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2022年01月19日

2022年1月/2月 NPA読書会のご案内&予告

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<2022年1月「読書会」のご案内>

● 日時:1月31日(月)19時30分〜(2時間程度)
● 書籍:斎藤幸平 著『人新世の「資本論」』(集英社新書 1,122円)
● 開催方法:ズーム開催を予定

関係各位
1月読書会世話人の谷内です。
今回は、昨年の「新書大賞2021」第1位!大賞受賞作となった本書を取り上げます。
新しい資本主義という言葉も政府から聞こえてくる一方で、これまでの資本主義とは何だったのか。著者は、人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代に、気候変動問題を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥ると警告を発し、それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならない、とします。資本主義を捨てた文明とは可能なのか。市民活動や協同組合運動はそのオルタナティブを追求してきたはずですが、果たしてどのような結実を見るのか。コロナ時代の未来予測もしながら、そのヒントを探ります。

参加申し込みは、mail.npa2002@gmail.com というメルアドにご連絡をください。後日、ZoomのURLをお送りいたします。



<2022年2月「読書会」のご案内(予告編)>

● 日時:2月26日(土)13時30分〜(2時間程度)
● 書籍:内田 樹 著『日本辺境論』(新潮新書 740円)
● 開催方法:ズーム開催を予定

関係各位
2月読書会世話人の田中逸郎です。
今回は、フランンス現代思想をはじめ、各種文化論で縦横無尽に活躍している内田樹の著作(新書版)を取り上げます。
彼の著作はみなさんもたくさんお読みだと思います。哲学・言語論を根底に据えた『寝ながら学べる構造主義』『私家版・ユダヤ文化論』『レヴィナスと愛の現象学』などの硬派?のものから、「街場」を冠に着けた柔らかな読み物や対談、映画論まで、魅力あふれる著作の数々は再販を重ねています。きっと彼のぶれない本質が琴線に触れるのでしょう。ただし、彼は「隠れた本質などはない」という思想的立ち位置ですが(笑、だからすごい)。
今回の『日本辺境論』は、本格的な文明論と言語学(硬派)と、日の丸から武士道、マンガまで(雑学・雑談)がうまく融合した、しかし「目からうろこ」の名著です。

参加申し込みは、これまで通り mail.npa2002@gmail.com というメルアドにご連絡をいただくことになると思いますが、まずはNPO政策研究所のHP(「お知らせ」「読書会ご案内」)にアップしていく予定です(谷内さん担当の1月読書会のご案内も含め)。

みなさん、日程の確保をお願いしますね。


<4月の読書会(予告編)>
日時は未定、対面での開催を視野に検討中です。
世話人:埜下 昌宏(NPO政策研究所 理事/宝塚市立中央公民館 館長)
本:松下啓一著『社会教育の終焉』
旧版(筑摩書房、1986年)、新版(公人の友社、2003年)どちらも可

posted by NPO政策研究所 at 18:26| Comment(0) | TrackBack(0) | NPA読書会

2022年01月01日

[NPA隔月コラム]次世代を模索する地域がふえてきた

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次世代を模索する地域がふえてきた
仲野優子(NPO政策研究所理事・滋賀県在住)

新しい年は古墳巡りから始まる。近畿だけでも古墳は5万基あるのだから行き先には困らない。写真は滋賀県野洲市にある冨波古墳(3世紀築造の前方後方墳)である。前も後ろも「方(四角)」で、すっきりしていて好きな古墳のひとつだ。古墳はその数からいっても身近なものなのに現地ではほぼ人に出会わない。古墳巡りはコロナ禍向きといっていい。

古墳は群になって存在することもあり「こんなにいろいろな種類の古墳を一度によく造ったね」という声を聞いたりする。円墳、前方後円墳、前方後方墳、方墳、八角墳などバラエティに富んでいるのだが、隣合わせでも築造時期が300年隔たっているものもある。300年というと現代と江戸時代、タワーマンションの横に武家屋敷が建っているようなものだ。この間に幾多の政権が交代したのだろう。古墳はざっくりとした風景として地域に鎮座している。

そういえば最近これと共通する感覚を覚えた。それは地域での会議のことだ。どの地域でも高齢化の危機感から次世代確保が話題になるが、でもその議論は堂々巡りに終わることが多い。次世代の選択肢があまりにも少ないからだ。地域役員は男性がほとんどで、その跡継ぎとしては60歳未満の人はまず候補にあがらない。もう一言いえば女性は役員の想定外だ。結局、定年70歳時代になった今では理想の60歳台男性は見つからない。あまりにもざっくりとした光景だ。

さて、私の近隣の2つのまちづくり協議会では「次世代育成プロジェクト」なるものに取り組んでいる。メンバーは30〜50歳で男女半々くらい。活動内容はメンバーからの発案で「地元野菜の食イベント」「湖岸での野外活動」「畑を借りて野菜づくり&ピザ釜の組み立て」などである。PTAのように子どもたちのためにやるのではない。実施主体が楽しいと思うことが継続させるコツである。まずは自分たちで実行しながら地域の人に活動を広げるのが目標だ。フリーランスもいるし、また勤務時間が多様化しているので動ける人は案外多い。60歳以上はオブザーバーで、口を出さずバックアップに徹するルールだ。

メンバーの情報交換はLINEが主だ。また「まち協公式LINE」でイベントの告知や受付状況がスマホに流れてくる。タイムラインには記事や写真がストックされるしくみだ。800人程の登録者数で高齢者も多いという。家族ではLINEで連絡をとりあう時代になってきているのだ。

若者も高齢者も多様である。さまざまな関わりを通して見える多彩な姿は、地域で確実に認識されていくだろう。次世代のいろいろな形に目を向ける地域でいたい。

みなさんも古墳の形を見たときに、その特徴から歴史や文化の流れを感じて頂きたい。今あるものがそのまま次世代に移ることはない。だから古墳も形を変えてきた。
posted by NPO政策研究所 at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | NPAコラム

2021年12月25日

オンライン読書会(2021年1月)開催について

会員内外の交流を兼ねて、本を材料にしてオンラインで語り合う読書会を定期開催中しています。

次回はA方式A 開催日程を延期し
1月31日(月)開催です。
時間や書籍は未定です。
posted by NPO政策研究所 at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | NPA読書会

2021年12月24日

NPO政策研究所の冬休み(2021年)

2021年12月28日(火)〜2022年1月4日(火)
1月6日(木)、7日(金)は臨時休業いたします。

どうぞよろしくお願い致します。
posted by NPO政策研究所 at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 事務局からのお知らせ

2021年11月01日

公式HPをリニューアルしました

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NPO政策研究所の公式ウェブサイトをリニューアルしました。

最新情報を[facebook]から、ニュース情報と取り組みのアーカイブを[ブログ]からご覧いただけるようになりました。
書籍販売のページは準備ができ次第公開します。

NPO政策研究所 公式ホームページ
https://www.nposeisakuken.com/
posted by NPO政策研究所 at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 事務局からのお知らせ

[NPA隔月コラム]霞ヶ浦の循環社会がつくる風景

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霞ヶ浦の循環社会がつくる風景  
直田春夫(NPO政策研究所 理事長)


汚れるままであり、湖岸の植物も単相化してきた霞ヶ浦の環境を改善するために、かつては湖面に生い茂っていた「アサザ」という黄色い優しげな花の咲く水草を植えて、植物や水生生物などの多様性を確保しながら水質浄化を図ることが提案された。提案した主体は、実地に水に入り、アサザを植えた。しかし、しばらく経つとアサザは霞ヶ浦の強い風が引き起こす波によってみんな流されてしまった。それではと、アサザを植えた浅瀬の外側に波除けの堤防を造ることにした。もちろん環境破壊の元凶であるコンクリート製ではなく、丸太を格子状に組んでその中に粗朶(柴)を詰め込んだ木製の消波堤である。こういう構造をしているから、水はもちろん通過し、淀みをつくらない。小魚は通り抜けることができる。海老などの小生物の住処にもなる。この仕組みは、認定NPO法人アサザ基金が提案、コーディネートしたものである。

木製消波堤に使われた丸太と粗朶は、湖岸の里山の雑木林から「出荷」されたものだ。長年放置されていた里山は「カネになる」ことがわかり、手入れがされるようになった。消波堤工事の施主は国だが、現場で工事に携わるのは漁民たちが多く、霞ヶ浦のことなら掌を指すが如く知っており、水を慈しむにあまりある漁民であるから、最も効果のあるところに丁寧な仕事をする。ここでは、土木工事のお金が、里山を潤し、漁民の収入となり、地域内で循環しwin-winの関係をつくり、結果として霞ヶ浦の水質浄化、自然再生ができてきた。水がきれいで多様な生き物が生息する湖は美しい。秋にはアサザが可憐な黄色い花を咲かせる。この美しさは、人の生活とつながっている。だれもが「美」を志向していたわけでもないのに、結果として美しい景観を醸し出している。景観とはこのようにつくられていくものなのではないか。霞ヶ浦一帯ではお金や自然、多様な主体がつながり、動き、循環する関係が「地域の暮らし」として形作られている。であるからこそ、美しい環境は持続可能となる。

鳥越皓之氏は、「生活が環境をつくる」と指摘し、荒川康氏の論を引きながら「住民は利益を動因として、住民が責任をとるほどの主体性をもてば、彼らは恒常的に対象に働きかける(いつも対象を手入れするなど)ので、自然と人間の関係が“柔らかい”ものとなり」、あたたかい風景が生まれると言う。

このためには、地域にコミュニティ感覚が共有されていることが必要だろう。それは住民がゆるやかに地域に愛着や関心を持っている、地域の未来について少しばかり責任も感じているという程度で充分である。個人の「生活」がみんなの「生活」と重なり合う。その柔らかい、ゆるやかな関係から美しい景観が生まれる。

引用は、鳥越皓之他著『景観形成と地域コミュニティ 第1章』農文協(2009)より
posted by NPO政策研究所 at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | NPAコラム

2021年10月01日

NPO政策研究所主催(オンライン)読書会 のご案内

NPO政策研究所では、会員内外の交流を兼ねて、本を材料にして語り合う会を定期開催することになりました。アクティブ・ブック・ダイアローグ方式レジスタードマーク️で実施するA方式と、軽めの新書・文庫を中心に古典や行政報告書などその回の世話人が自由に設定するB方式の2パターンを、交互に(月1回どちらかの方式で)行う予定ですが、AとBにあまり厳密な区別はありません。とくにBの方は、今後、会員有志で「世話人」を順次、担ってくださることを期待しています。
 
当面はZoomを用いたオンラインで実施するため、参加無料です。今後、世話人の判断で、どこか会場を借りて対面で行う場合には、参加費を徴収する場合があります。

A方式は、対話形式で進めるので、本を読んでこなくても参加が可能。
B方式は、一般の読書会スタイルなので、ざっと目を通してきてください。

当面の日程と取り上げる本、世話人は以下の通りです。どうぞご予定ください。
時間は1時間半から2時間を予定しています。

A方式@
10月25日(月)20:00〜 世話人:谷内博史
安斎 勇樹・ 塩瀬 隆之 著『問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション』学芸出版社(2020年)2700円+税

B方式@
11月23日(火祝)10:00〜 世話人:相川康子
ミヒャエル・エンデ作、大島かおり訳『モモ』
岩波少年文庫127(2005年)880円+税

A方式A
12月27日(月)午後 世話人:谷内博史 
時間や書籍は未定


Aコースはいきなりそれなりに値のはる単行本となりましたが、内容に関しては、担当者が「これを一緒に読んで語り合いたい」と熱い思いを持って選んだものです。

参加ご希望の方は、あらかじめ(ほぼ前日まで/突然思い立つ場合は直前も可)メールか電話でご連絡下さい。申し込んでいただいた方にZoomのURLとパスコードをお知らせします。

申し込み
メールアドレス:mail.npa2002あっとgmail.com(あっとを@に直して送信ください)
TEL・FAX:06-6809-3125
 
A方式では、会員以外の人はPeatix(外部サイト)でチケット(無料)を購入して下さい。
  Peatix申し込み方法

■Aコース@の趣旨
10月25日(月) 20:00〜21:30
安斎 勇樹・ 塩瀬 隆之 著「問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション」(学芸出版社、2700円)
全部で6章ありますが、第1章から第4章までを読書会では扱います。


●呼びかけ人:谷内博史
●定員 NPA会員:若干名 ゲスト一般:若干名
(最低、3人集まれば開催いたします。最大10名程度を想定しています)

●趣旨(お誘い)
組織の中での会議や、地域での問題解決に向けて、市町の計画づくりなどの場面で、ワークショップの手法を取り入れた参加型の合意形成が進められていますが、昨今のようなコロナ禍では、実際に大勢の人々が集まって行うワークショップそのものが三密を生み出すとのことで忌避され、その代替手段として、参加者にアンケートで意見を募ればよいのではないか、とか、オンラインで開催すればよいのでは、などと言われています。
しかし、単なる個別意見を募集するアンケートでは対話は生まれづらく、オンラインでは大人数が大勢で一度に話すことが難しく、ファシリテーターを立てて話し合いをしていかないと合意の収拾がつかなくなってしまいます。
ここは基本に立ち返り、どんな問いを立てることで、集団として答えや合意を探求していくことが求められるのかを「問いのデザイン」という考え方から探ります。
問いのデザインから導かれるワークショップにかわる代替手段があるとしたら、それはどのようなものなのか、そこではどんなことを大事にしていく必要があるのか。そんなことを参加者の皆さんと対話していきたいと考えています。
このオンライン読書会は、アクティブ・ブック・ダイアローグという対話の手法でこの本の内容を共有し、参加者どうしの考え方や学びを深めていきます。

【ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ)とは?】
アクティブ・ブック・ダイアローグレジスタードマークは、1冊の本を分担して読むことで、短時間で深く本を読むことができる読書手法です。「分担して読む→発表・共有する→対話をする」プロセスを通して、著者の言葉をより深く理解し、一人で得られない、より能動的な気づきや学びを感じることができます。
 ※ABDについてこちら

●参加にあたってのご注意
・当日までに本をお手元にご用意ください。(読了している必要はありません)
・最大参加人数は10名です。(先着順です)
・イベント前日( 10/24(日))までにお申込みください。
・PCでの参加を推奨しております(必須ではありません)
・本イベントの様子は写真や映像で記録させて頂きます。写真記録はブログなどでイベントレポートとして掲載する場合があります。目的外使用は致しません。
・NPA会員は 「参加する」とのお返事をいただければOKです。
・一般ゲスト参加者は、Peatix(外部サイト)にてチケット(無料)を事前にご購入いただく必要がございます。
・回線・機器の状況によっては通信が不安定になったり、それを原因とした映像等の不具合が発生する可能性がございます。その場合においても参加保証などはご対応いたしかねますことを予めご了承ください。(主催者の回線不具合がひどい場合には、参加申込のあった方限定でアーカイブ動画を後日配信させていただきます)
・本イベントにご参加いただいた方は、特定非営利活動法人NPO政策研究所からのイベントニュースを配信させていただきます。


■Bコース@の趣旨
11月23日(火・祝) 10:00〜12:00
ミヒャエル・エンデ作・絵、大島かおり訳『モモ』岩波少年文庫127(2005)880円+税

●世話人:相川康子
●定員 NPA会員:若干名(会員の方が知人をお誘いになるのは歓迎します)
(最低、3人集まれば開催。最大20人程度を想定しています)
●若干の解説とお誘い  
『モモ』は、ドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデが1973年に発表、日本では1976年に翻訳が出版され、累計発行部数が341万部を超える人気作品です。1986年には映画化もされました。
時間貯蓄銀行の「灰色の男たち」によって盗まれた(それによって心の余裕を失った)町の人たちのために、身寄りがない、けれどとても聞き上手なモモという女の子が「時間の国」に行き、時間を取り戻す―というお話です。「灰色の男たち」が何を指すのか、モモにはどんな力が備わっているのか、時間の本質とは何か―など深く考えされられます。昨年8月には、NHK Eテレの<100分de名著>が、この作品を取り上げていました。
作者のエンデは、環境主義の「緑の党」や地域通貨の研究者らに大きな影響を与えたといわれています。

参考(今回の読書会のために読んでいただく必要はありませんがご興味があれば)
〇河邑厚徳+グループ現代『エンデの遺言〜根源からお金を問うこと』講談社+α文庫(2011)935円
読み手によって、さまざまな受け取り方ができるファンタジー小説です。私も大学時代にエンデの本を何冊か(『はてしない物語』や『サーカス物語』など)読みましたが、中年になって余裕を失っている今、私自身が「灰色の男たち」に毒されていないかの自戒を込めて、あらためて『モモ』に向き合いたい、と思いました。皆さんと、感想を語り合うのを楽しみにしています。
posted by NPO政策研究所 at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | NPA読書会

コミュニティ・シンクタンク研究会をはじめます。

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NPO政策研究所では、新しくコミュニティ研究会を立ち上げる準備をすすめています。
詳細は決まり次第ブログの本カテゴリより公開して参ります。
posted by NPO政策研究所 at 10:54| Comment(0) | TrackBack(0) | コミシン研究会

2021年09月01日

[NPA隔月コラム]防災月間に寄せて 相川康子(NPO政策研究所 専務理事)

2021年9月から、会員+αの皆様によるコラムを隔月で掲載することにしました。

初回は専務理事の相川康子が「防災月間に寄せて」のテーマで書いたものを掲載します。NPO政策研究所としても、地区防災計画の策定支援などに積極的にかかわっていきたいと思っています。

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防災月間に寄せて
                                                             2021年9月1日 記
相川康子(NPO政策研究所 専務理事)

新型コロナウィルスの感染拡大による医療逼迫や気温35度超の猛暑も“災害級”だそうだが、ここ100年で最大の災害といえば1923年9月1日に起きた関東大震災だろう。死者・行方不明者合わせて10万5千人余で、10年前の東日本大震災の約5.7倍にあたる。9月1日を「防災の日」、9月を「防災月間」と定めたゆえんである。死者の多くが地震後の大規模火災による焼死だったため、その後の日本では住宅不燃化や延焼を防ぐ都市計画事業が進められ、一定の成果を上げてきた。

いま、多くの人が恐れるのは風水害だろう。お盆の数日間、九州や中国地方で平年の8月降雨量の2倍以上の雨が降り、居座り続ける線状降水帯の画像に、被災地のみならず全国でため息をついた人が多かったのではないか。同月公表されたIPCCの第6次報告書では「人類が地球の気候を温暖化させた」と断言しており、温暖化防止の取り組みが重要なのは言うまでもないが、まずは既に起きている異常気象とそれらがもたらす各種災害(風水害だけでなく熱波等も)に対する被害軽減策が急がれる。

とりわけ災害関連死を防ぐことは最重要課題だ。防げる死であるにもかかわらず、2018年の熊本地震では、直接死の4倍以上の関連死が発生している。当日の避難支援にばかり重きが置かれ、その後の被災生活への支援が薄い災害対策を改める必要がある。

意外なことに、新型コロナウィルス対策は、そのきっかけになりうるかもしれない。従来、在宅被災者ら指定避難所以外の場所で過ごす人の存在はあまり意識されず、生活支援はおろか安否確認の方法さえ確立していない自治体が多かった。ライフラインの復旧も遅れがちな中での片づけ作業等で、心身に変調をきたし、医療や福祉的ケアが必要なケースもあったが、そのニーズは「取り残される人を出さない」という意思を持って地域を巡回しない限りは汲み取るのが難しかった。

ところが、昨年来、コロナ対策で指定避難所の収容人数が制限され、自宅での垂直避難や知人宅、旅館・ホテル、短期間の車中泊など“多様な避難”が推奨されるようになって、在宅避難等にも光が当たり始めた。コロナのステイホームで明らかになった課題や孤立を軽減する工夫は、在宅被災者らの支援に通じることが多い。

多様な避難生活を支え、取り残されがちな人を早期に見つけて関連死を防ぐには、地域住民主体で「地区防災計画」を検討するのが良いだろう。NPO政策研として支援スキルを磨いていきたい。
posted by NPO政策研究所 at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | NPAコラム

2021年08月30日

facebookページをはじめました

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2021年8月末よりfacebookページの運用をスタートしました。

活動報告やHP更新などのお知らせを発信していく予定です。ページへの「いいね!」をお願い致します。

[facebookページ] NPO政策研究所
posted by NPO政策研究所 at 16:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 事務局からのお知らせ