認知症高齢者と地域 [2016年03月27日(Sun)]
認知症高齢者と地域 日老連の保健委員会が、「認知症高齢者を地域で支えるために」というテーマで講演会を3月23日に開催したので、聞いてきました。 講師は、NPO「暮らしネット・えん」(埼玉県新座市)の代表・小島美里氏でした。小島さんは、認知症の人のためのグループホームやデイサービス、居宅介護支援を運営しているNPOの責任者です。 今回の講演は、認知症にならないための話ではなくて、認知症の人をどのように支えるかということがテーマでした。 私たちも、いつ認知症になるかも知れません。また、周りにも認知症の人もいるでしょう。経験豊富な小島さんのお話は、具体的で参考になりますので、要点を報告します。(皆川眞孝) <認知症は症候群のこと> 認知症とは知能が様々な原因で持続的に低下した状態で、慢性あるいは進行性の脳の疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、概念、理解、計算、言語、判断など多数の高次脳機能障害からなる症候群(WHOの定義から) ひとつの病気ではなく、脳血管型(脳梗塞、脳出血など)、アルツハイマー型(神経変性疾患)レビー小体型、前頭側頭型、その他さまざまな病気から発生し、症状もいろいろある。 残念ながら現在の医療では、認知症の進行を遅らせることができても、治療はできない。 <認知症の人を支えるための家族の心構え> 1. 過度に認知症を恐れない。(歪められた情報に振り回されない) 2 認知症の人だからといっても、何もかもわからない、という訳ではない。 3. 「わたしバカになった」と認知症の人にも病感がある。 4. 「できなくなったこと」を指摘しないで、「出来ること」」を見つけてあげる 5. 介護の仕方で認知症が治ることはない。(介護が不十分だったと罪悪感は不要) 6. 家族はそのとき出来る限りのことをすればよい。 7. 家族は「治療者」にならないほうが良い。(家族はどうしても感情的になりやすい) 8. 介護サービスや周囲の助けを上手に使う。(あまり隠したり、遠慮しないこと) 9. 「最後まで自宅で家族介護」が良いとは限らない。 (本人も施設にいた方が幸せということもある。) <認知症の人への対応の心得> 三つの「ない」が大切 1. 驚かせない 2. 急がない 3. 自尊心を傷つけない <具体的な対応の7つのポイント> 1. まずは見守る 認知症と思われる人に気づいたら、本人や他の人に気付かれないように、一定の距離を保ち、さりげなく様子を見守る。 2. 余裕をもって対応する こちらが困惑や焦りを感じていると、相手にも伝わって動揺させてしまう。自然な笑顔で応じて安心してもらうことが肝心。 3. 声をかける時は一人で 複数で取り囲むと恐怖心をあおり混乱しやすいので、一人で声をかける。 4. 後ろから声をかけない、遠くから声をかけない 一定の距離で相手の視野に入ったところで声をかける、かなり近づかないと意識されないことがある。唐突な声かけは禁物。「何かお困りですか?」「お手伝いしましょうか?」「どうなさいましたか?」「こちらでゆっくりどうぞ」など。 5. 相手の目線に合わせて優しい口調で 相手が小柄な方の場合は、体を低くして目線を同じ高さで対応する。 6. おだやかに、はっきりした滑舌で 高齢者は耳が聞こえにくい人が多いので、ゆっくりとはっきりした滑舌を心がける。早口、大声、甲高い声でまくしたてないこと。その土地の方言でコミュニケーションをとることも大切。 7. 相手の言葉に耳を傾けゆっくり対応する 認知症の人は急がされるのが苦手。同時に複数の問いに答えるのも苦手。相手の反応を伺いながら会話をしよう。たどたどしい言葉でも、相手の言葉をゆっくり聞き、何をしたいのかを相手の言葉から推測、確認する。 <認知症の人と介護家族を支えるために> 1. さりげなく適切に見守り支える 2. 認知症介護経験者は「自分の方法」を過度に押し付けない (人により症状も対処方法も様々であるので、一つの経験が有効とは限らない) 3.「徘徊」らしい人を見つけたときは、家族に連絡 (過度にならないお節介) 4. 認知症カフェやボランティアに参加しよう |
Posted by
皆川眞孝
at 09:00
森山良子の「あれ、あれ、あれ」という歌、軽快なメロディーで、内容は深刻でもユーモアたっぷり、楽しい歌ですね。
ご紹介、有難うございました。
皆さんにも聞いていただきたいと思いました。
皆川眞孝