まさに、地域発! 地域の課題に取り組む地域住民によるNPO
揖斐川流域で約3,000人の地域住民が参加する毎年恒例行事「揖斐川流域クリーン大作戦」。20年以上の歴史を持つその活動を推進してきたNPO法人 いびがわミズみずエコステーション(通称:ミズエコ)の源流は、商工会青年部のメンバーだった中村さんたちが、地域の行く末を案じてまちづくり勉強会を始めたことだそうです。
こうした生い立ちからもわかるように、ミズエコは、“揖斐川流域住民が自分のふるさとを愛し、ずっと住み続けたい!”と思えるようにすることを目指しています。その団体名と、動員数が多い「揖斐川流域クリーン大作戦」が目立つため、「水」関連の環境団体のように思われがちですが、その本質は、循環型・持続可能な中山間地の暮らしを創造したいと願うまちづくりNPO。したがって、町民の意識改革のために環境教育をはじめとする実に多様な活動に取り組んでいるのです。
ミズエコを訪問して一番印象深かったのは、多様な活動をしながらも、それらが中途半端になっていないこと。一つひとつにとても粘り強く取り組んで、まさに“継続は力なり!”のお手本のような活動をされていると感服してしまいました。
“清流・揖斐川”を核に誇りを持てるふるさとづくり
ミズエコの活動モットーは、無理せず、焦らず、着実に。代表の中村さんは、市民活動のリーダーにありがちな押しの強さのない方で、その話しぶりには気負いのようなものがほとんどありません。しかし、話の端々から“ふるさとを誇りを持てる地域にしたい!”との強い思いが感じられ、そうした使命感からでしょう……清流揖斐川を取り戻すには、周辺流域との連携が必要だと感じた時点から(ちょうど、平成13年にNPO法人格を取得した時期と重なるそうです)、他地域の団体とのつながりづくりにも積極的に着手、今では揖斐川上中流域16団体による「いびNPO法人連絡協議会」、海津市などの下流域も含めた「西濃環境NPOネットワーク」を組織し、中間支援を行う活動の事務局も務めています。
ふるさとを良くしよう!との思いを同じくする団体とともに、揖斐川流域に暮らす人々の意識改革にまで踏み込んでいきたい……志は高く、活動は地に足つけて!
市民活動の王道ともいえる道を歩んでいるNPOだと感じました。
新しい動き
2010年から開催されている《アースデイ・いびがわ》は、ミズエコが事務局を務める「西濃環境NPOネットワーク」と「ぎふ・エコライフ推進プロジェクト」が運営主体です。
アースデイは、フェアトレードや地産地消をテーマにした食のイベントが多く、若者にも関心が高い催しです。若者の活動参加がうまく進まないNPOにとって、このアースデイは後継者発掘・育成にもつながる絶好の機会。他団体と連携しながらアースデイの事務局も務めるスタッフ・松浦さんにもお話を伺いました。
【事務局スタッフ 松浦真由美さんの話】
Q:揖斐川町出身ではないそうですね。ここへ来たきっかけは?
A:大阪の大学で国際協力論を学び、将来は発展途上国を支援するNGOで働きたいと思っていたんです。ところが、大学のフィールドワークでたまたま揖斐川町へ来て、一気に人生が変わりました(笑)。理事長の中村さんをはじめ、愛するふるさとのためにがんばっている皆さんにとても共感し、何の迷いもなく、単身こちらへ来て働くことを決めてしまいました。
Q:なぜ、そこまで思い切れたのですか?
A:私の故郷は奈良の山間地にある限界集落です。地域の問題として、揖斐川町と共通のものを抱えていますが、私の故郷には中村さんたちのような、自分たちでわがまちを活性化していこう!という人たちがいませんでした。ミズエコに関わる方たちと会い、単純に“すごい!自分も一緒にやりたい!”と思ったんです。
Q:将来について考えていることはありますか?
A:自分のふるさとには、過疎の問題に取り組もうという人はいなかった−それが嫌でふるさとを飛び出したけれど、ここの活動を知り、“経験を積んだら、いつか自分の故郷へ戻ろう!”との思いが芽生えてきました。
まだまだ勉強中、当分は揖斐川町での活動にがんばります。今度のアースデイ(2013年10月13日開催)では大好評の「お茶漬け選手権」など楽しい企画が盛りだくさんです。多くの人が楽しんでくれたらいいなと思っています。(2013年9月11日取材)
「いびがわミズみずエコステーション」の主な活動
1 揖斐川流域クリーン大作戦の開催
2 「環境の駅」(資源回収・リサイクルステーション)の運営
3 体験型環境講座「ミズみず彩生セミナー」の開催
4 走れエコパッカー車事業(子どもたちへの環境教育活動)
5 「ミズみずサロン」(地域住民の交流・自主事業の創出等が狙いの“場”づくり)企画・運営
6 NPO ネットワークの構築・中間支援(ネットワーク組織の事務局運営)
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