鈴鹿市の市民活動を支援
NPO法人市民ネットワークすずかのぶどうは、鈴鹿市で地域の市民活動の支援を行う2000年に設立されたNPO法人です(法人化は04年)。
具体的な活動内容は、鈴鹿市が開設したサイト「すずか市民活動情報広場」の管理運営や、行政・企業・団体との協働推進を目的とした交流会や講座等の開催、「情報雑貨店」と称した情報受発信及び事務局業務の代行支援、市民活動団体が行うイベントや商品販売スペースの提供などを行われています。
ショッピングセンターの中にあるNPO
今回、ヒアリングのため初めてすずかのぶどうの事務所を訪ねた我々ですが、まず驚いたのは、事務所が近鉄名古屋線白子駅前のショッピングセンター(SC)内、しかも婦人服や紳士服売り場に混在して構えられていたことでした。聞けば4年ほど前から、空きテナントになっていたスペースを借り受け、今ではSCオーナー企業と協働でおまつりを開催するまでの関係性を築かれていると言います。
郊外のロードサイド型ショッピングモールに顧客の多くを奪われる形になっている中心市街地のSCにとっては、イベントなどを定期的に行ってくれるNPOがあることでこれまで接点の少なかった顧客層とのつながりができ、NPOにとっては立地の良い場所でより多くの市民に活動を知ってもらうことが出来るという地方都市ならではの互恵関係の様に映りました。
「専門家でないからこそ見える風景
今回お話を伺ったのは副理事長の小アさん。モータースポーツの選手、トレーナーを経験し、現在はご自身で建設業を営む傍ら、昨年からすずかのぶどうの運営に中心的に関わられています。
関わる前の団体の印象について伺うと「何をしているのかよく分からない所だった」とのお答え。これはすずかのぶどうに限らず、多くのNPOや市民団体が一般市民から思われていることだと思います。「活動内容がよく伝えられないから関わってもらえない、関わる機会がないから賛同者・協力者も増えない」という課題は市民活動共通の課題と言っても過言ではありません。
この課題に対し、小アさんの理事就任後、市民活動団体、ボランティア、NPO、企業など、組織形態に拘らず互いに連携し合って地域づくりを進めていくべく、団体交流会や連携促進事業「鈴鹿リンク」の実施、また駅前のSC内という立地を活かして多くの市民向け啓発イベントを開催するなど、外部からの見通しの良い組織づくりに向けた取り組みを進められています。
目標は人が育つこと!
最後に小アさんに今後の目標を伺うと、「5年後までに『すずかのぶどうをこういう団体にしたいから○○させてくれ!』とスタッフに言わせること」だと教えてくれました。
我が我がになってしまいがちで、人材育成がなおざりにされることも多いNPOですが、いかんせん一人の人間ができることには限りがあります。組織の中心的存在がいなくなっても地域の課題に対応できるようになっておかなければミッションの達成はあり得ない、という基本的なことをその人材育成の姿勢から再認識させてもらった今回のNPO訪問でした。
市民ネットワークすずかのぶどうの主な活動
- 1.すずか市民活動情報広場(webサイト)の管理運営
(市からの委託事業)
- 2.行政・企業・団体との協働推進事業(講座、交流会の開催)
- 3.情報雑貨店
(市民活動情報の受発信、市民活動団体の事務局業務代行)
- 4.障がい者支援事業
- 5.団体支援事業「B-チャレンジ」運営管理
(イベント会場、販売スペース等の提供)
- 6.フェアトレード推進事業
→団体HPへ
副理事長・小アさんからひと言
これからの時代、地域のみんなが一緒になって地域の為に活動をしていかなければいけないのかなと思います。勿論企業行政さんとも一緒に。
その為には1度立ち止まり「何の為、誰の為」をしっかりと確認する必要があるのではないのかなと思います。自分たちの孫の孫の孫の時代に皆が幸せに暮らせたらいいなぁ・・・と想います。