今月の俳句(25年2月) [2013年02月10日(Sun)]
今月の俳句(平成25年2月) 2月の俳句サークル句会の兼題は「早春」またはそれに関連する季題です。 この時期は、冬と春の境ですので、季語も入り混じっています。 藤戸さんの句評と一緒に下記に会員の今月の俳句を掲載します。(皆川) 「歳時記とルーペ身近に春炬燵」 小野 洋子 暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続いています。特に足元の冷えを感じるのは加齢のせいでしょうか。そんな時炬燵の温もりは何ともいえない幸福感をもたらしてくれます。 炬燵の難点は一旦入ったら出たくなくなるところです。そこで周りに必要な物を寄せ集めて潜り込むことになります。作者も作句のための道具を身近に、作句にとりかかろうとしているところでしょう。ものぐさと生真面目さが交錯した諧謔味のある一句となりました。 「寛永寺かがみて愛でる冬牡丹」 大森 初代 上野の寛永寺でみた牡丹でしょうか。冬牡丹ですから雪囲いがされていたでしょう。 雪や霜から牡丹を守る雪囲いは、お世話をされている方の優しい心があらわれて いますし、その雪囲いの中の牡丹を屈んで丁寧に鑑賞している作者の優しい眼差しも感じられる気持の良い俳句だと思います。 「春雪や甍の描く碁盤縞」 皆川 眞孝 先日の淡い春の雪の降った時の景でしょうか。甍(いらか)(瓦屋根)にうっすら雪が積もって、瓦と雪によって碁盤の目のような縞模様が現出していたのでしょう。よく見る光景ですが、碁盤縞という表現、発見がすばらしい。余分な言葉がなく、すっきりした佳句となりました。 「日向ぼこ会話の弾むお年寄り」 皆川 瀧子 日向ぼこは冬の季語です。寒い季節は特にお年を召した方にとっては厳しいものがあります。が、晴れた日の昼間の日溜りはまさに天国。とかく閉じこもりがちだったお年寄りが日向ぼこをしながらおしゃべりを楽しんでいる様子を詠んだ句。のんびりとして、暖かな景が浮かびます。 「初虹やその一脚は遠き森」 宮崎 和子 初虹は春の季語。先日大きな虹が日野の里にかかりました。虹は空気に水蒸気がなければかかりません。 虹がかかったとは春到来の知らせなのでしょう。(冬の虹もありますが稀にしか見ることはできません。)その一脚は遠い森というのですから、大きな、大きな虹だったのでしょう。一脚という表現で虹の橋という言葉を思い出しました。美しい虹の景が浮かびました。 「早春やひとり小さな旅に出て」 渡邊 功 春といえば旅立ちの季節です。進学、就職にともなって親元を離れる若者、転勤で新しい任地に赴く人などさまざまな人生の旅立ちがあることでしょう。作者は小さな旅といっていますので、日常が変化するほどの旅立ちではないのでしょうが、それでも春と聞けばじっとしていられない気持ちの昂ぶりがこの句から感じられます。ひとり旅という語から男のロマンも感じられます。 「豆撒きの女優の細き腕かな」 藤戸紘子 (コメントー皆川) 高幡不動尊では、毎年節分の日に女優やタレントを招待して盛大に豆撒きを行います。今年は高島礼子、山口もえなどの女優が豆撒きをしました。作者は、実際にその場所にいらしたそうです。 高い場所から大勢の参詣客に元気よく豆をまいている女優達の姿が目に浮かびます。威勢の良さに比べて、いっぱいに伸ばした彼女たちの腕は白くて細いようです。「細き腕」というだけで、女優の色っぽさ、また美しい顔まで感じるから不思議です。 |
Posted by
皆川眞孝
at 07:00
俳句クラブのブログを見てくださり、有難うございます。
クラブのみなさんは本当に俳句を楽しんで詠み、句会を重ねるごとに確実に上達されています。俳句は歳時記が命です。でも特に勉強しなくても歳時記を開いて調べていくうちに自然と頭にはいっていくものです。俳句は頭の体操です。楽しみながら作句をすることが目的です。これからもよろしくお願いいたします。