笑顔あふれる森の中

岐阜県可児市内にある花フェスタ記念公園のすぐそばに、里山クラブ可児のフィールド「我田の森(わがたのもり)」はありました。お尋ねした日はちょうど活動日で、我々が訪問した10時頃には、20名ほどの会員さんたちが、木を拾い集めたり、ビオトープをつくるために側溝を直したり、火を焚いたり。誰が指示するのでもなく、各々が里山というフィールドを思い思いに使って活動しているその姿は、まるで山で遊ぶ少年たちのようでした。
市民会議が活動の始まり

里山クラブ可児の活動が始まったのは2000年のこと。可児市環境市民会議によって策定された環境基本計画の実践の為に集まった5名の有志により設立されました。市民緑地として位置づけられたものの手入れが行き届いていなかった「我田の森」に対して、里山保全活動地として協定書を結び、平成13年から本格的に活動が始まります。
以降、山の保全活動はもちろん、公開講座の開催、森林資源を活用した商品の製作販売、近年は田んぼビオトープづくりや畑づくりなどもされています。また、大学との連携講座の開催や企業の社会貢献活動の受け入れを行うなど、その活動は各所から注目されるようになっています。
2013年には一連の活動実績と今後の展開の可能性を認められ、我田の森が岐阜県の環境保全モデル林に選定されました。
「自分のやりたいこと」だから妥協しない!

そうして周囲から注目されるようになった背景には、里山クラブ可児の活動が、市民団体活動とは思えない、妥協知らずの質の高い“しごと”にあることが関係しているのではないかと、感じざるを得ませんでした。何しろ、展望所、小屋、炭釜、田んぼビオトープ、畑…等々、そのどれもがプロ仕事のような出来栄えです。会員さんたちの現役時代の専門性によるところも大きいようですが、ワクワク感あふれる少年のような遊び心+大人のこだわりが、ハイレベルな“しごと”の大きな要因ではないかなと感じました。
我田の森の中を歩いてみると、山の斜面のいたるところに会員各々の持ち場を発見。会の発足から10年の歳月を経て、かつては荒れに荒れていた山林に、今では居心地の良い居場所がいくつもできています。そして、そのいずれもが、あたかも秘密基地のように魅力的!何とも羨ましい空間が我田の森には広がっているのです。
自分たちの夢がみんなの夢に

里山クラブ可児の活動の歴史は、自分たちの夢が叶っていく歴史と言っても良いものでした。会員さんが大きく増えたという2006年は、「放置された竹やぶをなんとかしたい」という想いから『山小屋下の竹やぶを花ともみじの山に変えよう』プロジェクトを企画し、ヒトモノカネの各分野で協力を募り、竹やぶを見事に切り開きました。
以降も「松茸の取れる山を再生したい」と赤松林の整備プロジェクトを実行したり、「生態系豊かな自然を後世に残したい」と田んぼビオトープづくりプロジェクトを開始したりと、一聴しただけでは夢のような企画を、それらに共感する人々を巻き込んで実現させてきたのです。
夢があるから共感を生み、共感があるから仲間ができる。そんなふうにして活動がひろがっていく様が、我田の森の美しいフィールドと、皆さんの若さあふれる笑顔にじかに触れて、ひしひしと伝わってきた今回の訪問でした。
「里山クラブ可児」の多様な活動
1.森林整備
2.炭焼き,創作活動(つる細工・竹細工など)
3.米づくり・野菜づくり
4.里山ダイニング
5.自然環境の保全
6.調査研究・広報
7.親子里山自然教室
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事務局長・佐藤さんより一言

私達の会員は皆里山が好きなのです。春は木々の芽が膨らみ、木々に花が咲き、草花が咲きます。
5月には新緑の緑が日々変化し、森の鳥の歌声が賑やかに始まり至福の時間に癒されます。
この様な自然環境で自分の好きな遊びを各々が満喫して居るのです。
自分たちの現役時代の時間と比べれば天国の時間の中なのです。
現役の皆さん、この森の中を一日散歩し、鳥の声を聴き、フィトンチットに心を癒されてはいかがでしょうか。どなたでも歓迎致します。