かつてバブルの頃「六本木で石を投げればベンベーに当たる」と称されたBMW。アルファベットの社名って何となくカッコイイです。これが『バイエルン発動機株式会社』の頭文字を繋いだものとご存知の方は多いと思います。又、四輪と二輪の両方を生産する数少ないメーカーのひとつだったり、最近は電気自動車が人気だったり、松○が乗ってたりすることもよく知られています。
今ではロールス・ロイスやMINIブランドを傘下に治める程の大企業ですが、かつては『イセッタ』なんて正面から見れば「冷蔵庫?」と言いたくなる程のとってもラブリーな一枚ドア三輪ミニカーをライセンス生産していた辛い時代があったそうです。1950年代の終わりにはダイムラー・ベンツ社(今のダイムラーAG)に吸収合併がほぼ、本当にほぼ決まっていたのも有名な話ですが、結局最後の最後でご破算になり、山あり谷ありのドラマを経て今日に至るワケです。
最近その経緯を紹介する記事を読む機会があり、大いに唸りました。
それによると、契約の期日ギリギリで手続きに必要な決算書に誤りが見つかり、訂正の猶予も無く時間切れになったのだそうです。もしも1959年のその日その時にBMWの決算書に正しく減価償却が記載されていたならば、1999年のルマン優勝車はBMW・V12 LMRでは無くトヨタGT・ONE TS020(ドライバーは片山右京・鈴木利男・土屋圭市だぁ!)だったかも知れないと思うと、更に感慨深いです。
さて減価償却とは何のことでしょう?
知らなくても日常生活は何ら困ることはありませんが、興味がありましたら意味くらい調べておいても宜しいかと思います。
国税庁のホームページには、「事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。」とあります。
続いて、「減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。」ともあります。
更に、「減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です。」と来て、次に…(以下略)。
…まあ、ここだけ読んでも、何となく送迎用車両や除雪機や空缶減容器などを買ったときは「おカネがモノに化けた」つもりで置いといて、年度末で使いそじた(傷んだ)分だけ引くんだな…位は想像できます。
小規模作業所時代は単式簿記でおカネが入った出たを示していましたので、資産とか財産とか負債とかいうことは考えないようにしていました。実際それで困らなかったし。
でもNPO法人会計は複式簿記ですので、『償却』なんて言葉、高校の授業以来でした。「そうそう、あん時先生そう言ってたなあ」などと呑気に買ったばかりの会計ソフトを動かしておりますと、知らない科目がゾロゾロと…。
財産に関係する科目なんて、それまで見たことがなかったので使い方が全然分かりません。しかも『減価償却費』が事業費にあったり管理費にあったり製造原価にあったり。
「違いは何?」と慄くばかり。
更に更に、調子に乗って部門管理なんて5つも設定したもんだから、いっぺんに5つの会社の面倒を見るハメになった気分でした(遠い目…)。
案の定、初めての決算整理は散々でした。『収支計算書の…と貸借対照表の…が一致しません』ってメッセージが何度出たことか。
全社は合っても部門ごと決算で『収支計算書の…』。月別集計表で部門差を探すと全て自分の入力ミスだったんですけどえらく不愉快になったりね。
毎年山あり谷ありのドラマを経ると、大体ココがメンドい、なんて見当をつけられるようになりました。特に減価償却費は償却資産台帳の自動計算と繋がっていないために決算整理で毎回入力しなければならず、ドコの『部門』のナンの『減価償却費』を使って費用計上するとか、何度もチェックします。
ここ数年は会計士さんが管理して下さるので楽になりましたが、初めは会計に向かう考え方の違いに違和感を覚えました。会社会計は「纏めろ纏めろ」が原則。「細かくするな分かり難いだろ」と怒られているようでした。翻って就労支援事業所を実施しているNPO法人では「分けろ分けろ」。「一緒にするな幾らだか分かんないだろ」と囁かれているようなやり方です。うーん面倒だ。
そうそう、決算仕訳も面倒でした。財産増減を相殺してしまうような仕訳でこれおかしくない?と端折ったら『収支計算書の…と貸借対照表の…が一致しません』が出たもんだ。
会社会計のソフトではまずしない仕訳らしいですが(使っている人なら分かりますよね)。
まあそんな事で経常収支も減価償却も部門管理も財産増減もピタリ揃った決算書が出るとやっとニンマリ出来る訳です。
黒森山(通称くじら山)登山口途中の林道から望む磐梯山。サルが群れ成して歩いていました。