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2026年03月01日

【NPA隔月コラム】商店街の活性化〜一筋縄ではいかないが〜

2026年3月1日
福田 弘(大阪市政調査会、大阪市在住)
 
 縁があって大阪市内のある商店街の役員をしている。そこもご多分にもれず、いわゆる「シャッター街」である。先だって京都の商店街のみなさんと意見交換をする機会があったが、「商店街あるある話」で盛り上がり、同じ課題を抱えていることをあらためて感じた。

 なぜ商店街がシャッター街になるのか。よく言われるのは、近隣に品揃え豊富な大型スーパーができてお客が流れ、さらに商店が減って品揃えが悪くなるという悪循環である。店をたたんでシャッターを下ろすぐらいなら、若者に安く貸せばいいのではないかと思うが、そうもいかないらしい。古い商店街の多くは店舗兼住宅が主流で、階段が店内にあるため、上階に(元)店主が住んでいる場合は貸し出すのが難しいという。

確かに、家主が住んでいなければ店舗兼住宅の方が別の場所に住んで店舗に通うより、家賃も安くてすみ、税制上も有利だ。しかし、住宅スペースに風呂がないことも多く、付近にあった銭湯も廃業するところが増えている。改装して若者向けに貸し出せばいいとはいうが、もともと商店街は店舗の集まりであり、不動産開発の機能がないのである(もちろん商店街に面した店舗兼住宅を専門とした不動産業者はあるし、不動産業者が絡んで成功している商店街もないわけではない)。

 よく商店街の活性化として集客イベントが行われるが、一過性の効果しかなく、逆にイベントで役員が消耗したりもする。必要なのは、集客イベントではなく客を呼べる店舗なのだ。しかし自治体の助成金はイベントやキャンペーンにつくことが多い。その企画や申請作業をコンサルに任せると、まさにコンサル助成になってしまったりする。一時「商店街マップ」などもよくつくられたが、店舗の入れ替わりですぐ使えなくなってしまう。

 客を呼べる店舗ということでは、かつて大阪市には1年間だけ家賃を1万円助成する制度があった。非常にシンプルな制度で、必要な書類も賃貸契約書ぐらいのものだ。実際にこの制度を使って開店した店舗もあった。万博IRに巨額の公費が使われる一方で、普通会計ベースで大阪市の商工費は維新市政がはじまってから3割以下に削減されている。このようなところに少額でもいいから使うべきではないかとも思う。

 商店街は一国一城の主の集まりなので、合意形成が難しいという話もある。同業者の店主の仲が悪いということもよくある。まさに同業者ばかりの集まりである道具屋筋のように、商売敵と思わずに同業者どうし盛り上げようとはならないのである。

 商店街の活性化は一筋縄ではいかないし、商店街によってそれぞれ事情は異なる。商店街は歴史的な役割を終えたという人もいるが、周辺地域に住む住民からはやはり必要とされている。新しい可能性の追求も含めて、商店街に関わっていきたい。

福田コラム写真.JPG
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2026年02月27日

2026年4月読書会『大人たちの学校―生涯学習を愉しむ』

2026年4月の読書会は4月15日(水)開催です。

[日時]
2026年4月15日(水)14時〜16時

[場所]
CANVAS谷町(大阪ボランティア協会)たたみコーナー

[世話人]
埜下昌弘さん(NPO政策研究所理事)

[課題本]
山本思外里 著 『大人たちの学校―生涯学習を愉しむ』
中公新書1602(2001年)
やや古い中公新書ですが、図書館や中古本市場で入手できると思います。

[申込み]
専用メルアド mail.npa2002@gmail.com までご連絡ください。
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2026年01月01日

【NPA隔月コラム】「在宅介護」実感

2026年1月1日
田中 健治(NPO政策研究所理事、東大阪市在住)

母97歳、私75歳、妻70歳、長男44歳の4人暮らしである。
母は、昨年6月に尿路感染症で緊急入院。1か月後に軽快退院したが、バルーンカテーテルを留置したままなので、要介護度が2から5にアップした。退院直後は、主治医の特指示によって医療保険が適用され、毎日訪問看護等を受けることができた。2週間後からは介護保険を使って週4回の訪問看護、週3回のリハビリ、週1回の訪問入浴、月2回の訪問診療を受けながら療養生活を送っている。

 今回入院するまでは、記銘力の大幅な低下はあるものの日常生活はほとんど自分でできていた。退院後は自力での排泄が困難となり、褥瘡やヘルペス、接触皮膚炎など常に軽い痛みや痒みに悩まされている。寝たり起きたりの生活だが、食欲はあり、リハビリの効果もあって伝い歩き程度はできるようになった。
 母1人を家族3人で介護する毎日。母には父の遺族年金もあり、比較的恵まれた在宅介護だと思うが、やはり家族の負担は大きい。私も元気とはいえ、夜中に数回起きて、母の様子を見に行く。布団を蹴飛ばしたり、痒みで掻きむしっていたり、何かと世話が焼け、慢性的な睡眠不足である。高齢夫婦だけや老々親子による在宅介護はいかばかりか、と心が痛む。

 このような在宅介護ができているのは介護保険制度の賜物だ。地域包括支援センターやケアプランセンターを中核とする介護保険制度は、医療保険制度とともに、なくてはならないものとなっている。ケアマネージャーと訪問診療所、訪問看護ステーション等の連携で、必要な医療や看護が提供されることで、家族が安心して在宅でも介護できるのである。
 また、高額療養費制度は、同一月の医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合、超過分が払い戻される仕組みで、入院時の医療費と特指示による退院後の医療費が合算される。高齢の母はマイナンバーカードを持っていなかったが、申請すれば受けられた。さらに高額医療・高額介護合算療養費制度というのもあり、1年間に支払った各保険制度の自己負担額合計が基準額を超えた場合、条件を満たせば戻ってくることもあるそうだ。
 このように申請すれば、使える制度は色々とあるのだが、複雑すぎて、市役所の担当窓口に聞いても即答しかねるようだ。なにかと社会保障の自己負担増が進むこの世のなか、より分かりやすく、人に優しい制度になるよう願ってやまない。

 いまはケアする側だが、明日は我が身。団塊の世代の後陣を拝する我々には、より厳しい状況が待ち受けている。住み慣れた我が家で往生したいものだが、果たしてそれが可能なのだろうか。母親の介護に明け暮れながら、様々な想いを巡らせる今日この頃である。

政策研コラム26年1月用(田中健治).png
イラスト)MicrosoftのCopilotによる「在宅介護」のイメージ画像
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2025年12月20日

2026年2月読書会『<公正(フェアネス)>を乗りこなす〜正義の反対は別の正義か』

2026年2月の読書会は2月15日(日)対面開催です。

[日時]
2026年2月15日(日)14時〜

[場所]
CANVAS谷町 たたみコーナー

[世話人]
直田春夫(NPO政策研究所 理事長)

[課題本]
朱喜哲著
『<公正(フェアネス)>を乗りこなす〜正義の反対は別の正義か』
太郎次郎社エディタス(2023年) 
2200円+税

[申込み]
専用メルアド mail.npa2002@gmail.com までご連絡ください。
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2025年11月01日

【NPA隔月コラム】改正公益信託:新しい民間非営利活動のフロンティア

2025年11月1日
岡本仁宏
(一社)公益信託推進イニシャチブ 代表理事/(社福)大阪ボランティア協会ボランタリズム研究所 所長、西宮市在住

改正公益信託法が2026年4月に施行予定である。
 公務員やNPOで活動されている方たちに聞いても、「知らなかった」とか「聞いたことがある」という程度の認識しか持っておられない 。手近な新聞のデータベースで調べてみても、改正公益信託法の成立と施行に関する記事は、国会成立法案の一覧リストにあるだけで記事としては見当たらない。つまり、残念ながらほとんど知られていない。
 公益信託は、民間非営利公益活動が一般的に使える第三のツールである。公益法人、特定非営利活動法人、そして公益信託である。財産拠出という点では、寄附や財団法人形成と並ぶ公益目的資産の受け皿である。
公益信託は大正時代にできた法律によっており、今は370件ほど存在する。しかし、昨年この制度が百年ぶりに抜本改正された。主な変更点を列記すると、

1、主務官庁制の廃止と統一の行政庁・民間有識者委員会による監督への移行
2、受託者を事実上の信託銀行限定から個人や一般の法人等へ拡大
3、信託事務を事実上の助成限定から多様な公益事業に拡大
4、税制優遇を限定から公益信託認可と基本的に連動
5、信託財産を事実上金銭限定から有価証券や不動産、知財まであらゆる財産に拡大

 実に大転換である。
 資産を出す方にとっては、明らかに選択肢が広がる。単に寄附として渡してしまうのではなく、使い方にもっと自分の意向を反映させたいと思っている人の受け皿になる。契約でも遺言の形でもできる。受託者が破産しても、財産が守られる「倒産隔離」の仕組みもあるので、文化財や貴重な自然を保護するための寄附にはピッタリである。
 資産を受け取る方にとっては、税制優遇を受けていない法人や団体さらに個人でも、公益信託としてならほぼフルの税制優遇付きで財産を受け取れる。しかも、単に受け取るだけでなく、そのお金を生かして事業を運営することもできる。受託者と信託管理人、この二つのアクターさえしっかりしていれば、受け取った財産を使った事業運営が可能だ 。
 内閣府でガイドラインの作成が進んでおり、11月にパブコメも出される予定。使いやすくするためには、アドボカシーが欠かせない。 もし、大きな資産を出そうとか、受け取ろうという話があるなら、公益信託を選択肢の一つに入れてはどうだろう。 これまで担ってきた信託銀行に加えて地域でお金を回したい地銀や信金、家族信託で信託に慣れている弁護士や税理士とのネットワークも作りたい。
 施行までにいろいろ準備できる。新しい道具を使うためには技術を磨くことも必要だ。この道具を使って、どんな作品を作ることができるのか。新しい民間非営利活動のフロンティアの姿を見極めたい。

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@岡本作成「公益信託の仕組み」

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A「こうえきしんたくん」(内閣府公益信託イメージキャラクター)
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2025年10月01日

【NPA隔月コラム】シマダスとリトケイ

シマダスとリトケイ

2025年10月1日
直田 春夫(NPO政策研究所理事長、箕面市在住)

 厚さ約5p、A5判変型、重さ約1.2kg、1,808頁(含地図、写真)。これが『SHIMADAS(シマダス)』の正体だ。日本国内の島(国土地理院によると14,125島、うち有人島は417島)のうち約1,750島を掲載した島データベースである。

 シマダスは、(公財)日本離島センターが1993年に刊行、2019年の第6版が最新版。面積、周囲、標高、世帯数、人口、年齢構成、産業、来島者数、行政、交通等の基本情報から「みどころ」や郷土料理などの「島じまん」、さらに祭祀/伝承、方言、うた、学校の状況、出身者に至るまで、写真や地図も掲載されている。無人島についても、たとえば北海道松前町沖にある今は無人島の(松前)小島(1.54㎢)の項には、「かつては(アワビやサザエ)採取のため能登半島からも毎年海女がやって来ていた。」という記述を見つけることができる。一つ一つの島を多様・多層に浮かび上がらせる巨大なデータベースがあることの意味は大きく、島の行き方(生き方)を考える端緒となる。

 『ritokei(リトケイ)』は、認定NPO法人離島経済新聞社が刊行するタブロイド判24頁カラー刷りの季刊紙である。毎号、特集テーマを掲げ(例えば「気づき、受け入れる。腹落ちする島へ」、「逢いたい島人」、「シマ育のススメ」、「島を支える仕組みのキホン」、「島で生きるために必要なお金の話」等々)、関連する現場のルポ、住民・島づくり人のインタビュー、背景情報のまとめの記事などが興味深い。団体名を「離島経済」としているだけあって、産業振興や経済循環の記事には力が入っている。

 最新号の2025年秋号(No.50)のテーマは「島々が向かう意志ある未来となりゆきの未来」。複数の島の小学生に「島がどんなふうになってほしいですか?」と尋ねたところ、ほとんどが「今のままでいい」と答えたとある。統括編集長でNPO代表理事の鯨本あつこさんは「これは簡単に見えて最も難しいことかもしれません」とコメントしている。このNPOでは、新聞発行のほかにも「島と島国の宝を未来につなぐこと」をミッションに、「未来のシマ共創会議」や「シマビト大学」など、さまざまな創造的事業を展開している。

 「島」は往々にして憧れの対象として消費される傾向にあるが、それぞれに歴史とそれを継承した暮らしや生業があり、時には「離島苦」を乗り越えて今があるのだが、すさまじい人口減と高齢化の中にあって、島の持続は予断を許さない。島は、島外との開かれた関係性なくしては生き残れない。しかし、その存在自体の潜勢力は大きく、さまざまな可能性の組み合わせを持っている。地域が自立することへのヒントがそこにある。

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ritokei No.50表紙
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2025年09月03日

2025年12月読書会『移動と階級』

12月度の読書会は12月14日(日)対面開催です。

[日時]
12月14日(日)14時〜

[場所]
ドーンセンター4階 小会議室4

[世話人]
島崎耕一さん(NPO政策研究所 会員)

[課題本]
伊藤将人 著『移動と階級』講談社現代新書2774(2025年)

[申込み]
専用メルアド mail.npa2002@gmail.com までご連絡ください。
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2025年10月読書会「目的への抵抗」

次回読書会は10月22日(水)対面開催です。

[日時]
2025年10月22日(水)14:00ー 

[場所]
CANVAS谷町(大阪ボランティア協会)畳コーナー

[世話人]
仲野 優子(NPO政策研究所 理事)

[課題本]
國分功一郎 著『目的への抵抗』
シリーズ哲学講話 新潮新書991(2023年)
※なお、同じ著者の『暇と退屈の倫理学』新潮文庫900(2022年文庫化)を読んでおくと
理解が深まります。

[申込み]
専用メルアド mail.npa2002@gmail.com までご連絡ください。
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2025年07月01日

【NPA隔月コラム】市民活動人生最終期の挑戦〜帯解駅舎をめぐる地域活動

市民活動人生最終期の挑戦〜帯解駅舎をめぐる地域活動

2025年7月1日
帯解駅舎保存・活用の会代表 
木原勝彬(奈良市在住)

 奈良でのまちづくりを実践しようと、東京での会社勤めに踏ん切りをつけて、故郷奈良にUターンしたのが1978年。奈良町の歴史的町並み保存運動への心酔を機に、市民活動をライフワークにすると決意してから、かれこれ半世紀になる。市民活動人生の最終期に入ったここ5年は、過去に学んだ経験を総動員して、地元であるJR万葉まほろば線帯解駅舎の保存・活用に全力を傾注している。
 詳細は、以下である。明治31(1898)年に建設され、現在、奈良市所有の登録有形文化財になっている帯解駅舎を、奈良市が大正15(1926)年当時の駅舎に復原整備し、整備後の駅舎を「帯解駅舎保存・活用の会(以下、本会)」が地域内外の人々との交流拠点として活用(管理運営)することをめざすプロジェクトである。竣工は2027年3月を予定している。
 市民活動人生の総仕上げとの思いで駅舎の保存・活用活動を開始したが、今に至るプロセスは予想を超える厳しい道のりであった。本コラムでは、直面している現実の問題の紹介に留めることにし、それらの要因分析等を踏まえた総合的な考察については、駅舎竣工後の宿題としたい。
 ところで、奈良市との関係である。現駅舎を大正15年当時の駅舎に復原整備するという目標の共有に至るまでには、5年間(2019〜2023年)で90回の折衝・交渉(提案、要望等)を必要とした。この間の意思決定の遅れが、竣工を大幅に遅らせた要因である。昨年6月、本会と奈良市担当課との間で「協働による帯解駅舎保存整備事業の推進に伴う協議について」の申し合わせをおこない、毎月、迅速な課題解決と事業の円滑化を図る定例協議を続けている。
 一方の地域である。駅舎活用による地域の活性化をめざすという本会の活動は、人口が減少し続け、少子・高齢化で元気をなくしつつある帯解地域(2024年4月の校区人口2,751人で10年前に比べて2割減少、高齢化率44%、年少人口9.5%)であるから、比較的スムーズに受け入れられ、地域住民の入会及び行事の参加もそれなりに確保できると期待していた。しかし、地域住民を対象にしたフォーラムや意見交換会等への参加は少なく、駅舎に対する関心は総じて低い。それに加えて私を悩ませているのは、本会の組織ガバナンスにかかわる次の3つの問題である。運営委員(役員13名、内70歳以上8名)間の認識の共有化がままならないこと、事業の役割分担がスムーズ進まないこと、そして今年80歳になる私の後継代表の問題である。
 上記の問題解決は、一朝一夕にはいかないことを認めたうえで、2027年3月の駅舎竣工までには、私なりのリーダーシップを発揮して、問題解決への努力を続けたいと思う。

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明治31年建設の登録有形文化財 帯解駅舎
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2025年06月30日

2025年8月読書会「ウンコノミクス」

次回読書会は8月5日(火)対面開催です。

[日時]
2025年8月5日(火)14:00- 

[場所]
CANVAS谷町(大阪ボランティア協会)畳コーナー

[世話人]
相川康子(NPO政策研究所 専務理事)

[課題本]
山口亮子著『ウンコノミクス』インターナショナル新書156(2025年)950円+税

[申込み]
専用メルアド mail.npa2002@gmail.com までご連絡ください。
posted by NPO政策研究所 at 15:42| Comment(0) | TrackBack(0) | NPA読書会