6月23日「遺伝子組換え問題の実情と日本」シンポジウムの報告 [2016年07月30日(Sat)]
NPO法人農都会議 食・農・環境グループは、6月23日(木)、「遺伝子組換えシリーズ・シンポジウム第2回 〜世界の遺伝子組換え問題の実情と日本」を開催しました。
→イベント案内 食・農・環境グループは、いま世界で、日本で、注目されているGMO(遺伝子組換え作物)について学ぶ「遺伝子組換えシリーズ・シンポジウム」に取組んでいますが、今回は、3月の第1回シンポジウムに続くものです。 会場の港区神明いきいきプラザに約50名の参加者が集まり、講演と質疑応答、議論が行われました。 |
第1部は、株式会社オルター・トレード・ジャパン政策室長の印鑰智哉(いんやくともや)氏により、「遺伝子組換え 農業をめぐる問題」のテーマで講演が行われました。
印鑰氏は、遺伝子組換えの状況、遺伝子組換えは貧困を解決できるか、遺伝子組換えと健康の問題、持続可能性などについて、資料を元に詳しくお話をされました。 講演の概要の一部をご紹介します。 ・遺伝子組換えは、世界では大きな騒ぎになっている。日本では、そういう状況が伝わっていない。 ・世界の遺伝子組換えがスタートしてちょうど20年経つが、現在の栽培国は、28ヶ国。上位5ヶ国で、90.8%と集中している。北米と南米が全体の87.2%を占める。遺伝子組換え栽培禁止国が増えている。メキシコは国としては遺伝子組換えトウモロコシを禁止しており、ユカタン半島では遺伝子組換え大豆も禁止している。 ・世界の農地で遺伝子組換え栽培面積は12%で、残りの88%では遺伝子組換えは耕作していない。 ・世界は大きく二つに分かれている― 米国の食の影響を受ける国々(北・南アメリカ、アジア、太平洋) 欧州は遺伝子組換えを拒絶しており、ロシアでは耕作は禁止、流通も排除の方向。 ・遺伝子組換えは長くは続かないと考えている。遺伝子組み換えない食生活は可能であり、国境を越えた連帯も行われている。 ・今は歴史的転換点。遺伝子組み換え作物の限界が見えて、世界が工業型農業からアグロエコロジーへの転換を求めている。 ・原発と遺伝子組換えは戦争が生み出した戦争技術と企業のための技術。その本質を世界の市民が気がつき始めた。気候変動も限界に近づいている。変えるなら今! 詳しくは、遺伝子組換えシリーズ・シンポジウム第2回報告をご覧ください。 第2部は、質疑応答と議論でした。 参加者から、TPPでのGM表示の問題や、なかなかマスメディアには取り上げてもらえないこと、ユーカリなどの遺伝子組換えのことなど、さまざまな質問に対し印鑰氏から回答があり、議論が行われました。 アンケートへ多数の回答をいただきましたが、事務の都合により、今回も掲載は見合わせます。詳細をお知りになりたい方は、事務局へメールでお尋ねをお願いします。 印鑰氏の分かり易く丁寧で濃密なお話に、納得された様子の参加者が多かったように思えます。今回も盛況なシンポジウムとなりました。遺伝子組換え食品については、まだまだ課題が多く残されていることから、引き続き多様な視点から考えてみたいと思います。 講師並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
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