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子どもたちのサインを見逃さない [2014年06月10日(Tue)]
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5月、6月は一年の中でも相談の多いシーズンとなります。
その要因はいくつかありますが、まずは人間関係。新学期がスタートし、クラスの人間関係もだいたい固定化することで、その流れに乗り切れなかった子たちが、一人ぼっちに耐えきれずに、学校への行きしぶりなどを始めます。高校生では、クラスや部活になじめず、「こんなはずじゃなかった」と中退するかどうか悩む時期ともなります。

その次に多い相談が勉強の悩み。だんだんと授業が進み、勉強も遅れがちになってくると、「このままついていけるのか?」と不安になってきます。中間テストや学力テストもあるので、結果を見てガックリする家庭も少なくありません。

こうした不安や心配を、子どもたちはなかなかオモテに出そうとしません。「相談するのが恥ずかしい」「自分が悪い・自分の問題」「もっとがんばらなくちゃ」「どうせわかってくれない」「怒られる・反対される」などなど、いろんな理由で抱え込むことが多く、学校や家庭では子どもたちの心のサインを見落としがちです。

NIREでは授業やイベントで、さまざまなアンテナを張りめぐらし、子どもたちの心のサインを読み取り、なんでもオープンに話し合えることを大切にしています。

それでも子どもたちの心のサインを読み取ることは、とても難しいことです。
「いつもあんなに元気いっぱいだったのに急に無口になった」
これは比較的わかりやすいサインですが、「これまで静かだった子が急に活発になる」パターンもあるので注意が必要です。いつも以上に多弁になったり、テンションが高い場合は、「何かあったのかな?」と考えます。服装や髪型が急に変わるというのもわかりやすい変化ですが、メールアドレスが変わることは、人間関係の変化とも連動している場合もあるので、注意してみるポイントとなります。

人は、人との関わりでしか成長できないので、失敗やつまずき、悩みや不安はつきものです。そして、こうした経験が人間を豊かに成長させる源となりますが、悩みやトラブルの解決には他者の存在が不可欠で、私たちはそんな一員になれたらいいなと思っています。

いつも「勉強なんていやだぁ〜」と逃げ回っていた男の子が、ある日突然教室に入るなり黙って宿題を始めました。「やっと勉強する気になったか」「成長したなぁ」と最初は思っていたのですが、鬼気迫る表情で黙々と勉強する姿に違和感を持ったので、ペンを置かせて「どうしたの?」と声をかけました。すると、眼に涙をいっぱい貯めて「ちゃんと勉強しないと、他の塾へ行かさせる!とお母さんに怒られた」と言うではありませんか……。親にしてみれば、いつまでたっても勉強と向き合わず、安くない月謝を払い続けることにシビレを切らせ、少し脅かすつもりで言ったのかもしれません。でも、子どもは言葉通りに受け止めて大きなショックを受けてしまったようです(私もショックでした……)。
この事件?をきっかけに、この男の子とじっくり話し合いをしました。「本当は勉強ができるようになりたい」「でも、できない自分を見せるのは恥ずかしい」「同級生にバカにされたことが悔しかった」「このまま勉強できないと、どんな大人になってしまうのか不安」などなど、一つひとつ丁寧に聞き取り、一緒に解決策を考えました。

子どもたちは、いろいろな壁にぶつかり、行きつ戻りつ成長します。そんな不器用でジグザグな道のりに、お節介でも寄り添うオトナがいてもいいのかなと思っています。そこから私たちが学ぶことも多くありますし、遠回りに見えて、実は近道だったこともあります。そんな「寄り道」を、私たちは子どもたちと一緒に楽しみたいと思います。

(参考)「学校における子供の心のケアーサインを見逃さないためにー(文科省2014年3月)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1347830.htm
Posted by 中塚史行 at 15:37 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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