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北海道のアウトサイダー・アート展01 [2009年11月29日(Sun)]



北海道立旭川美術館で現在開催中の【アロイーズ展“ 私の愛は、蝶のように飛び去った…”】の同時開催として【北海道のアウトサイダー・アート展】を開催しています。

NPO法人ラポラポラ(旭川)では、北海道におけるアウトサイダー・アートの調査をこれまで行なってきました。富良野市、札幌市、北見市、滝川市など全道の様々な地域の施設、病院、ご自宅を訪ねて、創作活動をされている方たちを見て回り、数々の素晴らしい作品を発見することが出来ました。
その調査によって明らかとなった作品を展示したいたしました。

開催要項などの詳しくは【アロイーズ展“ 私の愛は、蝶のように飛び去った…”】の詳細をご覧下さい。
※アロイーズ展の入場料金で両方の展示をご覧になれます。

今回展示致しました作家のご紹介とその作品の一部を以下のご紹介致します。


藤井 晋也

1969年生まれ。滝川市在住。
札幌のデザイン専門学校を卒業後、海外での創作活動を夢見て東京、愛知などで派遣労働をして資金を貯めていたが、23歳頃から統合失調症の症状が現れ幻聴に悩まされるようになったという。ロック音楽を聴くことが好きな藤井の部屋には多くのカセットテープがあり、「線は音の波動によって生まれて行く」という。音の波動は画面の中心から奏でられ、広がっていっている。クラフト紙に製図用のペンで下書きもなく描き進めており、本人にも最終的な形がどのようになるのか想像がつかない。すべてはラジカセから流れてくる音がイメージとなっている。









吉原 長次郎

1933年生まれ。生田原町在住。
日の丸の旗が高々と掲げられ、太陽が遮断機のようなところに浮いている。何とも不思議な絵である。
吉原の描くモチーフはほとんど同じであり、遮断機の上に浮いているものが、他に「消火栓ボタン」「吉原」ぐらいである。繰り返し、繰り返し、これらのモチーフを描くことに執着するあまり、手首や腰を痛めてしまうこともあるという。現在は1日に描く枚数を制限している。それまでして、このモチーフを描く理由は定かではないが、戦争など、衝撃的な体験もあるのではないかと思われる。




吉田 幸敏

1955年生まれ。当麻町在住。
当麻町にある福祉施設、当麻かたるべの森にて創作活動を始める。当初は人の顔をモチーフとしたものが多かったが、近年は動物図鑑を参考に描いている。オイルパステルで何度も何度も塗り重ねては、削り出すということを繰り返し行い、重厚感のある画面を作り出している。

いつもニコニコとしている吉田ではあるが、福祉施設入所前には牧場で不遇で過酷な労働を強いられていた状況が長く続いていたという。
安住の地を得て現在は一心に絵を描くことに没頭している。






高橋 ヒサ子

1937年生まれ。剣淵町在住。
57歳から絵画を描くようになる。本人によると小さい頃からいつも母の不在の時間などに塗り絵をしていたそうで、当初は母親の書いた線に塗り絵をしていたが、その後は自分で線を描き塗っていたとのこと。そのためか、現在もまず、ペンによる線画で数枚描き、その後まとめて色鉛筆により塗りこんでいる。昔を思い出しながら描いているのかモチーフは人形、振子の時計、りんご、団子などが多い。

60歳を過ぎてから独自のキャラクター「スター君」や、四角や三角の不思議な顔が多数描かれるようになる。また色の配色も鮮やかになっている。
描くものへの戸惑いはまったく無く、次から次へと途切れずに描き続ける。葉書サイズのものを描く事を好んでおり、一日に30から40枚を描いている。









畑中 亜未

1973年生まれ。札幌市在住。
畑中の画面の特徴はクレヨンを強く塗り込んでいる筆圧によるところである。負担によって砕けたクレヨンのかけらを爪や指でなすりつけていることでこの画面が出来上がっている。畑中は興味ある対象を片っ端から描いている。その興味のの向く所はとてもユニークで、国道36号線、曙や武蔵丸などの力士、犬や猫の数など、創作の対象はその時の関心のある物事によって展開されている。対象としているものをストレートに力を込めて描く。これが大きな魅力となっている。

この彼女の興味の移り変わりは母親の影響が強いようで、母親の言動や行動、日々の暮らしに特に興味、感心が高いことが伺える。




得能 サチ子

1950年生まれ。深川市在住。
L字型の小さい線を連ねていくことでマス目を生み出し、ひとマスごとに異なった色をフェルトペンで着色している。  

得能が、この独自のスタイルとなる表現方法を獲得したのは、2000年の時に描いた傘の絵だった。傘の骨を丁寧に一本一本線で描き分けていき、その格子となった部分を一つ一つ塗り分けたのがきっかけとなった。

得能の創作動作は特徴的で、小さく仕切られた1マスに着色する際、得能はマーカーのキャップを外し、塗り、そして終わるとキャップを閉めるという一連の動作をひとマスごとに行う。しかも、一回一回ペンの色を変えている。一度に数カ所をもまとめて塗るような事は行わない。規則正しいこの儀式のような一連の動作に、ひとつひとつのマス目の重要性が伝わってくる。







大梶 公子

1950年生まれ。北海道深川市在住
大梶がこのような作品を制作したきっかけは1999年頃からで、無数に並んだ「丸」の中に「丸」を描き出したことであった。それがいつしか目や鼻を印象つけるものとなり、やがて「丸」には手や足と思われる線がそれぞれに引かれはじめた。そして、ついには毛も生えてきたのである。   

「丸」は子宮の中で卵子が細胞分裂を繰り返して「人」へと形成されていくのと同じ過程をたどって、「人」へと形作られていったのである。古来から「丸」は重要な図形であり、仏教では真理があると言われている。終わりも始まりも無い「丸」は永遠の循環である輪廻を表している。

作者にとっては無意識的であろうが、普遍的なイメージが繰り返し、繰り返し描き込まれており、見る者にとって大きな魅力を醸している。







平瀬 敏裕

1971年生まれ。北海道深川市在住。
無数の×印を編み物のように、一定の規則で並べて描き込んでいる。1枚の作品が出来上がるまでには2.3か月の時間がかかる。

このような制作スタイルになったのは2001年にノートの片隅に書いた×印8つが始まりだった。それから毎日、平瀬はノートに×印を書き連ねた。平瀬にとって、この×印は一つの文字であると思われる。人は文字を伝達の行為に利用し、それは記録とする。しかし、一方で何かを伝達する以上に「文字を書く」という行為は精神の高揚感にもつながっている。

平瀬は独自の「文字」を手に入れ、それを連ねることでの快楽と、独自の絵画技法を手に入れたのである。







アロイーズ展 私の愛は、蝶のように飛び去った… [2009年10月22日(Thu)]


アロイーズ展


【私の愛は、蝶のように飛び去った…】

アロイーズは、1886年にスイスで生まれ、ポツダムのサンスーシ宮殿でヴィルヘルムU世の王室付司祭の子どもたちの世話係の職などを務めた。31才で統合失調症となり、31才から77才でなくなるまでの46年間を病院で過ごし、自分の精神世界を追い求めて絵を描き続けました。アロイーズの芸術性は、1947年、フランスの画家、ジャン・デュビュッフェ(1901-1985)により、見出されて世の人の知るところとなります。デュビュッフェは、このような美術の概念に束縛されない自由な表現を、アール・ブリュット(フランス語=生の芸術)と命名しました。
 本展覧会では、アロイーズ研究の第一人者であり、アロイーズ財団の会長でもあるジャクリーヌ・ポレ=フォレル医師により厳選された、アロイーズ作品85点を展示します。10メートルを超えるものや、世界未公開作品も含めた、日本初の大規模な個展です。
アール・ブリュットへの関心が高まる日本において、その概念の原点に位置し、最も重要な作家として、ヨーロッパで高く評価されているアロイーズを広く見渡す事のできる機会となります。


会 場:北海道立旭川美術館
〒070-0044 北海道旭川市常盤公園無 TEL0166-25-2577

日 時:2009年10月24日(土)〜2010年1月14日(木)

休館日:月曜日

(アロイーズ展中の月曜日の開催日:11月2日、23日、1月11日
振替休館日:11月24日(火)、1月12日(火)、年末年始休館は12月29日〜1月3日)

開館時間:9:30〜17:00(入場16:30まで)

観覧料:一般1000円(800円)、高大生700円(500円)

小中生200円(100円)、障害者手帳をお持ちの方200円(100円)
※( )内は前売り及び10名以上の団体料金
※前売り券発売所:北海道立旭川美術館 ラポラポラ こども富貴堂

主催:北海道立旭川美術館 NPO法人ラポラポラ NPO法人はれたりくもったり
共催:ボーダレス・アートギャラリーNO-MA
後援:スイス大使館 社団法人日本精神科看護技術協会
助成:日本財団 スイスプロフェルベティア財団 太陽北海道地域づくり財団


「私の愛は蝶のように飛び去った…」これは、アロイーズ自身が絵の中に書いた文章であり、姿を変貌させて美しい羽を広げる蝶を「再生の象徴」としたものです。
アロイーズ(1886-1918)は31歳で統合失調症を病み、46年間に及ぶ精神病院での入院生活で膨大な作品を残しました。高い教養を持っていたアロイーズは、オペラの場面や錬金術などの知識を自分なりに融合させ、独自の世界を描きました。「アール・ブリュット」の概念を発案した画家ジャン・デュビュッフェは早くから彼女の芸術に情熱的な関心を寄せ、主要な作家としてアール・ブリュット・コレクションに作品を加えました。以来、アロイーズの芸術は人々を魅了し、その評価は国際的に広がっています。
今展は、スイス・アロイーズ財団の協力により、初期から晩年に至るアロイーズ作品を一望することが出来る初めての展覧会となっています。
色鮮やかな作品群は、まさに蝶のように華やかに舞い、アロイーズの再生を物語ります。
この展覧会は表現のあり方についての問いを私たちに投げかけ、芸術の概念に衝撃を与えることでしょう。


アロイーズ・コルパス 略歴




1886

スイス・ローザンヌの中産階級に生まれる。
子供のころより成績優秀で教師となる。

1911

ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が暮らすドイツポツダム宮廷に司祭の娘たちの家庭教師として務める。
華麗な宮殿生活の中で教養あふれる人々の影響を受けながら知識を吸収し、開花させる。
アロイーズは次第に皇帝ヴィルヘルム2世に恋心を抱く。

1918

精神分裂症と診断され、セリー大学付属精神病院に入院することとなる。
官能的な愛の世界を象徴的な表現に託して描き始める。

1941

ジャクリーヌ・ポレ=フォレル医師の理解によって創作は重要な進歩を遂げる。

1947

フランス人画家ジャン・デュビュッフェに見出され、アール・ブリュットの作家として注目を集める。
1964

死去。





出展作品(抜粋)




Papesse des étudiant
(学生たちの女教皇)



Chantez la Liberté à la Gloire des héros de France et l’Amérique qu’ils ont découverte
(フランスの英雄たちの栄光と彼らが発見したアメリカを賛美する自由を歌いたまえ)



La Caporale Dieu Bien Fou / couchés dans l’herbe fleurie
(女性伍長 デュー・ビエン・フー /花咲く芝生の中で横たわった)



Le Soleil va baiser la terre
(太陽は地球にキスするだろう) 



Dans le riche manteau du Bon Enfant
(ボナンファンの豊かなマントの中で)



Char de Salomé
(サロメの二輪戦車)




同時開催:北海道のアウトサイダー・アート

近年世界的に注目を浴びているアウトサイダー・アートは北海道においても見出すことができます。
本展はNPO法人ラポラポラが行なっている北海道全域の作品調査によって発見された作品を紹介します。

出展作家:藤井晋也/横山篤志/畑中亜美/西本政敏/得能サチ子/大橋公子/平瀬敏裕/日常学/高橋ヒサ子 ほか


関連イベント

※各イベントともに展覧会観覧料もしくは半券が必要です。

オープニングイベント

2009年10月24日(土)13:00〜15:30
会場:北海道立旭川美術館 講堂(定員80名)

記念講演 

「アロイーズの芸術と生涯について」


ジャクリーヌ・ポレ=フォレル(医師・アロイーズ財団会長)※通訳有り

スイス・アロイーズ財団の会長であり、アロイーズ研究の第一人者であるジャクリーヌ・ポレ=フォレル氏は、精神病院に入院中のアロイーズと1941年に出会い、その後、訪問を重ねて必要な画材を提供し、制作を亡くなるまで見つめてきた方です。ジャクリーヌ氏による記念講演ではアロイーズの生涯、制作の様子や世界観について話していただきます。
※都合によって講演内容を変更する場合もございます。


北海道のアウトサイダー・アート展 トークショー

「知られざるアーティストたち」


工藤和彦(陶芸家・本展アートディレクター)

近年注目を浴びているアウトサイダー・アートは北海道においても見出すことができます。
本展で展示された作品を中心にその創作の背景を紹介します。
○独立行政法人福祉医療機構「長寿・子育て・障害者基金」助成事業
○主催/NPO法人ラポラポラ

ミュージアムハープコンサート

1回目 2009年11月22日(日)
2回目 2009年12月23日(水)
3回目 2010年1月14日(木)
時間: 14:00〜15:00(共通)
場所: アロイーズ展会場
ハープ奏者 池田千鶴子

武蔵野音大ハープ科卒業。
アメリカ、ミネソタアウグスブルック・カレッジにてミュージックセラピー法を学ぶ。
ハープを携え、戦火のサラエボ、ベトナムの障害児施設、阪神大震災直後の神戸、函館のホスピス、全国の学校、テロ後のニューヨークなど、世界中のあらゆる場所をステージに“心のケア”を題材とした個性のある演奏活動を行なっている。
スピリチュアルなハープの音色がアロイーズの世界を醸し出します。


ギャラリートーク

場所: アロイーズ展会場
日時:10月31日から毎週土曜日 14:00〜15:00
ナビゲーター:工藤和彦