表浜ネットワーク
幅広い多彩な活動を、なんと二人で運営!![]() アカウミガメの産卵で知られる表浜海岸で海の生物や海浜の環境保全活動を行う表浜ネットワーク。1990年代から活動しており、ウミガメ保護の団体として有名なNPOです。 昨年秋、事務所がある豊橋市寺沢町を訪れました。素敵なアイボリーとグリーンの一戸建てのおうちに到着……それは、事務所を兼ねた代表と事務局長のご自宅で、お二人はデザイン事務所を経営されているそうです。お忙しい合間をぬって、学術会議への出席、企業等とのタイアッププロジェクト、海岸での地道な保護・調査活動、地元小学校への出前授業など多様で専門的な活動を、なんと田中さん御夫婦二人でほとんどこなしているとのこと。なんたるバイタリティ!と本当に驚きです。 広い砂浜、圧倒的に人手が足りない!![]() そもそも物理的な問題……全長57kmにわたる表浜海岸のうち、約10kmを調査フィールドとしているのですが、アカウミガメの産卵が始まるGW頃から子ガメの孵化が終わる10月末まで、毎朝、日の出(時には真夜中)から浜辺を歩き調査活動。昼間は仕事をこなし、毎晩遅くまで膨大な調査データの整理や入力作業……そんな日々の合間に、各種プロジェクトを実施しており、目の回るような忙しさです。刻一刻と海岸浸食や汚染が進み、生態系が崩れていくのを感じながら、圧倒的に人手が足りない状況だということです。 初代代表から引き継いだ渥美の海への思い![]() 田中さんたちは、実は山の国―岐阜のご出身。若い頃からサーフィンが大好きで、サーフィンのメッカである表浜に通いつめ、来るたび必ず浜辺で調査を行う初代代表・加藤さんと出会ったそうです。サーフィンをしながら、海が汚れていくのを肌身で感じていたことから、田中さんは“表浜の海を守りたい!”という加藤さんの熱意にひかれて活動を手伝うように。そして、とうとう表浜に移り住み、表浜ネットワークを担うことになったそうです。開発と環境保全、他所から来た人間が口を挟むのを良しとしない地元の方も多いのでは?との質問に、そうした意見はごく一部ですが、やはり、地域の自然を積極的に保全していこうとの動きは弱いそうです。早くから、渥美の自然の価値に気付いた田中さんたちにとっては、なんとももどかしい状況であるに違いありません。また、渥美半島は農業がさかんですが、他地域同様、高齢化や後継者不足は深刻になりつつあり、地域の活力、持続可能性の低下が懸念される状況です。 渥美の自然を守るつながりづくり![]() そうした中、新たな動き『地域ゆいプロジェクト』が動き始めています。狙いはズバリ「地域連携」。田中さんたちの呼びかけで、渥美半島のNPOや個人が協力して、地域とのつながりづくりをしていくのが目的です。自然の保全活動はもちろん、深刻化する防災・減災対策に対し、地域の人、移住者、サーファーなどの訪問者みんなが連携するための場づくりをしていくのです。つい先日、その拠点として『まるごと!おもてはま館』(http://www.omotehama.net/content/)がオープンしました! ![]() 常設として「ウミガメ博物館」があり、その他、皆がわいわい集うための石焼き窯やツリーハウス、BBQコーナー、海藻肥料をつかった里海畑も展開し、『里山』と『里浜』の両方が楽しめる贅沢な環境です。ここは、老若男女誰にも開かれた場として、これまでバラバラに活動してきた渥美の人や団体をつなぎ、地域の方たちとの親交を深めていこうという場なのです。 代表田中さんより一言![]() 表浜ネットワークは法人化から10年の節目を迎え、今、表浜海岸を後世に伝える冊子を制作しています。10年間種を蒔き続け、やっと芽が出て来たかなと感じる中で、冊子の制作と、おもてはま館、ゆいプロジェクトがスタート出来る事になりました。 ゆいプロジェクトは、「未来の子どもたちの為に、私たち大人たちが手を結ぶ」ことから名付けられています。これまでの活動を踏まえて、結いの心で表浜まるごと博物館を目指したいと思います。
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