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NPO法人 地域の未来・志援センター
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山菜の里いび

〜古(いにしえ)から学び 地域に「豊かな暮らし」を〜




1.作業場.jpg

 深い薬草の香り立ちこめる作業場で、茹であげたヨモギから手作業で異物をより分ける地元の女性たち。慣れた手つきで地道な作業をするその表情には、揖斐川町の特産として評価され始めている安全・高品質なヨモギへの誇りと働く喜びが……

 豊かな暮らしとは何か?先人たちが残してくれた「自然とともに生きる知恵」を通して楽しみながら学びあう『里山暮らしの学校』を主催する、山菜の里いびの理事長・小寺春樹さんからお話を伺いました。




  • どんな団体NPO法人・事業型

  • 会員数23人

  • 活動エリア岐阜県揖斐川町周辺

  • 活動拠点岐阜県揖斐川町春日地区


[2016年06月30日(Thu)]

思考錯誤の山菜栽培



手入れ前の耕作放棄地

 小寺さんが『食』に疑問を持ち始めたのは、中国へ視察に行った時に食べ物の薬品臭さに驚いたことがきっかけでした。
 早期退職後、生まれ育った旧春日村の近くに移り住み、家族の食べるものは自分で作ろうと農薬を使わず野菜の栽培を始めました。一年ほど経ったころ、この地域の過疎を何とかできないかと思い始めます。そこでたくさんある耕作放棄地の活用を考えたといいます。折しも山菜ブームで、地域の外からも採りにくる人がいるほどだったことから山菜を育てようと思い立ったそうです。


 長野県へ山菜栽培の勉強に行き、タラ、ワラビなどの栽培をスタート。1年目はよく成長したものの、2年目にはシカに食べられ全滅してしまいました。というのもこの辺りは雪が2mほど積もる地域。獣害よけの柵も埋もれてしまい、芽を食べられてしまったのだそうです。
 それならシカやイノシシが食べないヨモギを栽培しようと、今度は奈良県へ勉強に行ったのが平成22年頃。それから栽培に思考錯誤を繰り返し、3年目からは地域の人にヨモギの摘み取りや加工作業でお小遣い(アルバイト代)を出せるまでになりました。今では「揖斐川よもぎ」はブランド化され、使いたいというお店が後を絶たないのだとか。




「揖斐川よもぎ」はいいことづくめ



草が刈り取られて薬草園に!

 ところでみなさん、国内で使われているヨモギの90%が中国産だって知っていますか?和菓子はもちろん、近年ではパンや洋菓子にも使われるヨモギ。なんと中国産のヨモギには緑色の色粉が使われていることもあるそうです!
 始めのうちは輸入ヨモギの3倍ほどする「揖斐川よもぎ」の値段を下げて欲しいと言われることもありました。ところが使ってみると、ゴミがたくさん入っていたり香りや風味の少ない中国産に比べて「揖斐川よもぎ」は1/4の使用量で済むことがわかりました。品質だけではなく安全性の面からも和菓子やパンなどを買いに来たお客さんに喜んでもらえていいことづくめです。


 現在山菜の里いびではトウキ、クロモジ、ドクダミ、イブキジャコウなど栽培する薬草も増え、石けんやお茶、入浴剤も作っています。春日太きゅうり、沢あざみ、美束菜(みつかな)、春日豆も栽培。薬草とあわせて「春日野五菜」と呼ぶそうです。




雪深い中山間地域の暮らしの知恵



 小寺さんが生まれ育った春日地区は中山間地域。中山間地ならではの自然と共に生きる暮らしの知恵がありました。


 たとえば、昔この辺りでは炭焼きが盛んでした。時期になると春日の人たちは近隣地域やさらにその奥にまで出かけていって、木を伐り炭焼きをしていたそうです。炭焼きの原料となる広葉樹の森はこうして人間が手を入れることで豊かに保たれていました。


 冬になると雪が降り積もるこの地域。昔は道が悪くて外との交通が遮断されてしまいました。そのためこの地域にある材料を使って何でも自分たちで作りました。小寺さんも子どもの頃、その様子を見て育ったそうです。薬草文化もこうした地域の特性から育まれた知恵だといいます。
 また春日地区はお茶の産地。昔からお茶畑は農薬を使わず、「草肥料」と言って刈った下草を肥料として使っています。昔は「草刈り場」があり地域の人たちで管理していたそうです。これも地域の中の資源を活用する知恵だったのでしょう。




楽しみながら文化と生きる知恵を学ぶ



子どもから大人まで「とち餅づくり」

 こうしたこの地域にある「自然とともに生きる暮らしの知恵」を楽しみながら学べるのが『里山暮らしの学校』です。特に人気があるのは「うち味噌づくり体験」。蒸した大豆を潰すのも手作業!木臼と木の棒でつきます。作った味噌は持って帰って7カ月〜1年くらい熟成させるそうです。リピーターで予約が埋まってしまうほどの人気なのだとか。ほかにはとちの実から作る「とち餅づくり体験」も!お話を聞いているだけで楽しそうです。
 以前開催していたのは、山に入って食べることのできるものを知る―山菜や野草の収穫体験や、間伐体験と間伐材を使ったスプーンづくりなど。こうした山での体験は地元の学校が「木育」として授業で引き継いでいるそうです。
 先人たちが残してくれた自然とともに生きる知恵から「豊かな暮らしとは何か?」を楽しみながら見つめ直す―『里山暮らしの学校』は奥が深そうです。




薬草づくりで地域づくり



ヨモギはお茶や入浴剤にも加工

 薬草には製薬会社やお茶の会社などから需要がありますが、最近では、日本古来の伝統・先人の知恵を見直す機運などから、こうした企業からの引き合いも増えています。
 人気の薬草と「揖斐川よもぎ」ですが、収支としては、今年、やっとトントンになったくらいだそうです。以前は受け入れができる基盤ができていなかったことから、小寺さんの下で学びたいという若い人がいても断っていたのだとか。
 「畑の管理ができるようになれば、さらにヨモギ畑を広げることができます。そこから雇用を生み出し、いずれは若い人が移住できるようになれば。」と小寺さん。


 戦国時代、織田信長が伊吹山に薬草園を開かせたそうです。そこで小寺さんは「長浜、米原、関ヶ原など伊吹山周辺に薬草づくりを広めたい」と考えているのだとか。
 また、昔京都や奈良で使われていた「もろかの和紙」の生産地は春日のお隣、坂内地区でした。紙の原料であるコウゾの産地滋賀県から商人が伊吹山を越えてコウゾを売りにきて、帰りには和紙を買って各地に売りにいきました。ここにも切っても切れない伊吹山周辺地域の歴史があります。
 薬草づくりから伊吹山麓地域のつながりが強まり、地域に「豊かな暮らし」が育まれていく… 山を中心とした地域づくりの今後が楽しみです。




「山菜の里いび」の主な活動



  1. 1.耕作放棄地ボランティア活動

  2. 2.『里山暮らしの学校』開催

  3. 3.『揖斐川よもぎ』のブランド化


→団体HPへ




理事長・小寺さんより一言!




 過疎化が進む中、耕作放棄地の問題は深刻の度を増しています。私がこの活動を始めた動機は、その対策として「地域に雇用の場を創りたい!」という思いから。大変難しいことではありますが、ヨモギの栽培・販売事業で、地域の高齢者の方々にお小遣い稼ぎをしてもらえるようになりました。そのお小遣いで友人同士食事に行ったり、仕事そのものが生きがいづくりになったりと、地域を元気にする手ごたえを得ています。この調子でよもぎ等の生産量を増やし、若者の雇用につなげるのが当面の目標です!