ぎふいび生活楽校
地域の思いに応えて廃校となった小学校を活用![]() 昭和40年前後の第一次ベビーブームに生まれたぎふいび生活楽校の小林理事長は、東京で35年間仕事をして子育ても終了し、老後の自分の居場所について改めて考えました。その結果、生まれ育った揖斐にUターンすることに決めます。ちょうどそのころ、明治から約130年続いた揖斐の横蔵小学校が少子化の影響で2002年に廃校に。地元の方々にとって小学校とは勉学の場だけではなく、運動会や学芸会など楽しい思い出の詰まった存在。そんな横蔵小学校が廃校になったことは、地域の方々の心に空洞ができたようで、それは小林さんも同じでした。そこで、小林さんは廃校になった小学校を“ぎふいび生活楽校”として活用することを思い立ちます。学校としては廃校になりましたが、地域の方の「小学校を有効活用して欲しい」という思いに応え、設立されたものでした。 生活体験から生きる力を![]() 廃校になった横蔵小学校は岐阜県揖斐川町にあり、今では改装されラーニングアーバー横蔵・樹庵という宿泊施設に。そこを活動拠点とすることで、ぎふいび生活楽校は食う・寝る・遊ぶのサポートを実現しています。 「義務教育は基本中の基本だけを教えるものであり、教室の外での学びこそが生きる知恵」と小林さん。「昔は子どもたちはみんな外で遊んだ。ガキ大将は勉強の成績は悪いけれど社会経験は多く、一生懸命にものごとに取り組むことができる」。しかし、時代とともに子どもたちの暮らしは変化し今では「一人で遊ぶ子が増え、学外で遊ぶ姿をみるのも少なくなった」。そして、「生活の体験をせずに生きてきている子供たちが増えた」と言います。このような現状に疑問を抱き、“豊かな自然の中での生活体験を通して、生きる力を身につけてほしい”そんな思いでぎふいび生活楽校は設立されました。 また、生きる力は人とのつながりの中で学ぶものであり「ものを作ったり何かに失敗したりする経験から学ぶ」そして「それが自立へとつながる」と小林さんは言います。生活の中での失敗体験や人との関わりから生きる知恵を学び、力強く生きてほしいという強い思いを感じました。また、「自然に囲まれた環境にあるからこそ騒音の苦情もなく、やりたいことを思いっきりやれる」と言います。利用者の中には部活動の練習合宿などもあるそうで、口コミが集客につながっているそうです。 活動事例![]() そんな“生きる力を身につけてほしい”という思いで続けてきたぎふいび生活楽校では、宿泊の目的を聞き、時季や学校周辺の資源と要望を考慮したプログラムを提案します。そして、目的意識をもって宿泊してもらいます。事業は子ども〜大学生対象が特に多いそうです。大学生は、ゼミ活動の一貫として利用することがあるといいます。ゼミの研修合宿として来校した際には、草木染体験や川遊び・木工体験など都会ではできない体験をし、揖斐の自然を満喫。以前にはアメリカ人の日本語を学びたい子ども10人と日本人の英語を学びたい子ども10人が一緒に数日暮らすという事業も行いました。そこでも子どもたちは、さまざまな体験を通して一緒に遊ぶ中で、子どもたち自身で自然と言語を学んでいきました。机上での語学学習ではなく、人と人との付き合いとして実際のコミュニケーションの失敗や楽しさから学ぶことは、まさに生きる力となっています。 「ぎふいび生活楽校」の主な活動
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