いなべの里山を守る会
展望の良いフィールドも3年前は…
弱まった里山と人のつながり会を設立し現在代表を務める辻さんは、いなべ市の市民活動センターの職員としてもご活躍されています。以前は郵便局員だったという辻さんが市民活動と出会うのは、郵便局を退職後に児童福祉の団体に関わった事からでした。その団体のNPO法人化などに関わる中で、市民活動に詳しい人材として、市民活動センターの職員として招かれ、現在では自ら市民活動団体を主宰されるまでになっています。 そんな辻さんが会を設立するきっかけになったのは、地元の里山の荒廃ぶりに心を痛めたことだったと言います。小さな頃には、薪の調達地や畑として多くの人に利用されていた里山でしたが、ゴルフ場開発などを経て利用する人が減り、住民とのつながりが弱まってしまいました。その結果、今では山は入ってはいけない場所になってしまったことに辻さんの問題意識はありました。会の活動を通じて「山や川をきれいにしたい」という想いを持つ人を増やしていくことが、いなべの里山を守る会設立の目的となりました。 活動への参加のハードルは低く熱い想いを抱いて始めた会の活動ですが、設立時からメンバーの皆と約束していることがあると言います。それは「活動日の翌日に疲れて動けない、という事にならないような範囲で活動を行う」という事でした。 現在の会の活動は、雑木の伐採や草刈りが主ですが、作業は基本的に午前中に終えるようにされています。「お昼から仕事があっても働けるくらいの活動」と辻さんは言いますが、活動日に頑張りすぎて会員さんの日常の仕事に支障が出ることがあっては、継続的に取り組める活動にならないという事を見越しての工夫があるようです。 市民活動センターに勤めるなかで多くの市民活動団体の実例を知り、肩肘張らずにできる市民活動もあるのだという発見が、こうした活動スタイルにつながったと辻さんは言います。 二足のわらじを無理なく履く暮らし設立してから今までの数年は伸び放題だった草木の伐採・撤去が活動のメインでしたが、その甲斐あってフィールドは整備され、今では地域の企業に社会貢献や環境活動の場としてフィールドを提供する事業も実施されています。 1人では解決できない地域の課題も、解決のための活動を知ってくれる、参加してくれる人が増えることで解決に近づきます。地域に暮らすみんなが抱えるそれぞれの仕事に加え、もう一つ、地域の里山を守るという2つ目のシゴトを、無理なく暮らしの中に取り入れてもらえるような「気軽さ」を意識したいなべの里山を守る会の活動。決して歩みが速いわけではありませんが、着実に課題解決への道のりを進むその姿にはおおいに学ぶものがありました。 「いなべの里山を守る会」の主な活動
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