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2015年02月03日

はじめまして〜NPOと契約〜

 こんにちは。NPOのための弁護士ネットワークのブログを立ち上げました。メンバーの弁護士がNPO関係者や支援者の参考になる情報を発信していきます。初回のテーマは「NPOと契約」です。

 この世に誰ともひとつも契約をしないで運営できるNPOは存在しません。事務所を借りるには賃貸借契約を、人を雇用するには雇用契約を、行政の受託事業を行うには業務委託契約を締結しなければなりません。
 しかし全てのNPOが、契約締結の際に法的リスクを考えて契約書の中身を慎重に検討できる能力と余裕があるわけではありません。
 私たちのネットワークには、いろいろな伝手をたどってNPOの運営や活動、労務、取引等に関する質問が寄せられています。その中には一定の割合で契約に関する質問が含まれています。例えば、ある分野でユニークな活動をして世間から注目を集めている団体から、こんな質問がありました(ブログで紹介するに当たって多少デフォルメしています。)。


「ある著名な企業から、イベントの共催、グループ企業に対するコンサルティング、コンテンツの共同開発などの事業提携を申し込まれ、契約書のひな形が送られてきた。ひな形によると、共同で開発したコンテンツの権利は両者の共有となり、第三者への類似コンテンツの提供が制限されるような規定がある。当団体は様々なパートナーと同様の取り組みを行っており、将来の活動に制約が出ることは避けたいと考えている。どういう契約にすればよいだろうか。」


 NPOの活動範囲が広がってくると、他の企業や団体との接点が増え、対等の立場で契約をする機会が増えてきます。団体にとっては事業拡大や社会におけるプレゼンス向上の好機ですから、上手にリスクを管理しながら取り組みを成功させ、団体の成長につなげたいところです。

 団体の内部や協力者に判断できる人間がいないときは、私たちのような外部の専門家に相談することもときには必要でしょう。最近では、企業等で組織の内部統制や契約書の作成などの実務経験を積んだ方が、団体の理事やスタッフ、プロボノといった形で団体に参画することが増えてきているように思います。特に東京ではそういう例を目にすることがあります。こういった協力者をうまく味方につけて団体の事業遂行能力を向上させることが、これからのNPOにとっては重要な取り組みになると思います。

 さて、上記のような質問が寄せられたとき、私たちがまずアドバイスすることは、きちんと相手の担当者とコミュニケーションを取って、わからないことや不安に思うことをしっかり質問して回答をもらうようにしてください、ということです。将来障害になりそうなことがあれば、契約で明確に排除するように求めなくてはなりません。わからないままにすることが一番危険です。

 もし相手の担当者が、社内の決まりで契約書上はこうとしか書けませんが、ご心配のようなことにはなりません、というような言葉でお茶を濁そうとしても応じるべきではありません。契約は一度締結すると内容を変更することは難しく、後で契約の解釈で対立したときに当時の担当者はこう話していたから…と言ってみたところで、契約書に明記された法的効果を否定することは容易ではありません。

 契約書の中身について分からないことを明確にするように求めたり、対等な契約になるように交渉することは、相手に対して失礼なことでは決してありません。むしろ、リスクに対する意識の高いきちんとした団体だという積極的な評価につながります。

 もっとも、契約のどの規定が自分たちの将来のリスクになるのかを判断するには、契約書に対するある種のリテラシーが必要になってきます。団体内にそういった人材がいないときは、積極的に外部リソースを活用しましょう。身近に法律の専門家がいれば仲間に引き込むのが一番手っ取り早い方法かもしれません。

 私たちのネットワークは、NPOのための志的勉強会という勉強会を年に6回程度開催しています。NPOの理事やスタッフなどの関係者とネットワークの弁護士を中心に、税理士・弁理士・行政書士といった士業、中間支援団体、プロボノなどの多様な立場の方々が集まって、NPOの経営に関する法的課題とその解決法の検討、事例共有、実務ですぐに使える書式の作成などを行っています。

【過去の開催テーマ】
NPOのコンプライアンス、NPOの契約ノウハウ、NPOのガバナンスと理事の責任、遺贈による寄付プログラム、プライバシー・個人情報保護と事故対応、中間支援組織による支援先・助成先への支援のあり方、広報の法的トラブルとその予防策、商標登録・上手な活用法、NPOにおける労働者−ボランティア活動者を中心に、NPOにおける情報管理〜管理規約を中心に〜、NPOの情報発信とアカウンタビリティ

 また、ネットワークの弁護士の有志による無料相談イベントを毎年9月に東京、名古屋、札幌で開催しています。

 今年度の志的勉強会、無料相談イベントの開催予定は、今後このブログで発表していきますので興味があるテーマがあれば是非ご参加ください。
 今後ともNPOのための弁護士ネットワークをよろしくお願いします。
(樽本)
posted by 樽本 at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | NPOの法律問題