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多摩丘陵にある日野市三井台、ここに住む高齢者のクラブ・三井台南窓会の会員が中心になって作っている団体ブログです。地元の季節毎の写真、南窓会の活動報告、会員の旅行記、俳句、地域の情報など、多様な記事が満載です。
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今月の俳句(令和3年11月) [2021年11月21日(Sun)]
今月の俳句(令和三年十一月)

兼題は「冬浅し」で、多く句が投稿されましたが、このブログに掲載されたのは、ほかの季語の句がほとんどとなりました。「冬浅し」については、次の句の藤戸さんの説明をお読みください。

「富士の裾まだ黒々と冬浅し」
  木原 義江

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冬浅しという季語は、冬になったもののまだ寒さも厳しくなく、冬の実感に乏しい頃の心持を表しています。とはいえ冬に違いなく空気は乾燥し、透明度は高まります。遠くの富士もはっきり見えます。初冬なので冠雪は山頂あたりだけにあるのでしょう。まだ、の一語で冬が深まれば裾野まで雪に覆われる、ということを表現しています。巧みな表現です。

「三姉妹の着物華やか七五三」
  出浦 洋子

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七五三が冬の季語。数え三歳五歳の男児、三歳と七歳の女児のお祝いです。作者が出会った家族は三姉妹の晴れ着姿だったそうです。三人の晴れ着姿はさぞ華やかだったことでしょう。親にすれば五歳の次女だけお祝いから外すことは忍びないことだったでしょう。親心が美しい形で表われました。素晴らしいご両親で三姉妹の幸せが感じられる微笑ましい一句となりました。

「冬の朝雲海上の富士の峰」
  皆川 瀧子

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冬は空気が乾燥して遠くまで良く見えます。この句は作者が小淵沢(山梨県北西部、八ヶ岳南麓の町)に滞在された時に詠まれました。山国の寒い朝、雲海が山々の間を流れ、雲海の上には富士の雄姿がまるで雲の上に浮かんでいるように見えたのでしょう。水墨画のような大景が浮かびます。


「濡縁にあはき(淡き)日差しや石蕗の花」
  小野 洋子

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旧白洲次郎邸(武相荘)で詠まれた一句。屋敷は自然豊かな鶴川の小高い地にあり、豪農の古家を改装されたもので、どっしりした造りです。初冬の日差しは淡く柔らかに濡縁を温めていたのでしょう。庭には石蕗の花(冬の季語)が咲いています。石蕗の頭花は鮮やかな黄色で、葉も分厚く日差しを返して光ってみえたかもしれません。白洲ご夫妻の見事な生き方と石蕗の花が響き合っています。

「紅つけて口をおちょぼに七五三」
  宮ア 和子

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紅には頬紅と口紅の二つの意味があります。この句は口紅を詠んでいることがわかります。初めてのお化粧でしょうから、期待と緊張でこちこちになっている子供の姿が想像できます。七五三の児の口はもともと小さいのですが、敢えてお雛様のようなおちょぼ口に描きます。晴れ着や袴を着けて子供達は特別の日を一生の思い出とすることでしょう。

「水鳥の羽音の響き山の湖」
 皆川 眞孝

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水鳥が冬の季語。水に浮かぶ鳥をまとめて水鳥といいます。鴨、雁、鳰(にお)、鴛鴦(おしどり)、白鳥など多くは秋に北から来て日本で越冬し、春に北へ帰る冬鳥である為冬の季語となっています。
この句は水鳥の羽音が響く山の湖を詠まれていますが、それは即ち静けさを詠まれているのです。巧みな表現力が発揮された佳句です。

「五寸ほどの鬼面の秘仏小六月」
      藤戸 紘子

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小六月とは、旧暦10月の異称です。小春とも呼びます。小春日とは、立冬を過ぎて春のように暖かい日のことで、冬の季語です。句会でこの句に会い、穏やかな暖かい日と、鬼の顔をした仏の取り合わせに強烈な印象を受け、特選でいただきました。作者のお話では、この秘仏は、調布の深大寺に祭られている元三(がんざん)大師像の胎内仏で、205年ぶりに先日特別公開されたものだそうです。鬼大師と呼ばれる15センチの像ですが、角があり鬼の顔をしています。比叡山天台宗中興の祖と言われる元三大師(良源大僧正)ですが、その像の中に鬼を隠しているというのは、どんな意味があるのでしょうか? 私は、この鬼大師の公開については知りませんでしたが、写真の顔はこの俳句で私が想像した顔より怖い感じです。(評:皆川眞孝)


冬浅しの句
「直立の三羽の鷺や冬浅し」
   皆川 眞孝

「冬浅し上着片手の下校の子」
     宮崎 和子

「足音に鯉の寄り来る浅き冬」
    藤戸 紘子


今月の一句(選と評:宮ア和子)

「菰巻きの縄の結び目きっちりと」
  藤戸紘子 

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菰(こも)巻きは江戸時代から続く伝統的な方法で日本では晩秋の風物詩となっています(冬の季語)。大きな庭園・公園の主に松又は杉の幹に菰を巻き付けます。防寒用ではなくマツケムシを誘い込み、暖かくなる前に菰を外して焼却する害虫駆除法です。
この句を拝見して、昔訪れた金沢の兼六園の雪つりと菰巻き、岡山の後楽園の菰巻きを思い出しました。新しい菰を幹に巻き付け、幹を二まわりして締める新しい縄の色、その結び目に着眼した作者に敬服です。「きっちり」の措辞で固く結ばれた結び目と縄の切り口まで見えました。冬を迎える日本の文化を一つ思い出し、爽やかで私の好きな句となりました。(評:宮崎和子)

《添削教室》  藤戸紘子
原句「落ち葉踏み手に取る幼な朴の下」
      出浦洋子
句材が多すぎて、幼子が手に取るのは、踏んづけた落ち葉か、木から落ちる葉か、わかりずらい点があります。むしろ、幼子が大きな朴の落ち葉を手に受けるところに焦点を合わせたらどうでしょうか?
添削句
「幼子の手に受け取れる朴落葉」
 出浦 洋子

Posted by 皆川眞孝 at 17:20
今月の俳句(令和3年10月) [2021年10月17日(Sun)]
今月の俳句(令和三年十月)


今月の兼題は「すすき」でした。(秋の季語)すすきはイネ科の大型多年草で、野原のいたるところに自生します。漢字では、「芒」「薄」と書きます。枯れたすすきを屋根を葺く材料に使う場合は、カヤとも呼びます。

「芒原の煌めくうねり富士の影」
  宮ア 和子

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富士の見える芒原といえば箱根でしょうか。箱根の芒原はとても広く見渡す限り芒芒です。風立つと芒は銀色に煌めきながら大きなうねりとなり、広がっていきます。煌めくうねりの措辞によりこの景をよく表現されました。広い広い芒原と富士山の組み合わせにより壮大な景が浮かびました。

「華道家の庭の芒の生ひ茂る」
  木原 義江

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華道の先生のお宅の庭ならさぞ手入れが行き届いているだろうと想像するのが普通だと思います。が、この句の先生はお忙しい方なのでしょうか。芒が生い茂っているという景を詠まれました。俳諧味たっぷりで、ふっと笑いが誘われます。


「姿見に映る齢(よはい)や秋日濃し」
  小野 洋子

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秋になってからも今年は夏日がぶり返しました。秋の西日もかなりの強さであたりを華やかに染めていますが、夏日と違うのは、慌ただしく没することです。没した後の寂寥感は特別のものがあります。
姿見(全身が映る鏡)に映る自分の姿を確認されている作者の勇気には感心します。私などなるべく鏡は見ないようにしています。人生過ぎてみれば真に短いものだとつくづく思います。秋日の没する慌ただしさに似て・・・

「ハロウィンや魔法使ひに成りきる子」
  出浦 洋子

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ハロウィンが季語かどうかで句会は盛り上がりました。古い歳時記には載っておりません。が、NHKの俳誌には秋の季語として記載されています。会員の意見交換の結果、この会ではハロウィンは既に日本に定着した祭なので季語として認めることとなりました。
さて、ハロウィンはスコットランド・アイルランドに起源に持つアメリカのお祝いで10月31日に行われます。巨大南瓜を刳り貫いたり、お化けの衣裳を着たりします。
この句は魔法使いの衣裳を着て、魔法使いに成りきっている子を詠まれました。きっと何でも出来る魔法使いになったつもりなのでしょうね。可愛い夢みる子なのでしょう!

「九十九折の箱根山道薄紅葉」
  皆川 瀧子

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こちらも箱根。非常事態宣言が解かれた後ご友人と箱根へ小旅行をされた時の句。久しぶりの旅行で心も身体も伸びやかになられたことでしょう。ただ箱根の九十九折(つづらおり)の坂道は運転された方は大変でしたでしょうね。まだ紅葉の盛りにはちょっと早かったようで、薄紅葉でしたか。錦繍の紅葉も良いですが、まだ緑をほのと残しつつ染まり始めた優しい未完の風情もなかなかいいものです。漢字ばかりで平仮名は「の」の一字のみ。リズムも大変いいですね。

「先歩く妻の小さき背秋夕焼(あきゆやけ)
 皆川 眞孝

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皆川ご夫妻は仲睦まじいことで有名です。奥様の歩調に合わせてゆっくり散歩されるお二人を幾度も見かけました。この句はたまたま作者が奥様の後を歩かれた時、奥様の背中が小さいのに気づかれ衝撃を受けられたのでしょう。長年連れ添ったお二人は今や共白髪となられました。季語の斡旋により共に歩んでこられた深い感慨と奥様への深い思いが伝わってきます。

「うす紅の雲の円環月今宵」
     藤戸 紘子

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月今宵とは、陰暦8月15日の名月のこと。一年中でこの月が最も澄んで美しいと言われています。私は、名月と満月と同じだと思っていたのですが、天文学的な満月(太陽、地球、月が一直線)と1,2日ずれることが多いそうです。。しかし今年は9月21日が陰暦の8月15日で、天文学的にも満月でした。作者は、その名月を楽しみにして空を見たのでしょう。丁度薄い雲にかかり、薄紅の丸い輪のようになった月を俳句にされました。名月は、雲にかかっても変わりなく美しいという気持ちが「月今宵」の季語で表されています。(句評:皆川眞孝)

芒の他の句
「大空や芒なびきて箱根山」
     皆川 瀧子
「足元を芒に触れてゆくリフト」
     宮崎 和子


今月の一句(選と評:皆川眞孝)

「長き夜や再度繙く赤と黒」
     藤戸 紘子

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「長き夜」は秋の季語です。秋分を過ぎると、昼の時間よりも夜の時間が長くなり、夏の短夜の後ですので、特に夜が長くなった感じがします。読書の秋と言われるくらいですから、読書に勤しみたいものです。作者は、若いころ終わりまで読めなかったスタンダールの「赤と黒」を繙(ひもと)いて、再度挑戦しています。実は私も「赤と黒」は途中でギブアップしました。フランスの古典は退屈ですが読了されるよう頑張ってください。(句評:皆川眞孝

<添削教室>(藤戸紘子)
原句  「晴れた午後黒豆叩く翁かな」
出浦洋子
 
昔の農家では、収穫した鞘のままの豆をよく干して、それを長い棒で打って脱穀する風景をよく見かけました。この作業は、天気の良い日に行いますので、「晴れた午後」は不要でしょう。むしろ、具体的に筵(むしろ)と表現すれば、晴れた日だとわかります。

添削例
 「黒豆を筵に叩く翁かな」 
     出浦洋子
Posted by 皆川眞孝 at 21:23
今月の俳句(令和3年9月) [2021年09月19日(Sun)]
今月の俳句(令和三年九月)

 兼題は「秋簾」です。「簾」は夏の季語ですが、「秋簾」は秋の季語です。秋になっても残暑が続くので吊るしておきますが、やはり季節外れなので、場合によっては、放置されたままでうら寂しいという感じを受けます。

「野菜置く無人の店や秋簾」
  宮ア 和子 

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この句は農家の方の畑近くに設けた屋台ほどの店でしょうか。夏の強い日差しを浴びると野菜はすぐ萎れてしまいますから、店主の方が簾を吊るされたのでしょう。
ひと夏の日差しに晒された簾は色褪せ、雨に打たれ、埃に汚れて見すぼらしくなっていることでしょう。しかし秋とはいえ日差しが強い日もあり、西日も結構強いので店主は簾を吊るした儘にしているのかもしれません。痛んだ簾に季節の推移を作者は感じられたのでしょう。

「花街の三味線の音秋すだれ」
  木原 義江

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花街もコロナ禍ですっかり寂びれたと聞いたことがあります。その状況と秋簾の本意、夏に活躍した簾も色褪せや汚れが目立つようになり、季節の推移(時の経過)を感じさせ、行く夏を惜しむ思いが込められています。客の無い日に三味線の稽古をしているのでしょうか。そこはかとない寂しさが感じられます

「カルストの台地ゆ仰ぐ天の川」 
 出浦 洋子

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カルストと言えば山口県の秋吉台が有名です。作者の故郷は山口県。中学生の時の思い出の場所だそうです。台地に寝転んで星空を仰いだ時を思い出して詠んだそうです。明る過ぎる東京ではもう天の川を見ることは出来ません。
台地ゆ のゆですが、動作の時間的、空間的な起点を現す格助詞です。従いまして句意は、カルスト台地から仰ぎ見る天の川となります。天の川が秋の季語です。

「朝霧の流れ連山見え隠れ」
  皆川 瀧子

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霧が秋の季語で地面や海面に接した気層中で水蒸気が凝結し無数の微小な水滴となって大気中に浮遊し煙のように見えるもので、同じ現象でも春は霞(かすみ)、秋は霧(きり)、季語ではない場合は靄(もや)と言いわけています。日本人の感性の繊細さを感じます。
この句は作者が避暑に出掛けられた小淵沢から八ヶ岳を眺めて詠まれた句です。解説は何もいらない。句を読んだだけで大きな景が立ち上がってきます。

「色変えぬ松柔道の朝稽古」
  皆川 眞孝

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色変えぬ松が秋の季語。晩秋になると周りの木々は紅葉、黄葉、落葉と変化していく中で緑の美しい松を讃える言葉です。季節に拘わりなく朝稽古に励む柔道者達と色変えぬ松の取り合わせが見事です。また、柔道は日本独特の武道の一つで攻撃・防御の技を行うと同時に身体の鍛錬と精神修養とを目的とする術で、その伝統を伝えていく人々を季語の斡旋により強調しています。
また7音という長い季語を755の破調に纏められた力量が光ります。

「座布団にちんまり沈み生身魂(いきみたま)
  小野 洋子

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生身魂が秋の季語。聞き慣れない言葉だと思います。お盆には精霊を迎え、供養をしますが、ご先祖様だけでなく、父母や主人、親方など目上の人に子や目下の者が饗応したり贈り物をするという行事が生身魂です。室町時代以降からの習俗といわれ生き盆とも言います。生きている御魂を拝しその生命力に与るのが本来の意義です。
この句の生身魂さまは大層ご高齢のようで小さくなられ分厚い座布団に座られた景をちんまり沈むとの措辞により的確に表現されました。周りには子・孫・曾孫いや玄孫もいるかもしれない。この奥ゆかしい幸せな習俗が続くよう祈るばかりです。

「赤錆の墓の鉄扉やちちろ鳴く」
    藤戸 紘子

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久しぶりのお墓参りの景でしょう。鉄扉がついている立派なお墓ですから、きっと東京ではなく地方なのでしょう。なかなか墓参りができず、扉が錆び付いています。ご先祖様に申し訳ないなと思いながら、鉄扉をガチャガチャさせていると、草叢からはコオロギの声が聞こえます。作者は、ここを墓じまいして、便利な場所に小さいお墓でも作ろうかと思っているのかもしれません。そんな寂しい気持ちが、「ちちろ鳴く」の季語で伝わります。(ちちろとは、その鳴き声からコオロギのこと、秋の季語)色々考えさせられる俳句です。(評:皆川眞孝)

秋簾の他の句
「秋簾きりりと巻きて京の路地」
      小野 洋子
「灯の洩るる下町の路地秋簾」
     藤戸 紘子
「古民家の廻り廊下や秋簾」
    木原 義江
「雨音の強き荒れ庭秋簾」
   皆川 眞孝

  、

今月の一句 (評と選 皆川瀧子)
「白桔梗ほのと浮き出て庭暮るる」
小野洋子


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桔梗は秋の七草の一つで鑑賞用に庭などにも植えられます(秋の季語)。8月から9月頃鮮麗な花を開きます。花の色は青紫色が多いですが園芸品種には白い花もあります。
この句は、『秋の日の釣瓶落とし』と云うようにあっという間に暮れてしまった庭に、白桔梗がほのかに浮き出て咲いている景を詠っています。ここでは白桔梗でなければいけません。それを見た作者は、ほんのりと心が暖まったことでしょう。その情景が目に浮かぶ句です。「ほのと浮き出て」の措辞が良いので、選ばせていただきました。(評:皆川瀧子)

添削教室(藤戸紘子)
原句 「用水路に影を落として彼岸花」
宮崎 和子

彼岸花の美しい景を詠っていますが、「用水路に」の「に」が説明的になります。俳句は散文と違って詩なので、説明を避けて事物をそのまま描写し、あとは読み手に任せるのが良いでしょう。同じ言葉を使って、順序を変えてみました。こうすると、同じ内容ですが、あまり説明的でなくなります。
添削
「彼岸花影を落として用水路」
宮崎 和子
 

Posted by 皆川眞孝 at 21:29
今月の俳句(令和三年七月) [2021年07月18日(Sun)]
今月の俳句(令和三年七月)

   兼題は、サングラスです。身近なものだけに、皆さん、それぞれユニークな作品を発表してくれました。


「サングラス掛けて鏡を見る幼な」
  出浦 洋子

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サングラスが夏の季語。幼い児は何にでも興味を持ちます。児にとっては見る物全てが新発見なのです。そして大人のすることを真似したがります。この句の幼子は父か母のサングラスを発見。大人の真似して掛けてみたのでしょう。サングラスをかけた自分の姿を鏡に写して眺めている姿が何とも可愛いですね。小さな顔からはみ出した大きなサングラス。ちょっと大人になった気分でしょうか。子供の目にはこの世界は不思議な物で溢れた興味津々の世界かもしれません。

「肩車の親子の丸きサングラス」
  宮ア 和子

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作者が信号のある交差点で出会った親子の景。肩車をされた子はピンクの縁の丸いサングラスをかけ、肩車をしている父は真っ黒の縁の大きな真ん丸いサングラスをしていたそうです、作者は思わず笑ってしまったそうです。仲の良い親子なのでしょう。遊び心が楽しいですね。人生を大いに楽しんでいる空気が伝わってきます。この子は男の子?女の子?それは読者のご想像にお任せしましょう。

「悪人に見える主人のサングラス」
  木原 義江

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作者のご夫君は見るからに温厚で優しいお人柄です。そのご夫君がサングラスを掛けると悪人のように見えると作者はいいます。とてもユニークでちょっと俳諧味のある楽しい一句です。ご夫君を知る者にはそのギャップがとても可笑しく感じます。サングラスは単に紫外線を防ぐ道具にすぎませんが、今ではおしゃれが中心でしょうか。他には他人に顔を見られたくない有名人とか、変装用、お忍びのお出掛け、悪行のため等多目的化しています。現実の自分とは違う人間になれる、そんな力がサングラスにはあるのでしょうか。サングラスをして見る世界は日常とは違う景色かもしれません。


「紗の羽織へ袖通す母笑みこぼれ」
  皆川 瀧子

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紗とは盛夏用の薄絹で作った上質の単衣です。作者によりますと、若い頃二人の姉上と三人で母上に紗の羽織をプレゼントしたそうです。母上はとても喜ばれたとのこと、懐かしく温かい良い思い出ですね。紗の羽織は上品で見た目にも涼し気です。ちなみに薄絹で作った盛夏用の単衣は総称では「羅(うすもの)」といいます。紗のほかに、軽羅、絽、透綾、綾羅などがあります。が、最近はあまり見かけなくなりました。

「深まれる夕闇の底竹落葉」
  皆川 眞孝

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竹落葉が夏の季語。落葉だけでは冬の季語です。竹落葉が何故夏の季語か、疑問に思う方も多いかと思います。竹は意外にもイネ科の多年生植物。長く横に這う地下茎から地上茎がまっすぐに伸びます。初夏、新葉が生じはじめると代わりに古い葉が落ちます。これが竹落葉です。一説では筍に養分をとられて葉が枯れるという説もあります。ひらひらとかすかな音を立てて落ちる様は風情があります。初夏の夕闇が次第に濃くなる底(道でしょうか)へ枯葉が降りしきる景が浮かびます。何かシュールな画をみているような気がします。

「化粧塩ふられて膳の子持鮎」
  小野 洋子

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鮎が夏の季語。鮎はアユ科で唯一の淡水魚。北海道南部以南の河川にすみ、姿が美しく香気を持ち、味が良いので古来食用として珍重され、川魚の王、川魚の女王と呼ばれています。この句は鮎の塩焼きを詠まれました。魚を姿焼きにするとき、焼き上がりを美しくしたり、焦げないようにするために尾や鰭などにまぶす塩を化粧塩・飾り塩といいます。膳に出された鮎とは料亭でしょうか。子持鮎は脂がのってとても美味です。

「白南風や雲より落つる鳶の笛」
藤戸 紘子

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白南風(しろはえ)とは、梅雨明けの後、または梅雨晴間に吹く南風のことで、明るく爽やかな感じがあります。一方、梅雨の時に吹く黒南風(くろはえ)は、湿った陰鬱な感じを与えます。いづれも夏の季語です。また、俳句では鳶の鳴き声を、鳶の笛と詩的に表現します。
この句は、梅雨が明けて南風が爽やかに吹く空から、丁度雲から落ちてくるように鳶の声が聞こえてくるという大きな景を詠っています。鳶は鷹科の鳥で、昔はよく見かけました。ぴーひょろろという独特の鳴き声で、私の世代は、三橋美智也の「とんびがくるりと輪をかいた」の歌を思い出します。白南風と鳶の笛の組み合わせが、懐かしく明るい気分にさせてくれる気持ちの良い句です。(句評:皆川眞孝)

サングラスのほかの句
「サングラス少し派手目のワンピース」
     小野 洋子
「人込みへぐいと大股サングラス」
      皆川 眞孝
「サングラス幼子抱くとすぐ取られ」
      木原 義江
「あなた誰帽子目深にサングラス」
      皆川 瀧子
「テニス観て右へ左へサングラス」
     藤戸 紘子


今月の一句(選と評:木原義江)
「会釈されはてと戸惑うサングラス」
    宮崎 和子

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今月のお題は「サングラス」、楽しい句が沢山ありましたが、宮崎さんのこの句では、散歩などの途中で人にお会いした時互いに頭を下げて通り過ぎるのですが、さてお顔は知っているようだが、サングラスで不確かだし、お名前が出てこないという困った気持ちを句に読んで下さりました。このような気持ちに私はよくなるのですが、それは私だけではないと、安心と感心で選ばせて頂きました    (句評:木原義江)


《添削教室》(藤戸紘子)
原句 「梅雨夕焼中州は未だ水の中」
      皆川 眞孝
梅雨の合間に雨がやんで夕焼けが見られたが、川は増水のため中州がまだ水に隠れて見えない、もっと水が増えないか心配だという気持ちを詠っています。中州は動くものでないので、ここでは「水の底」としたほうが、心配の気持ちに合うように思います。
添削句
  「梅雨夕焼中州は未だ水の底」
      皆川 眞孝
Posted by 皆川眞孝 at 09:00
今月の俳句(令和3年6月) [2021年06月20日(Sun)]
今月の俳句(令和三年六月)

  兼題は「青梅」「梅の実」でした。しかし、俳句にするには難しく、今月の俳句に掲載した句は、一つだけでした。

「太宰府の梅の実の下石の牛」
  木原 義江

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この句の太宰府は太宰府天満宮の略。”東風(こち)吹かば思い起こせよ梅の花主なしとて春な忘れそ”の短歌の作者として有名な菅原道真公を祭神とする天満宮です。もともと学者だった道真は宇多天皇の信任を得て右大臣となりましたが901年に左大臣藤原時平らの陰謀によって太宰府(律令制で備前築紫郡に置かれた役所)へ左遷され、翌々年の903年没。享年59歳。葬送の牛車が目的地に着く前に動かなくなったとのこと。そこでその場に廟を建立、それが今の太宰府天満宮となったとのこと。この謂れから牛は道真公の使者と言われるようになりました。また短歌に詠まれた京都の自宅の梅が道真の配所まで飛んできてそこで花をつけ匂ったという故事もあります。この句はきっとこの「飛梅」なのでしょう。道真公と梅と牛、人を超えた暖かい主従の関係が伝わってきます。また、全国に天満宮は沢山ありますが、天満宮の総社(総本社)は福岡の太宰府天満宮と京都の北野天満宮です。

「陵の裾野の村や田植歌」
  小野 洋子


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陵(みささぎ)とは天皇、皇后、皇太后、太皇太后の墓所のこと。作者が大阪の百舌鳥・古市古墳群を訪れた時の一句。この古墳群は4世紀後半から6世紀前半にかけて200基を超える古墳が築造されましたが、現在でも89基の古墳が残っています。当時の最高権力者の象徴である陵の裾野では現代人の生活が営まれています。村は今田植え時。日本人の主食である稲の田植えは昔から農事で最も重要なものでした。今では田植え機が活躍していますが、少し前までは村人総出の労働で田植歌を歌いながらリズムを合わせて早苗を植えていったものです。昔ながらの田植え、権力者と庶民の対照が印象的です。ちなみに私が応仁天皇陵を訪れた時、全長486メートルのあまりの巨大さで自分の目で全体を捉えることはできませんでした。陵は濠に囲まれた森に見え、白鷺の栖となっていました。


「郭公や甲斐駒望む萱の小屋」
  皆川 眞孝

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郭公(かっこう)が夏の季語。甲斐駒とは山梨と長野の県境、南アルプス北端にある標高2967メートルの甲斐駒ヶ岳。実は駒ヶ岳の名の山はもう一つあります。長野県南部、木曾山脈の主峰で標高2956メートル、木曾駒ヶ岳と呼ばれています。雄大な山容を望む鄙びた萱葺きの小屋、そこに明るく伸びやかな郭公の声が聞こえてきた景。空気は清澄で山風が清々しく吹いていることでしょう。郭公の爽やかな声が周りの山や谷に谺したことでしょう。夏らしい気持ち良い句となりました。

「大口をあけて餌を待つ燕の子」
  皆川 瀧子

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燕の子が夏の季語。燕は4月末から5月初め頃と6月から7月にかけて二度産卵します。それぞれ一番子、二番子と呼ばれ一度に5羽ぐらい生まれます。人家の軒などに営巣しますので子育ての様子は人目に触れやすいですね。子燕は一斉に顔中を口にして親に餌をねだります。父鳥、母鳥は交互に餌を運んでは1羽の口に餌を押し込んですぐに飛び立ちます。親鳥は子燕に公平に餌を与えているのだろうかと疑問に思ってじっと見ていたことがあります。が巣の位置が高すぎて未だ確認できず、疑問は解消していません。人も動物も子育ては大変なんだとつくづく思います。

「枝先の葉は紅帯びて若楓」
 出浦  洋子

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若楓(わかかえで)が夏の季語。若楓とは楓の若葉のことです。紅葉した楓の美しさは格別ですが、萌え始めた若芽や、初夏の光をとおす薄緑色の葉影にはまた別の美しさと上品さがあります。芽吹いた枝先の葉がかすかに紅を帯びていたとはよく観察されました。余談ですが「かえで」は古くは葉の形から「蛙手」と呼ばれ、それが変化したものといわれています。

「船頭の歌伸びやかや夏蛛v
  宮ア 和子

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作者によるとこの場所は松江城のお濠を巡る舟遊びとのこと。勝手に川下りの景を想像していたので驚きました。お濠巡りの舟遊びとは初めて聞きました。良い体験をされましたね。この船頭さんはお歳を召された女性だったそうで、とても声量のある良いお声で船歌を歌われたそうです。城の濠ですから、橋が幾つもあり、橋に差し掛かる度に号令一下、全員船底に伏せたそうです。それは濠の水量が多い時は座ったままでは橋桁に衝突する恐れがある為だそうで、なんだか愉快に感じました。夏蛯フ季語により爽やかな風まで感じられる句となりました。

「優曇華の乱れて揺るる軒の先」
    藤戸紘子

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優曇華(うどんげ)とは何でしょうか?植物?動物?実は、優曇華には三つの違う意味があります。ひとつは、実在の植物の名で、芭蕉の花の異称です。二つ目は伝説上の植物で、仏教経典で3000年に一度花が咲きその時に金輪王が出現するといわれています。梵語のウドンバラを語源としています。そして三つめが、クサカゲロウの卵です。草木の枝や古材などに産み付けられ、長い柄の先にひとつずつ卵がついていて、植物の花のようなので、うどんげの花といわれます。
この俳句では、もちろん三番目の意味で、夏の季語です。軒の先の優曇華の花が、風に吹かれて頼りなげに乱れて揺れている景です。子供のころ、家の中の電灯の傘についている優曇華の花をみたことがあります。祖母に、「珍しいものを見つけたね、良いことがある兆しだよ」と言われました。この俳句の作者にも、きっとよいことがあるでしょう。(句評:皆川眞孝)

今月の一句(選と評:出浦洋子)
 
「天牛と対峙する犬後ずさり」 
   宮崎和子

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天牛(かみきり)はカミキリムシ科の甲虫で種類が多くあります。体は細長い楕円形。長い触角は牛の角を連想させ、空を飛ぶので天牛と書き、髪の毛を噛み切るほど口が鋭いため、髪切虫とも呼ばれます。色は様々、夏の季語です。
作者が見たのは黒地に白の斑点のある天牛だそうです。小さいながらも長い触角を振り回すので、愛犬の柴犬も思わず後ずさりしたそうです。柴犬と天牛と作者の様子が目に浮かび、微笑ましい句だと思いました。 (句評:出浦洋子)

<添削教室>(藤戸紘子)
原句 唯一輪咲いた白百合雨の中 
       皆川 瀧子
   白百合が雨の中にぽつんと咲いている景だとわかりますが、俳句は十七文字しかないので、言葉を節約します。白百合に「咲いた」という語は不要です。かわりに、雨の様子を書いたほうがよいでしょう。例えば、「小糠雨」としてみたら、どうでしょうか。
添削句
 「小糠雨唯一輪の白百合よ」
       皆川瀧子 

Posted by 皆川眞孝 at 22:58
6月昭和記念公園(3) [2021年06月16日(Wed)]
6月昭和記念公園(3)


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終り


文責 荒川
Posted by wild river at 09:00
6月昭和記念公園(2) [2021年06月15日(Tue)]
6月昭和記念公園(2)


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続く


文責 荒川
Posted by wild river at 09:00
6月昭和記念公園(1) [2021年06月14日(Mon)]
6月昭和記念公園(1)


コロナ感染防止のため、都立、国立の公園は閉鎖されていましたが、昭和記念公園は6月5日土曜日から再び開園が許可されました。
さっそく行ってみたら、皆さん開園を待ちかねていたようで、6月は特に花など少ないにも拘らず結構大勢の人たちが訪れていました。
“みんなの原っぱ”南側に「腕白コーナー」が設けられ子供の遊具がお設置されていました。


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続く


文責 荒川
Posted by wild river at 09:00
東村山「北山公園」の菖蒲(6) [2021年06月12日(Sat)]
東村山「北山公園」の菖蒲(6)


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終り


文責 荒川


Posted by wild river at 09:00
東村山「北山公園」の菖蒲(5) [2021年06月11日(Fri)]
東村山「北山公園」の菖蒲(5)


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続く


文責 荒川
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