田中 健治(NPO政策研究所理事、東大阪市在住)
母97歳、私75歳、妻70歳、長男44歳の4人暮らしである。
母は、昨年6月に尿路感染症で緊急入院。1か月後に軽快退院したが、バルーンカテーテルを留置したままなので、要介護度が2から5にアップした。退院直後は、主治医の特指示によって医療保険が適用され、毎日訪問看護等を受けることができた。2週間後からは介護保険を使って週4回の訪問看護、週3回のリハビリ、週1回の訪問入浴、月2回の訪問診療を受けながら療養生活を送っている。
今回入院するまでは、記銘力の大幅な低下はあるものの日常生活はほとんど自分でできていた。退院後は自力での排泄が困難となり、褥瘡やヘルペス、接触皮膚炎など常に軽い痛みや痒みに悩まされている。寝たり起きたりの生活だが、食欲はあり、リハビリの効果もあって伝い歩き程度はできるようになった。
母1人を家族3人で介護する毎日。母には父の遺族年金もあり、比較的恵まれた在宅介護だと思うが、やはり家族の負担は大きい。私も元気とはいえ、夜中に数回起きて、母の様子を見に行く。布団を蹴飛ばしたり、痒みで掻きむしっていたり、何かと世話が焼け、慢性的な睡眠不足である。高齢夫婦だけや老々親子による在宅介護はいかばかりか、と心が痛む。
このような在宅介護ができているのは介護保険制度の賜物だ。地域包括支援センターやケアプランセンターを中核とする介護保険制度は、医療保険制度とともに、なくてはならないものとなっている。ケアマネージャーと訪問診療所、訪問看護ステーション等の連携で、必要な医療や看護が提供されることで、家族が安心して在宅でも介護できるのである。
また、高額療養費制度は、同一月の医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合、超過分が払い戻される仕組みで、入院時の医療費と特指示による退院後の医療費が合算される。高齢の母はマイナンバーカードを持っていなかったが、申請すれば受けられた。さらに高額医療・高額介護合算療養費制度というのもあり、1年間に支払った各保険制度の自己負担額合計が基準額を超えた場合、条件を満たせば戻ってくることもあるそうだ。
このように申請すれば、使える制度は色々とあるのだが、複雑すぎて、市役所の担当窓口に聞いても即答しかねるようだ。なにかと社会保障の自己負担増が進むこの世のなか、より分かりやすく、人に優しい制度になるよう願ってやまない。
いまはケアする側だが、明日は我が身。団塊の世代の後陣を拝する我々には、より厳しい状況が待ち受けている。住み慣れた我が家で往生したいものだが、果たしてそれが可能なのだろうか。母親の介護に明け暮れながら、様々な想いを巡らせる今日この頃である。
イラスト)MicrosoftのCopilotによる「在宅介護」のイメージ画像