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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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今月の俳句(27年5月) [2015年05月18日(Mon)]

今月の俳句(27年5月)

今月の句会の兼題は、季節にぴったりの「風薫る」「薫風」でした。木々の緑の香を運ぶ心地よい初夏の風の意味で、夏の季語です。今月のブログには、多くの兼題句が選ばれました。句評は(ご本人の句を除いて)藤戸さんが、今月の一句の選と評は皆川が担当しました。

「薫風を背(せな)に幼のすやすやと」
  皆川 瀧子


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幼(おさな)とは幼いこと、幼児のこと。幼児の寝顔は真に愛くるしいですね。この児は俯せに寝ているのか、おぶわれているのか、窓辺のベビーベッドで寝ているのか、など想像してしまいます。気持ち良さそうに寝息をたてている児の背を初夏の爽やかな風が撫でていく景が浮かびます。母と子の至福のひと時です。

「すれ違ふ異国の言葉風薫る」
  皆川 眞孝


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原画:手塚治虫

最近は日野でもよく外国人を見かけるようになりました。特にアジア系が多くなったように感じます。見かけは日本人と大差なく、言葉で外国人と解ったりします。何気なくすれ違った人々の会話が外国語で、あれっと驚いた瞬間を詠まれました。人とすれ違ったのではなく、異国の言葉とすれ違ったという絶妙な表現が光ります。風薫る、という季語によりこの異国の人々が日本の旅を楽しまれている様子が感じられます。

「薫風や薙刀(なぎなた)を持つ女武者」
  渡辺 功


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これは日野新撰組祭を詠んだ句。新撰組は会津藩の加勢をしたことから祭には白虎隊、娘っ子隊に扮した一団も練り歩きます。この句は会津藩の薙刀を持った娘っ子隊を詠んだものですが、うら若い娘達の凛々しい面立ちと薙刀の演武を見ると、当時もこうであったろうと複雑な心境になります。薫風という季語により女武者の清々しさ、初々しさが強調されました。

「だぶだぶの学生服や風薫る」
  木原 義江


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新一年生(小・中・高)も5月ともなると新学生生活に馴染んできた頃でしょうか。成長期の子は見る間に大きく成長します。親としては先を見越して少々大き目の学生服を用意したのでしょう。今はだぶだぶの服をこの子はちょっと不満かもしれない。我慢して着ているのかもしれない。そこに可笑しみが滲みます。風薫るの季語によりこの子の爽やかな心情がよく感じられます。

「少年の蹴球(しゅうきゅう)の笛風薫る」
  宮ア 和子


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蹴球とはフットボールのことで、普通はサッカーをさします。私が子供の頃は殆ど話題にならなかったサッカーですが、昨今はサッカーブームで、休日ともなると少年サッカーチームの練習や試合があちこちで行われています。サッカーの笛は、試合を左右する審判員の重要な小道具です。ピッチ(グランド)に鳴り響く笛、少年達の声、応援の歓声があがる中、初夏の気持ち良い風が吹き渡ってゆきます。風薫る、の季語が少年のサッカーとよく響き合っています。

「包丁の鋭き切れや初鰹」
  小野 洋子


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美味しそうな句ですね!研ぎ立ての切れ味鋭い包丁で、一切れずつ、すぱっと切り分けるあの手応えが伝わってきます。鰹の切り口がぴかぴか光っているのが目に見えるようです。分葱や茗荷をたっぷり盛って、生醤油でいただく初鰹はまた格別で、左利き(酒飲み)の御仁にはたまらない一品です。切れ味の良い一句となりました。

「万緑や戦国主従の墓石群」
   藤戸 紘子


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声に出して読むと調子が良く、格調の高い俳句です。句会で一番人気がありました。作者が八王子城址に吟行にいらした時の句と伺いました。八王子城の落城について悲惨な歴史が残っています。城主の北条氏照が、小田原城へ籠城で留守中、秀吉の命を受けた前田利家・上杉景勝軍が、氏照の奥方と少数の家臣で守っていた八王子城を攻め一日で落城させ、奥方と家臣は自刃し滝壺に身を投げ、小田原にいた城主が切腹しました。この城跡に氏照と奥方の墓、その後ろに家臣の墓が連なっている墓所があるそうです。
作者は「万緑」という生命力あふれる季語を使って、薄暗い墓所の周りの緑滴る森を表し、光と影、生と死を対比させています。説明がなくても情景は目に浮かびますが、八王子城の歴史を知ると、なお一層人の世の厳しさを感じ、「夏草や兵共がゆめの跡」と同じような感慨を覚えます。(皆川眞孝)

今月の一句(選と評:皆川眞孝)
「親離れ子離れできず麦の秋」
   渡辺 功


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写生句とは違いますが、ユーモアがある印象的な句です。「麦の秋」というのは、麦が黄金色に熟して取りいれ時になる初夏の頃をさし、秋ではなく「夏」の季語です。春は卒業・入学・就職のシーズンで、子供たちが親元から離れていきます。初夏ともなれば、親離れ子離れができている頃ですが、それがまだ出来ていないことを嘆いています。ご本人でしょうか?お連れ合いのことでしょうか?しかし、それほど深刻なことでもなく、「まあいいか」という諦めの気持ちが、「麦の秋」の明るい季語で表現されていると思いました。
ライオンは我が子を谷底に突き落とすといいますが、イラストはまだ親離れ子離れができないライオン親子です。(皆川眞孝)
Posted by 皆川眞孝 at 12:00
この記事のURL
https://blog.canpan.info/nsk/archive/2491
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コメント
皆様
   コメントを有難うございます。イラストを作る苦労話を披露させてください。

今回一番苦労したのが、自分の俳句のイラストでした。外人が道を歩いている写真はあるのですが「すれ違う」という感じが出ません。また、白人の外人の写真では、言葉を聞いて「あれ?」というところが出ません。それで、手塚治虫のマンガ本を探して、人がすれ違う場面の一コマをスキャンし、それに手を加えました。
完全に満足はできませんが、まあまあの出来です。

渡辺さんの句のような抽象的内容も難しいです。子離れができないという意味を表現するために、親子連れのコガモ、猿の親子などの写真を考えましたが、子離れの代表選手のライオンが良いだろうと思いました。このアイディアは良かったと思っています。

皆川眞孝
Posted by:minagawa  at 2015年05月21日(Thu) 09:27

荒川様
待ちに待った、とおっしゃっていただいてとても嬉しく光栄に存じました。私も毎月一度の南窓会の句会をとても楽しみにしております。皆さんの確実に上達している句に出会えることが大きな喜びです。そして、荒川様の有り難い応援コメントを読ませていただいて、より良い句評をと、腕によりをかけています。有り難い熱心な読者を得ているということは、私を含め会員全員の大きな励みになっております。ありがとうございます。

皆川様
今月もユニークな写真やイラストをありがとうございました。ブログに載る句は解っておりますが、どんな写真・イラストが載るかはブログアップされてみないとわかりません。それを待つのが待ち遠しく楽しい期待でわくわくしております。
また、私の句に対する必要十分な句評をありがとうございました。
私の思いをこめた句の意がそのまま皆川さんに伝わっていたことがとても嬉しく思いました。これからもよろしくお願いいたします。

渡辺様
現代俳句から写生俳句への転換は大変だろうとお察しします。
俳句に対する知識・経験・技術・愛情は十分で申し分ありませんのに、謙虚に写生俳句に向き合っておられる態度に感服しております。時々出される写生俳句とは一味も二味も違う現代俳句を私はとても楽しんでいます。写生俳句とは違った魅力があります。点数を気にすることなく自由に提出してください。句会の良い香辛料となることでしょう。また、会員の中から自主的に吟行をしたい、との
意見が出て、私はとても嬉しかった!それだけ上達したことであり、俳句に対し良い意味で貪欲になったということですから。
どんな吟行句会となるか、とても楽しみです。
Posted by:藤戸 紘子  at 2015年05月19日(Tue) 21:47

藤戸様、皆川様
 今月も素晴らしいコメント、イラスト、写真、有り難うございました。獅子ですら、親離れ子離れできないこともあるんだと、妙に納得しました。
 ところで、今度の吟行は、大いに楽しみです。私も、以前、5,6年間、毎月一度の吟行会に参加していました。幹事は、吟行地、昼食、句会、そして二次会の場所を下見、セットしなければならず、大変でした。
 東京周辺の名園、鴎外、林芙美子等の文人記念館、自然教育園、美術館、鎌倉の各地、時には、一泊旅行と苦吟しつつも勉強になりました。七,八人のメンバーでしたが、加齢とともに自然に解消しました。
 久しぶりの吟行、ありがたいことです。
渡辺功

Posted by:渡辺  at 2015年05月19日(Tue) 16:23

皆川・藤戸さま
待ちに待った「今月の俳句」の登場で、先ず句を読んで得た自分の感慨と後読みした句評とを較べてみるー−そして 句評者のセンスがいかに洗練されてるかを知り、自分が貧弱かつ浅薄であることを痛感するーーこの繰り返しです。
今年2月曽我梅林を訪れた折に小田原城を見学しましたが、八王子城主北条氏照ならびに奥方と関連していることなどまったく知りませんでした。
「麦の秋」夏の季語ーーまたひとつ覚えました。
Posted by:荒川 健三  at 2015年05月18日(Mon) 16:55

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