覚は当たり前のことでしょうか。ひょっとしたら奇妙なことかもしれません。見過ごしてしまうこれら日常のちょっとした違和感を作者はしっかり捉えられました。
また、5・9・3の句またがりという手法で表現されたのは大きな前進だと思います。

「残照に光る白壁夏至の空」
  皆川 瀧子

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夏至は今年は6月21日でした。ご存じのとおり北半球では昼間が最も長い日です。夏至の強い日差しの残照ですから、日没後空はまだ夕日の光が照り映えています。その残照が輝かせている真っ白な壁(漆喰の白壁を想像しました)に、夏到来を実感されたのでしょう。さあ、いよいよ夏だと、生命力に満ちた季節を迎える高揚した気分が伝わってきます。

「碁敵や扇子を開きひとり言」
  渡辺 功

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広辞苑によると碁敵とは常日頃囲碁を楽しむ相手をいうそうです。仲が良いのは勿論ですが、そう単純でもないのが面白い。負けが続くと「憎いあんちくしょう」に変貌します。けれど決して絶交するような関係にはならない、味わい深い間柄なのです。この句で扇子を開いた方は窮地に追い込まれた方か、反対に相手の息の根を止める妙手を打って悦に入っている瞬間か、それは読み手に任されています。立場が違えばひとり言の台詞も違ってきます。扇子(夏の季語)を開くか閉じるかでも場面が変わります。作者の巧みな仕掛けが潜んでいます。

「平行の激論続く溽暑(じょくしょ)かな」
  皆川 眞孝

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溽暑(夏の季語)とは何をしなくてもじわじわと首筋から汗が流れ出て、不快指数80以上の嫌な感じのする暑さをいいます。日本の暑さは温度だけではなく湿度も高いことからとても耐え難いといわれています。
最近、「もり」だの「かけ」だの「日報」だのと平行の議論、不毛の議論、問題の本質からどんどんかけ離れていく議論で喧しいですね。この句から諸々の世の中の議論のための議論、無益な時間の浪費の議論などを思い浮かべました。まさしく溽暑のあのやり切れない不快感どおりの感想をお持ちの方もおありかと存じます。作者は先日まさにこのとおりの議論に疲れ果てた体験をされました。地区住民のためにご尽力いただいているのに、人生ままならないことが多いですね。溽暑の季語が効いています。

「朝もぎと一文添へて茗荷の子」
  小野 洋子

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茗荷(みょうが)の子(夏の季語)とは茗荷の花穂の俗名で、薬味として、みそ汁の具として日常的に口にしています。特に夏の盛りにはあのぴりっとした味と独特の香りで食欲を刺激されます。作者の自宅で栽培されているのでしょうか。その朝に収穫したばかりの茗荷をどなたかに届けられたのでしょう。「今朝摘みましたよ」という一筆箋を添えて・・・風雅ですね。厳しい暑さの続くこの頃爽やかな作者の心遣いが伝わってきます。

「漆黒の沖に連なり烏賊釣火」
  宮ア 和子

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烏賊釣火(いかつりび)が夏の季語。烏賊は昼間は海深く沈み、夜になると水面近くに浮き上がってくる習性があり、灯を慕って集まるので、集魚灯を照らして漁をします。烏賊は種類も多く、漁期も異なりますが、概ね夏季が多いので、烏賊釣、烏賊釣火は夏の季語となっています。夏の夜の海上に連なる烏賊釣船の美しく涼しげな景を素直に描写されました。

「背(せな)黒々と立像仏(りゅうぞうぶつ)や大夕焼」
   藤戸 紘子

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夕焼け空を背景に、立大仏のシルエットが黒々と見えるという、大変雄大な景で、日中の暑さを忘れてしまいます。作者が牛久大仏を拝観した時の句だそうです。牛久大仏は高さが120メートルあり、世界一の高さだそうです。夕焼けを直接描写せず、大仏の背が黒々としているという表現で、空の赤色が一層強調されます。作者の巧さが光る一句です。(句評:皆川眞孝)

今月の一句(選と評:木原義江)
「古戦場草生(む)す原を黒揚羽」
 藤戸 紘子

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作者が八王子城址に行かれた時の句だそうです。旅行をしますと日本各地に古戦場がありますね。城址ですと地元の歴史と観光に力を入れて宣伝しますが、戦のあった原には何もない、草の生い茂った夢の跡だけのようです。作者はその何もないわびしい草原に一羽の黒揚羽を見つけて作られた一句に惹かれました。(句評:木原義江)  

夕焼の他の句
「夕焼や飛行機雲の崩れ初め」
  渡辺 功
「夕焼や木の間ごしなるモノレール」
  小野 洋子
「夕焼雲向ふの果てに浄土あり」
  皆川 眞孝

<添削教室>(藤戸先生)
 「芝刈り機を上手く使へず汗しとど」
(添削後)「汗しとど振動強き芝刈り機」
 宮ア 和子

俳句では、こまかく説明した俳句はあまり高く評価されません。「うまく使へず」と説明するよりも「振動強き」とした方が、使い方が難しそうだと、読者に想像させることができます。
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
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