「町内会長顛末記」の紹介(5―完) [2009年02月01日(Sun)]
「町内会長顛末記」の紹介(5―完) 元国会議員の武村氏でもマンション建設を防げず、敗北感を味わいました。地方自治体にもっと住民側にたってほしいと注文をつけています。さて、最終回は、町内会会長を終わった後の感想です。以下の文章は、割愛せずに原文をそのまま載せてあります(皆川) 町内会長顛末記(5-完) (武村正義) 最後に、町内会の仕事で学んだことにふれておきたい。 その一つは、日本人のくらしの現場には自治がまだ生きているということである。名前や形はまちまちであるが、それは慣わしの故であったり、生活上の必要の故であったりして実在している。国政や地方政治は必ずしも有権者の期待に応えているとはいえないが、有権者にとって最も身近な町内会自治の政治は生命を保っているのだ。 全国には数十万の町内会があり滋賀県にも3000をこえる町内会がある。自分たちの身近な問題は、自分たちの知恵と汗で解決していく。文字通り自治の原点はまだ灯がともっているのだ。日本は大きな転換期を迎えている。閉塞感が漂い、多くの分野が展望の開けない状況にあるが、その中で、最末端の自治はかろうじていまだに健在であることに、私は、ほのかな希望を見出したい。 その二は、私にとって直接民主主義の体験は非常に新鮮であったことである。町内会は実質主義であった。服装も発言もかざりがない。表現もストレートであり、喜怒哀楽も正直に表に出てしまう。発言の整理にとまどったり、議論のペースを揃えることにむつかしさを感ずるときもあったが、多くの発言には裏表がないだけに、頭でよりも肌でうけとめてくれた。何か起こったら、大事なのは即行動であった。説明よりも、ことの結果をみて人々は判断する。草の根民主主義の面白さや、遣り甲斐を生々しく体現させていただいた。 長年の慣行のお陰で、満1年経ったら、さっさと新しい三役にバトンタッチすることができたが、私は「終の棲家」と思っている町内の大方の人たちと、この1年間で顔見知りになれたことが、大きな財産だと思っている。 七十三歳の春、私は爽やかな気分で町内会長辞任のあいさつをすることができた。(完) +++++++++++++++++ なお、この全文については、次の takemura.pdf をクリックすればお読みできます。ただし、字が小さいので、拡大するか、印刷してください。 終わりにあたり、上記を最初に紹介してくれた菊間副会長、そして転載を快諾してくれた竹村氏、「経友」誌に、お礼申し上げます。(文責:皆川) |
Posted by
皆川眞孝
at 07:50
菊間さまのご紹介と皆川様のご協力のお陰で、5回に亘って心に残るお話を読ませていただきまして、ありがとうございました。長い間、男の方は職場の世界で生きて(戦って?)来られ、いざ巷の中で何かなさろうとするのは大変な事だと思います。会話の質も違うでしょうから。元大蔵大臣の武村さんのお顔を思い出しながら、ほほえましく、叉この方の頃は政治家が頼もしかった等とも考えました。町内の方々と顔見知りが出来られた幸せはほんと大きな財産でしょうとこちらも嬉しくなります。
宮ア