漢字を繰り返し書くことは大切なのか? [2014年06月25日(Wed)]
|
「今日僕は心が重いんだ…。漢字テストで0点だったから…」 NIREの教室に来た小5の男の子は、席に着くなり私に話しかけてきました。 書くことに困難を持つ子どもたちにとって、毎日の授業や宿題は想像以上の負荷となっています。この男の子の場合も、毎日大量の漢字の書き取りをさせる宿題が出されています。書くことに負担がない子にとっては簡単な宿題かもしれませんが、彼の場合はこの漢字の宿題をやり終えるのに1時間以上費やしています。とにかく書くことに必死で、漢字を覚えるヒマはなく、毎日毎日これだけ漢字を書いているにもかかわらず、テストでは1点も取れないという残念な結果が繰り返されています。 「漢字は、とにかく書いて覚える」ということは、多くの人が疑いなく効果があると信じている学習方法だと思います。たしかに、同じことを繰り返し練習することで体得することも多いと思います。一流のスポーツ選手を見ていると、誰しも地道に練習を積み重ねていることがわかるので、それをそのまま勉強にあてはめて、子どもたちにハッパをかけることも多く見かけます。 しかし、同じ練習法をおこなっても、異なる結果になっていることに注目している人は少ないような気がします。よくよく考えてみればわかることですが、アプローチが同じでも結果に差が出るということは、日常的に当たり前のことです。例えは悪いのですが、かくいう私も語学学習について、「これでペラペラになる!」と宣伝されている教材に飛びつき、お蔵入りした経験が多数あります。 人は失敗を繰り返すと「学習性無力感」に陥り、「できることさえやらなくなる」という心の働きがあるというのは、心理学で古くから指摘されています。 画一的な指導方法ではなく、一人ひとりの特性に合わせた学習指導をおこなっていくことは、子どもたちの「学ぶ権利」として国際的には常識となってきています。先日、日本でも批准された「障害者の権利に関する条約」でも、教育において「個人において必要とされる合理的配慮が提供されること」とされ、文科省でもその具体化が検討されています。文科省が出した「合理的配慮の観点(案)」では、「漢字練習や英語学習において、単純な繰り返し練習が効果を上げない」とはっきり明記されました。 漢字を覚えるためには、「繰り返し書かせる」という方法以外に、さまざまなアイデアや工夫があります。「こんなやり方もある」「あんな方法もある」という試行錯誤の中で、自分なりの学習方法を見つけていくのも大事な教育活動です。 それにしても、「繰り返し漢字を書かせても、学習効果はない。むしろ学習意欲を阻害する」と繰り返し指摘・警告しても、やはり「繰り返し学習」がなくならないのはなぜなんでしょう? 私たち自身も、多くのオトナたちにわかってもらえるように、伝え方のアプローチを見直さなければなりませんね。 (参考)文部科学省 学校における「合理的配慮」の観点(案) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1314384.htm |



