新たな世代の中間支援組織
コミュネット江南は、愛知県江南市で市民活動の支援を行っている団体です。常設の拠点は無いものの、市民活動に関する相談対応や、情報の収集・発信、交流や協働を促すイベントを開催するなど、市民活動団体に関わる方ならなじみの深いNPOセンターのような役割を江南市において担っています。設立は平成26年、つまり去年できたばかりの若い団体です。市民活動の支援を目的とする中間支援組織や市民活動支援センターの多くが設立されたのがおよそ10〜15年前ですから、新しい世代の中間支援組織と呼べるのかもしれません。
議論と検討を重ねて
今回お話を伺った代表の齋藤さんは、コミュネット江南の活動のほか、犬山市の市民活動支援センターの管理・運営を行うNPO法人でも10年前から職員として働かれています。そこで身に付けた市民活動支援のノウハウやスキル、考え方を、現在の住まいのある江南市にも活かそうと平成20年に「江南市市民協働・市民活動推進協議会」の委員に就任したことからコミュネット江南の物語は始まります。
市内の市民活動団体関係者や社会福祉協議会(社協)関係者、市職員などと協議会を通じて議論・研修を重ねる中で、中間支援組織の必要性について徐々に理解が広がっていったと齋藤さんは言います。そうした中、団体を新設し、江南市60周年イベントの企画運営業務に応募してほしいとの打診が市からあったことなどから、それまでの議論や研修で検討したことや学んだことを実践するための団体として、コミュネット江南(旧称:江南の市民活動を支援する会)が設立されました。
上記協議会での検討開始から6年。「さんざん議論したので、もうそろそろ実践に移りたかった」と冗談交じりに言う齋藤さんですが、物事の進みは遅くとも、皆が納得するまで話し合いを重ねる合意形成手法をとれたからこそ、中間支援組織の必要性を共有できた面もあるようです。
「誰かがやるなら手伝うよ!」がいっぱい
設立初年度の平成26年度は中間支援組織についての勉強会を重ねるかたわら、行政からの受託事業であるフォーラムの開催や市発行の市民活動情報誌の作成支援、社協が主催する「ふくしまつり」に出展する市民活動団体のコーディネートなど、関係機関との連携事業が中心でしたが、コミュネット江南に改称した今年度(平成27年度)は、自主事業として団体同士の交流を促すイベントや市民活動団体への意識調査アンケートの実施などの計画を立て、独自事業の構築へ向け活動を進めます。
齋藤さんに江南市の特徴を聞くと、「『誰かがやるなら手伝うよ!』と言ってくれる人が多い」と教えてくれました。良い見方をすれば協力者を得やすい地域性、穿った見方をすればリーダーシップが発揮されない地域性とも考えられます。データとしても、江南市の10万人当たりのNPO法人数は19.2法人(平成27年7月1日時点)と、全国平均39.1法人(平成26年12月末時点)よりも約20法人も少ないのが実情です。
リスクを背負って立ち上がる人(≒市民活動を行う人)は全国的に見ても決して多数派ではないですが、協力者が得やすい地域性と、リスクを背負って立ち上がる人とをコミュネット江南が上手により合わせていくことで地域の課題が解決されていく…。そんな物語が今後江南市で紡がれていくことを期待せずにはいられない今回のNPO訪問でした。
コミュネット江南の主な活動
- 1.ボランティア・市民活動団体に関する相談受付
- 2.市民活動情報誌作成支援
- 3.交流会・セミナーの開催
- 4.市民活動団体の活動情報の「収集」「発信」「提供」
- 5.ボランティアや市民活動団体のネットワークの拡充
- 6.市民からの政策提案活動支援
→団体HPへ
代表の齋藤さんからひと言

江南市に移り住んでから、この町に縁あって来たのだから、家族のためにも、何か僕でお役に立てることはないかと、いろいろ関わったり取り組んだ結果、なんとか団体が立ち上がりました。市内のネットワークをより、深く広くし続けることが、この活動の原点と考え励んでいきたいと思っています。