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夏休み「読書感想文」とどう向き合うか?(2) [2015年07月02日(Thu)]
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★夏休み宿題サポート参加者募集中!!★

夏休みの「読書感想文」をめぐるサポートの第2弾です。

「読書感想文の書き方」などのハウツー本はたくさんありますが、どれも子どもを「型にはめる」気がしてなりません。読書はもっと自由で、楽しい活動のはずです。なので、NIRE流感想文の書き方支援は、子どもへのインタビューから始めます。

質問の項目は、あらかじめ20くらい用意しておきます。
例えば、「主人公は?」「お話の場所は?」「何をしたの?」など、内容を要約する一般的な質問だけでなく、「この本を読んで思い出した自分自身のエピソードは?」「もしも自分が〇〇だったら?」「主人公と似ている人は近くにいる?」なども質問します。
実際にマイクを使い、まるで芸能人からコメントをもらうような雰囲気で進めると楽しいです。答えが一言しか出てこないときは、「もう少しお願いします!」と、演出しながら聞き出し、作文へとまとめていきます。

次の作文は、小学校5年生の男の子がまとめた「読書感想文」の一部です。

『れいぞうこのなつやすみ』(村上しいこ著、PHP研究所)
「れいぞうこに手と足と口と目と鼻としっぽがはえて、しゃべりだしました! そして、家族みんなとプールに行きます。れいぞうこも夏休みがほしかったのです。(中略)おかあさんが、パンツのカタログを見たり、れいぞうこに宝くじやストッキングを入れたり、れいぞうこは「子」がつくので女の子だったりしたのがおかしかったです。」

感想文というと、自分の意見や考えを書かなければならないと思いがちです。それよりも、本を紹介するブログやブックレビューを書くような感覚で、いろいろな角度から本をとらえてみる方が楽しく書けると思います。読書感想文を書く時間は、視点を変えて工夫すると、楽しいものに変えることもできます。そんな支援を今後も続けていきたいと思います。
Posted by 中塚史行 at 13:33 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
夏休み「読書感想文」とどう向き合うか?(1) [2015年06月22日(Mon)]
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子どもたちが楽しみにしている「夏休み」。
しかし、そこに立ちはだかるのが夏休みの宿題です……。
中でも「読書感想文」が一番の悩みの種です。

読書が苦手な子に限らず、好きな子でさえ「感想文は嫌い」と断言します。
この宿題と向き合うために、楽しい夏休みの時間が削られ、不毛な格闘を強いられる親子も多いと思います。NIREでは、少しでも楽しく取り組めるようにさまざまな工夫をしてきました。

読書感想文を楽しく進めるためには、まず「楽しい本」を選ばなければなりません。
「読んだけれど、つまらなかった」では、感想文は書けません(そういう感想文があっても良いと思いますが…)。普段から読書に慣れていないのに、ここぞとばかりに(!)読み切れない本を選ぶ子も少なくありません。
貴重な夏休みを有効活用するためにも、NIREでは2〜3日で読み切れる本をおススメしています。それ以上時間がかかると、話の筋や内容を思い出せなくなりますし、この程度ならば、親が少しずつ読み聞かせてあげることも可能ですよね。親子で一つの作品を共有し、感想や意見を出し合えれば、感想文を書くことへもスムーズに移行できます。

本の選定は、慣れないうちは、大人が、3冊くらいを提示して、その中から子どもに選んでもらいます。そんな小さな配慮だけでも、子どもは「自分で選んだ」という気持ちになります。

読書に楽しい思い出がないタイプの子には、「楽しかった!」と感じとれる本を紹介します。
まずは、とにかく笑える本が良いと思います。子どもは、ウンチやオシッコ、オナラの話しが大好きです(『まよなかのおならたいかい』中村翔子)。ドジやズッコケ、ギャグやイタズラも大好きです(『れいぞうこのなつやすみ』村上しいこ)。異次元、非日常の世界は、読書の世界でしか体験できません。このヘンテコな世界は、きっと大人もハマりますよ。

読書など絶対にイヤ!勉強なんて絶対にイヤ!という強者(?)には、まさにその気持ちそのままを読書感想文にぶつけてみたらどうでしょうか? 『しゅくだい、なくします』(後藤竜二)を読み、勉強や宿題についての恨みつらみをまとめると、原稿用紙2枚なんてすぐにいっぱいになるかも?!

読書感想文の攻略その1は、「楽しい本選び」からスタートです。
(つづく)




Posted by 中塚史行 at 20:47 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
漢字を繰り返し書くことは大切なのか? [2014年06月25日(Wed)]
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「今日僕は心が重いんだ…。漢字テストで0点だったから…」

NIREの教室に来た小5の男の子は、席に着くなり私に話しかけてきました。

書くことに困難を持つ子どもたちにとって、毎日の授業や宿題は想像以上の負荷となっています。この男の子の場合も、毎日大量の漢字の書き取りをさせる宿題が出されています。書くことに負担がない子にとっては簡単な宿題かもしれませんが、彼の場合はこの漢字の宿題をやり終えるのに1時間以上費やしています。とにかく書くことに必死で、漢字を覚えるヒマはなく、毎日毎日これだけ漢字を書いているにもかかわらず、テストでは1点も取れないという残念な結果が繰り返されています。

「漢字は、とにかく書いて覚える」ということは、多くの人が疑いなく効果があると信じている学習方法だと思います。たしかに、同じことを繰り返し練習することで体得することも多いと思います。一流のスポーツ選手を見ていると、誰しも地道に練習を積み重ねていることがわかるので、それをそのまま勉強にあてはめて、子どもたちにハッパをかけることも多く見かけます。

しかし、同じ練習法をおこなっても、異なる結果になっていることに注目している人は少ないような気がします。よくよく考えてみればわかることですが、アプローチが同じでも結果に差が出るということは、日常的に当たり前のことです。例えは悪いのですが、かくいう私も語学学習について、「これでペラペラになる!」と宣伝されている教材に飛びつき、お蔵入りした経験が多数あります。

人は失敗を繰り返すと「学習性無力感」に陥り、「できることさえやらなくなる」という心の働きがあるというのは、心理学で古くから指摘されています。

画一的な指導方法ではなく、一人ひとりの特性に合わせた学習指導をおこなっていくことは、子どもたちの「学ぶ権利」として国際的には常識となってきています。先日、日本でも批准された「障害者の権利に関する条約」でも、教育において「個人において必要とされる合理的配慮が提供されること」とされ、文科省でもその具体化が検討されています。文科省が出した「合理的配慮の観点(案)」では、「漢字練習や英語学習において、単純な繰り返し練習が効果を上げない」とはっきり明記されました。

漢字を覚えるためには、「繰り返し書かせる」という方法以外に、さまざまなアイデアや工夫があります。「こんなやり方もある」「あんな方法もある」という試行錯誤の中で、自分なりの学習方法を見つけていくのも大事な教育活動です。

それにしても、「繰り返し漢字を書かせても、学習効果はない。むしろ学習意欲を阻害する」と繰り返し指摘・警告しても、やはり「繰り返し学習」がなくならないのはなぜなんでしょう?
私たち自身も、多くのオトナたちにわかってもらえるように、伝え方のアプローチを見直さなければなりませんね。

(参考)文部科学省 学校における「合理的配慮」の観点(案)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1314384.htm
Posted by 中塚史行 at 17:51 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
子どもたちのサインを見逃さない [2014年06月10日(Tue)]
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5月、6月は一年の中でも相談の多いシーズンとなります。
その要因はいくつかありますが、まずは人間関係。新学期がスタートし、クラスの人間関係もだいたい固定化することで、その流れに乗り切れなかった子たちが、一人ぼっちに耐えきれずに、学校への行きしぶりなどを始めます。高校生では、クラスや部活になじめず、「こんなはずじゃなかった」と中退するかどうか悩む時期ともなります。

その次に多い相談が勉強の悩み。だんだんと授業が進み、勉強も遅れがちになってくると、「このままついていけるのか?」と不安になってきます。中間テストや学力テストもあるので、結果を見てガックリする家庭も少なくありません。

こうした不安や心配を、子どもたちはなかなかオモテに出そうとしません。「相談するのが恥ずかしい」「自分が悪い・自分の問題」「もっとがんばらなくちゃ」「どうせわかってくれない」「怒られる・反対される」などなど、いろんな理由で抱え込むことが多く、学校や家庭では子どもたちの心のサインを見落としがちです。

NIREでは授業やイベントで、さまざまなアンテナを張りめぐらし、子どもたちの心のサインを読み取り、なんでもオープンに話し合えることを大切にしています。

それでも子どもたちの心のサインを読み取ることは、とても難しいことです。
「いつもあんなに元気いっぱいだったのに急に無口になった」
これは比較的わかりやすいサインですが、「これまで静かだった子が急に活発になる」パターンもあるので注意が必要です。いつも以上に多弁になったり、テンションが高い場合は、「何かあったのかな?」と考えます。服装や髪型が急に変わるというのもわかりやすい変化ですが、メールアドレスが変わることは、人間関係の変化とも連動している場合もあるので、注意してみるポイントとなります。

人は、人との関わりでしか成長できないので、失敗やつまずき、悩みや不安はつきものです。そして、こうした経験が人間を豊かに成長させる源となりますが、悩みやトラブルの解決には他者の存在が不可欠で、私たちはそんな一員になれたらいいなと思っています。

いつも「勉強なんていやだぁ〜」と逃げ回っていた男の子が、ある日突然教室に入るなり黙って宿題を始めました。「やっと勉強する気になったか」「成長したなぁ」と最初は思っていたのですが、鬼気迫る表情で黙々と勉強する姿に違和感を持ったので、ペンを置かせて「どうしたの?」と声をかけました。すると、眼に涙をいっぱい貯めて「ちゃんと勉強しないと、他の塾へ行かさせる!とお母さんに怒られた」と言うではありませんか……。親にしてみれば、いつまでたっても勉強と向き合わず、安くない月謝を払い続けることにシビレを切らせ、少し脅かすつもりで言ったのかもしれません。でも、子どもは言葉通りに受け止めて大きなショックを受けてしまったようです(私もショックでした……)。
この事件?をきっかけに、この男の子とじっくり話し合いをしました。「本当は勉強ができるようになりたい」「でも、できない自分を見せるのは恥ずかしい」「同級生にバカにされたことが悔しかった」「このまま勉強できないと、どんな大人になってしまうのか不安」などなど、一つひとつ丁寧に聞き取り、一緒に解決策を考えました。

子どもたちは、いろいろな壁にぶつかり、行きつ戻りつ成長します。そんな不器用でジグザグな道のりに、お節介でも寄り添うオトナがいてもいいのかなと思っています。そこから私たちが学ぶことも多くありますし、遠回りに見えて、実は近道だったこともあります。そんな「寄り道」を、私たちは子どもたちと一緒に楽しみたいと思います。

(参考)「学校における子供の心のケアーサインを見逃さないためにー(文科省2014年3月)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1347830.htm
Posted by 中塚史行 at 15:37 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
スモールステップとしての「個別学習支援」 [2014年05月02日(Fri)]
NIREがおこなっている支援の中で、とっても大きな位置を占めているのが「個別学習支援」です。NIREにやってくる子どもたちのほとんどは、学習のつまずきを持っています。保護者もそのことが心配で、NIREに来る前に個別指導の塾や家庭教師について検討した方が多いです。学校の先生も「一斉授業ではついていけないから、個別に勉強を丁寧に教えてもらえるところ」をオススメしたりしています。

ただ、学ぶことは一対一でしかできないとは、考えていません。多様な考え方や、いろんな個性の中でもまれてこそ、豊かな成長を保証できると考えています。

NIREでの個別学習支援は、あくまでスモールステップの一つです。

NIREが個別の学習支援をおこなっているのは、単に「効率よく勉強を教えることができるから」ということではありません。その子の持つ個性をもっとよく知りたい、信頼関係を作りたいという願いから、個別の時間を大切にしています。

NIREの場合は、早い子で半年、長い子だと数年かけて、個別から集団へ移行していきます。そのタイミングや判断は、慎重に検討されますが、そういう見通しを指導計画にも盛り込んでいます。
得意な科目はクラスで受けて、苦手な科目は個別にサポートを受けている子もいます。
人間関係が苦手な子も多いですが、NIREではまずいろんな教員との関係を広げていき、少しずつ輪を広げていくことにも取り組んでいます。

NIREでは、一人ひとりがバラバラなのではなく、仲間としてつながることを大切にしています。

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Posted by 中塚史行 at 16:15 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
子どもたちは、こんなことが「できません」 [2014年04月07日(Mon)]
新学期がスタートしましたが、子どもたちが新しい環境に慣れるまで、私たちもドキドキの毎日です。さっそく「悪口を言う子と同じクラスになった……サイアク!!」「新しい先生の名前は……忘れたぁ〜」などなど、子どもたちは元気よく(笑)報告してくれるのですが、聞いている私たちも内心「大丈夫かな?」と心配することが多いのが正直なところです。
ましてや親にとっては、自分の子どもが授業についていけるのか、友だちはできるのか、本当にヒヤヒヤすることが多いと思います。

実際のところ、学校では「どこまでやらなきゃいけないのか?」「どこまでできなきゃいけないのか?」ということが、なんとなくわかるようで、わからないので、子どもに無理難題を押し付けがちですよね。あせっても仕方がないとは思いつつ、ついつい「なんでこんなこともできないの!」と言ってしまうこともあると思います。

ある小学校では、次のようなプリントが新一年生に配られました。とってもやさしい目線で、子どもたちの成長を見守っているなと思い、みなさんに紹介したいともいます。

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一年生の心と体〜こんなことができません〜
・自分の持ち物を覚えていない ・45分間静かにしていられない
・まっすぐ走れない ・正しいえんぴつの持ち方ができない
・はさみがうまく使えない ・ぞうきんを絞れない
・服を脱いだあとたためない ・ひもを結べない などなど……
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こんなことが「できません」とあらかじめ知っていると、こっちも焦らずにすみますよね。
子どもの成長や発達を考えるとき、一定の目安はありながらも、何をいつまでに「できなくてはいけない」ということはありません。「できなきゃいけない」「できてあたりまえ」と思うと、どうしてもまわりと比べて「遅れている」と思ってしまいます。

子どもにとって「できないことがある」ということは、これから先にいろんな「可能性がある」ということだと思います。これからもあせらず、じっくり子どもたちの成長をサポートしていきたいと思います。

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Posted by 中塚史行 at 20:24 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
不器用だったり、遠まわりするからこそ見える世界 [2014年04月01日(Tue)]
これまでNIREからの情報発信は、ホームページとFacebookが中心でしたが、今年度からブログもスタートさせたいと思っています。よろしくお願いします。

さて、2005年5月に設立された教育サポートセンターNIREですが、立ち上げのきっかけとなったのは一人の男の子(当時小学校5年生)との出会いでした。

算数LDとして教室にやってきたのですが、当時の私はLDについて知識も経験もまったくなく、単に算数が苦手で、勉強ぎらいなんだろうなというくらいにしか考えていませんでした。

最初の授業のとき、簡単な算数の計算プリントを用意していたのですが、それを出した途端に彼はプリントをグチャグチャに丸めてしまいました。あまりのことで私は頭が真っ白になり、結局彼には何も勉強させることができないまま(たしか、大好きなポケモンの話しを延々と聞いてあげていたような……)授業が終わりました。

ふがいない授業だったので、「もう二度ときてくれないだろうな……」と思っていましたが、「本人はあそこなら通ってもいいと言っています。来週もお願いします」と母親から連絡がありびっくり!! とにかく何か準備しないといけないということで、そこからLDについて猛勉強をはじめ、すぐにその何とも言えない魅力(と言っては語弊があるかもしれませんが……)に取り憑かれ、今に至っています。

「発達障害」というと、どこか人より劣っていて、支援なしには自立できないと思われがちです。
しかし、NIREを立ち上げてからというもの、かれらから気づかされること、かれらから学ぶことがたくさんあり、かれらのことを知れば知るほど、かれらの存在なしには私たちの社会は成り立たないのだと強く考えるようになりました。

NIREの立ち上げのきっかけとなった少年は、その後もすったもんだはありながらも、今では立派な大学生となり、福祉の現場で働く準備をしています。

少し不器用だったり、遠まわりするからこそ見える世界もあります。

そんなかれらに寄り添うサポートをNIREは続けていきたいと思います。
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Posted by 中塚史行 at 19:04 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)