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NPO法人 地域の未来・志援センター
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Wa コミュニティ

〜生ゴミ堆肥で地産地消の町づくり〜




1.Waコミュニティ訪問時.jpg


 岐阜県・池田町で、堆肥化された生ゴミの回収や、その堆肥を使った有機野菜作りなどに取り組んでいる「Wa コミュニティ」。NPO法人設立前は、牛乳パックの回収・リサイクルを行う「牛乳パックを集める会」として活動していました。トータルで約30年もの間、ゴミの減量を中心とする環境活動を続けてこられたその背景は−−−−。




  • どんな団体NPO法人・行政委託型

  • スタッフ数約20人

  • 活動エリア岐阜県揖斐郡池田町

  • 活動拠点岐阜県揖斐郡池田町

  • 年間予算約100万円


[2017年11月08日(Wed)]

始まりは「牛乳パック持参コンサート」


2.コンサートチラシ.jpg

 環境活動を始めたきっかけはコンサート、と言ったら不思議に思うでしょうか。「今から40年ほど前、『子どもたちに本物の音楽を聞かせたい』と有志が集まってコンサートを企画・開催したことが始まりでした」と話すのは、「Wa コミュニティ」代表の石井智恵子さん。「コンサートを何度か開くうちに『これだけではもったいないよね』『何かほかにもできることがあるのでは』と話し合うようになったんです」


 ちょうどそのころ、たまたまラジオを聞いていた石井さん。ラジオでは、牛乳パックの問題について話をしていました。牛乳パックは燃えにくい。山梨県大月市ではパックを紙すきハガキなどに再利用している−−−−。そんな話がきっかけとなって、「牛乳パック持参コンサート」を思いついたといいます。


 コンサートに来る人たちに牛乳パックを持ってくるよう呼びかけたところ、なんと3,000枚が集まったそうです。この成果に感動した石井さんたちは、本格的に牛乳パックの回収・リサイクル活動をスタートさせます。そして平成元年、「牛乳パックを集める会」が結成されたのでした。


※写真「開催したコンサートのチラシとパンフレット」





生ゴミ肥料化の方法を求め、沖縄へ


 その後、牛乳パックに限らず、NO!レジ袋やエコ商品購入運動、エコライフ講座開催など環境保全活動・普及啓発活動を展開してきた石井さんたちでしたが、15年ほど経ったころ、前町長から「生ゴミをやってみないか」と声を掛けられます。「当時、生ゴミを処理するのに費用が2億円もかかっていました。費用だけでなく、燃やすときに硫黄酸化物が出るなどの問題もあって、生ゴミ自体をなんとか減らせないかということでした」


 このときも、偶然の出合いがありました。今回は、ラジオではなく本。「EM(有用微生物群)で生ゴミを堆肥化するという内容でした。『これは使える!特別な人でなくでもできそうだ』と思い、すぐに著者である比嘉照夫先生(琉球大学名誉教授)に連絡をとり、仲間5人で沖縄まで会いに行ったんですよ」


 「直接、堆肥化の方法を教えていただいたんですが、本に書いてあった通り簡単でした」。早速、生ゴミ問題に取り組もうと、「牛乳パックを集める会」を母体にNPO法人「Wa コミュニティ」を立ち上げます。沖縄へ飛んだのが平成16年8月、法人設立が同年10月といいますから、石井さんたちの行動力には驚かされるばかりです。





資源循環型社会・地域づくりに注力


4.園児とともに収穫祭.jpg

 「Wa コミュニティ」の主な事業は、まず、EMで堆肥化された生ゴミの回収と有機野菜作り。現在は年48回、町内6保育園とモデル地区の各家庭から回収しています。そして、その堆肥を使いエコ農園で有機野菜(無化学肥料・無消毒)を作ります。野菜は玉ねぎ、じゃがいも、かぼちゃ、枝豆の4種類。保育園の園児たちと収穫し、その野菜を「おかえり野菜」と呼んでいるそうです。


 保育園では収穫した野菜でカレーなどを作り「Wa コミュニティ」のメンバーを招待、交流を図っています。「野菜の収穫は子どもたちにとって新鮮なことで、本当に喜んで採っていくんです。その笑顔が嬉しいですね」(メンバーの藤本奈巳さん)。「とにかく野菜の味がすごくいい。それに、やっぱり自分で採ったものは愛おしいと感じるのではないでしょうか」(石井さん)


 野菜は保育園のほか、施設などにも寄付しているとか。堆肥化された生ゴミを回収→堆肥を利用して有機野菜作り→収穫した野菜を町内各所に寄付→野菜などから出た生ゴミを堆肥化、と生ゴミ=資源が上手く循環しており、石井さんは「資源循環型社会、地域づくりにますます力を入れていきたい」と話します。


※写真「収穫祭で玉ねぎを収穫する園児たち」





「結果を出す」ことで人はついてくる


3.生ごみ減量容器(ぼかし容器)洗い.jpg

 生ゴミを堆肥化するにはEMぼかし(有機肥料)が必要ですが、石井さんたちはこのEMぼかしも作っており、JAにおいて1kg300円で販売しています。「ひと月に2万円ほど赤字になることもありますが、『皆に使ってもらえれば(それでもいい)』という気持ちでやっています。少しでも多くの人たちに、環境に関心を持ってほしいです」


 「多くの人たちに関心を持ってほしい。広めたい」との思いは環境教育事業へ。EMぼかしの作り方や牛乳パックなどを使ったリサイクル品の作り方を教えたり、エコ農園で収穫した野菜を使った「料理教室」開いたりするなど「環境出前講座」を年50回ほど行っています。


 石井さんたちの活動によって、法人設立から2年で生ゴミを188t減らすことができ、その後も削減は進捗。「こうした活動は、はっきり結果を出さないと人がついてこないし、続けることも難しいですよね」。結果を出す−−−−これが、長く活動を続けてこられた一因となっているのは確かでしょう。


※写真「冬は冷たい水で生ごみ減量容器(ぼかし容器)洗い」





おいしく健康な野菜を食べて、心身ともに元気に


 活動をしながら考えるのは、やはり子どもたちのこと。笑顔で野菜を口にする園児たちを見て「本当においしいもの、健康なものを食べていれば体が違ってくるし、心も育つと思うんです」(メンバーの阿部恵美さん)。石井さんも「自分たちで収穫したものを食べることもそうですが、野菜などを作っている人たちとの出会いもある。いろいろな思いや出会いがあるんです。そんな中で『心育て』ができればいいなと。心が育てば、人間関係もきっと上手くいくでしょう」と声をそろえます。


 とはいえ、次世代への引き継ぎの課題も。「生ゴミを扱うこともあって、なかなか難しいのですが……。まずは理解してもらうことが大事だと考え、いま、各自の思いをまとめた冊子を作ろうかと思案しているところです」と石井さん。「Wa コミュニティ」の名前の由来は「みんなが和やかに みんな環(わ)になって 実践していこう」だそうですが、その通り、まさにさまざま実践中。「いまの活動を生きている限りは続けたい」という石井さんの言葉に、皆うなずくのでした。





「Wa コミュニティ」の主な活動



  1. 1.EM処理生ゴミ回収

  2. 2.エコ農園での有機野菜作り。園児とともに収穫祭

  3. 3.町広報で毎月PR(「今月のWa コミュニティ」コーナー)

  4. 4.環境教育事業(環境出前講座)            など






代表・石井さんより一言!



5.石井さん 阿部さん 藤本さん.jpg

  緑の地球を子どもたちへ、ゴミを資源に!!と英断。台所から集めよう牛乳パックを!!を合言葉に、発会式の会長さん方の意気が、三十年を支えてくださいました。
 三十年で回収したパックは三百トン余。二十年〜三十年の立木、六千本の森を救いました。平成五年、皆で霞間ヶ渓櫻橋右岸に植樹した「江戸彼岸櫻」は毎春をピンクの帯で池田山を彩って見事であります。(梅、桜、二百本寄付)平成十年からは、小中学生環境ポスター・標語展開催(累計四千名余が出展、出展者全員に参加賞)。
 平成十六年発足のNPO法人Waコミュニティは、保育園の給食生ゴミを回収、エコ農園でEM肥料化。本年も十三年間、無化学肥料、除草剤ゼロのEM有機野菜を保育園に寄付。「エコ農園で玉ねぎ引き、ブキッと鳴るんだよ。お帰り野菜、カレー美味しいよ!!」
 パパと散歩の園児がエコ農園を指して得意そうでした。
ありがとう、すべてにありがとう。  感謝
         石井智恵子  松岡雅子  角田君子  五十川藜子


―死ぬまでー は出来ませんので
 増加一途の生ゴミを「EMボカシで楽しんで減らす方法はある」と始めた会です。とは云え、園長先生や保母さん方の御協力があっての事ですが、お帰り野菜の本物の美味しさや、土の中の玉ねぎを引き抜く痛快さを、グキッという音まで聴いて、感じ取ってくれました。世の中いろいろです。当方の活動に興味を持ってくださる方が、出てくださると信じています。
11月8日 石井智恵子


 (左 石井さん、中央 阿部さん、右 藤本さん)


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