パートナーシップ・サポートセンター
NPOと企業のパートナーシップを推進する「NPOと企業の協働」と聞いて、思い浮かぶことはありますか?「企業のCSR活動にNPOと共に取り組む」「企業の福利厚生にNPOの事業を利用する」「NPOの運営に従業員をプロボノとして送り込む」等々、想像する内容は各々異なってもNPO業界に関わったことのある方なら誰もが何となくイメージすることはできると思います。言ってみれば社会にありふれている普通のこと。でも、いつから協働が普通のことになったのでしょうか? 今回の訪問記は、協働が当たり前じゃなかった1998年からNPOと企業の協働をテーマに活動されているパートナーシップ・サポートセンター(以下PSC)を訪れ、代表理事の岸田さんにお話しを伺ってきました。 PSCは「NPOと企業のパートナーシップの推進」をミッションに活動する中部地域で最も早い時期から活動している中間支援組織の一つです。「パートナーシップ大賞」事業、「企業&NPO協働アイデアコンテスト」などのコラボレーション事業、地域の企業や人財とNPOとを結ぶコーディネート事業、企業のCSR活動支援などを行うコンサルティング事業等々、協働を推進するために幅広い事業を実施されておられ、130余の会員さんを抱える大御所NPOです。 個人の思いが社会の思いにPSCの目玉事業と言えるのが「パートナーシップ大賞」事業です。この事業はNPOと企業の優れたパートナーシップに基づく活動を表彰するもので、2002年に始まった事業です。構想自体は団体設立時から岸田さんの頭にあったそうですが、PSCが設立された1998年7月は、特定非営利活動促進法(NPO法)が施行される5ヶ月前で、NPOという存在自体が社会に認められていない時代。そんなNPOという存在自体が社会的に認知されていない状態の中では、NPOと企業の協働と言ってもその重要性を理解し、協力してくれる企業やNPOは少なく、機が熟すのを待つ必要がありました。とはいえ待っていれば勝手に機が熟すものではありません。PSC自ら企業との協働事業を実施し、その成果を日本NPO学会に報告したり、協働の評価法について研究したり、協働のニーズ調査などの事業を通じ、社会への啓発を行っていくことで、理解者や協力者を増やし、2002年に「NPOと企業の協働」をテーマにした表彰制度としては日本初となる「パートナーシップ大賞」の開催にこぎつけることができたのでした。 同事業は2014年4月の時点で計10回開催され、今では全国各地で類似の表彰制度を生んでいます。またそこで得られた成果から、協働をコーディネートする人材の養成や、普段企業との接点のないNPOが企業に対して協働の提案を行うことのできる場(企業&NPO 協働アイデアコンテスト)を創るなど、NPOと企業との協働を進める事業を展開しています。 「NPOと企業の協働を進めたい!」という、15年前にはPSCのメンバーしか持っていなかったかもしれない想いは、こうして見事に日本中に広がっていくことになりました。 「当たり前」をつくっていく岸田さんに今後の展望を伺うと、まだまだNPOと企業の協働が当たり前の社会にはなっていない、と前置きされた上で、「今後は協働を推進する取り組みの中心である『日本パートナーシップ大賞』を名実ともに全国にさらに広げていきたい」とおっしゃいました。 NPOが扱うテーマは時として、一般的なものではなく、周囲に理解してもらうことが困難なものであることがあります。ただ、それらを当たり前にしていく活動は、企業や行政と比べて先見性のある活動を行えるNPOにしかできないことなのかもしれません。NPOと企業の協働を「当たり前」にしていくPSCの現在進行形の歴史を目の当たりにして、そんなことを感じたのでした。 「パートナーシップ・サポートセンター」の多様な活動1.「パートナーシップ大賞」事業 代表岸田さんより一言![]() 「パートナーシップ・サポートセンターを立ち上げて20年を超え、収集したNPOと企業のパートナーシップの事例は300を超えましたが、まだまだこれからが本番!地方へ、中小へ、次代へ、引き継がれていくべき課題はいっぱいです。心ある若者の参加を期待しています!」 |