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MI ジャーナル

―はたけと芸術を楽しみつつ、仮説を立てながらいろんな人と協働して問題解決を図り、子どもとともによりよい社会を目指していきたい、そんなことを考えている人のヒントになりたい―


キーワードは、農業(はたけ)・仮説実験授業・楽しさ・子ども劇場・芸術文化・冒険遊び場(プレイパーク)・チャイルドライン・協働などなど(ただし、私の中でつながっているだけで、それぞれに直接的な関係があるわけではありませんので、誤解のないようお願いします)


「MI ジャーナル」とは、Micro Intermideate Journal(マイクロ・インターミディエット・ジャーナル)。元のタイトル「農芸楽仮説変革子ども」は私の関心領域のキーワードをつないだだけだったので、2010年3月3日より、私の日々の情報発信という意味で、MI(村夏至)ジャーナルとしたのですが、2014年9月4日から、MIの意味を変えて、小さいながら何かのきっかけや何かと何かをつなぐ内容にしたいという意味の名称にしました(詳しくは、カテゴリー「21MIジャーナル」をご覧ください)。

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『奇跡の脳』

[2018年03月31日(Sat)]
『奇跡の脳』(ジル・ボルト・テイラー著、竹内薫訳、2009年(原著は2006年)、新潮文庫)

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知り合いから進められて手に取ってみた本で、とてもおススメです。

左脳と右脳は違う働きをすると言うのは聞いたことがあったりするものの、私は日ごろあまり意識することがなかったのですが、この本を読むとそのことをいやがうえにも考えさせられるというか、世界をどう認識するかとか、どう感じるか言うのも、脳の働きにとても左右されていると言うのがよくわかります。

最前線で活躍中の30代後半の脳科学者が、脳の血管の先天性の奇形のため、ある朝脳卒中に襲われてしまうことから話は始まります。脳の機能を知っている著者だからこそ、左脳の機能が失われて、運動機能や言語認識機能が失われていく様を克明に思い起こして記録してくれていて驚きです。

助けを呼ぶために電話をかけなければならないことはわかって、何とか名刺を探し出しても文字や数字が読めなくなっていたり、電話口で声を出そうと思っても頭の中では言葉が思いついても、実際にはなんとかうめき声が出るだけだったり。

右脳は、感覚器官から入ってきた情報を、感情と共に全体としてとらえ、その瞬間瞬間を自由に分け隔てなく感じ幸福感につながるのに対して、左脳は情報を時間ごとに整理し、予測したり計算したりし、細部の異差を分類し、自分と他者を明確に分けたりして、不安や怒りにつながりやすいようで、普通は、人それぞれにバランスをとって一つの人格を作っているのですが、左脳が優勢だった著者の場合、左脳の機能が漏れ出た血液によって失われて、激しい痛みがあると同時に、右脳が優勢になることによって、自他の区別がなくなり、世界を一体のものと感じられる幸福感に満たされたと書いています。

私もたまにですが、日常生活の中で世界との一体感というものを感じることがあります(それは、例えば野鳥観察をしているときとか)が、それって、右脳の活動が全開ってことなのでしょうか?

脳の仕組みなどについての科学的な分かりやすい解説や、脳卒中からの回復に向けてのおススメや役に立ったことについての箇条書きなどが巻末に書いてあって、実際に役に立つと共に、脳卒中で倒れた初期に、その外見上の無力さとは違って、内面ではいろいろと感じていて、看護する人がバカにしているか親身に接してくれているかがはっきり分かり、回復の助けになるかならないかの分かれ目にもなることも書いてあり、看護する立場の人にもとても参考になると思います

後半部分では、8年かけて著者が回復していく過程で、左脳と右脳のバランスを保っていくことの大切さを、具体的な方法と共に、繰り返し説明してくれているのですが、若干スピリチャル系に感じられるというか、なかなか人によってはそういう調整は書いてあるほど簡単ではないとも思えました(少なくとも、左脳と右脳の働きには違いがあって、どちらかに引っ張られすぎて極端な感情を持ってしまうことは、現実とは違うかもしれないと意識することは大切なんだろうとは思いますけど)。


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今年度最後の焚き火遊び180325

[2018年03月30日(Fri)]
12月から月1回ペースで知り合いの山を借りて行っている焚き火遊びも今期最後。

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春らしい温かい陽気でのんびり過ごすことができました。

メインイベントの筍(タケノコ)探しもとても順調で、最終的には7本くらい見つかりました。去年は1本しか見つからなかったのですが、今年は1、2月の冷え込みが強かった分、温かくなってきてからの成長が早いのだと思います。

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この時期は、まだ地上にほんのわずかにのぞいているだけで、全長20センチ程度なので、食べることのできる部分はわずかですけど、皮を少しむいてアルミホイルで包んで焚き火で焼くだけで、えぐみもほのかで、醤油をたらして食べると最高です。

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子どもたちは荷物用の結索紐を活用したスラックラインもどきや桜の木を利用したブランコで遊んだり、落とし穴を掘ったり、竹を切ったり、異学年で鬼ごっこに興じたり、思い思いに楽しんでいました。

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焚き火場に植えてある桜の古木も花が咲き始めていたので、お花見気分を少し味わうこともできました。


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27『マイマイ新子と千年の魔法』2018asoviva!CINEMAにて22

[2018年03月29日(Thu)]
『マイマイ新子と千年の魔法』
(監督・脚本:片渕須直、93分、2009年、日本アニメーション映画)

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2018年、映画鑑賞27作品目にして、劇場での鑑賞22作品目(体育館での上映でしたが、大きな場所で多くの人と観たという意味で、劇場ということで)。

山口県防府市出身で、数々の文学賞を受賞している高樹のぶ子さんの原作として、『この世界の片隅に』の監督、片渕須直さんが監督・脚本を手掛けた作品。

昭和30年代の山口県防府市の子どもの世界を描くアニメーションで、岩国弁とは微妙に違うものの、山口弁全開で繰り広げられて、とても親しみが持てる。

昔話や昔の人の知恵を教えてくれるおじいちゃんが大好きな主人公(新子ちゃん)と、友だち、そして都会からの転校生との交流が、子どもらしい想像力によって、千年前に同じ場所に繰り広げられていた世界との交感していく不思議な物語。

自分の子ども時代とは少し古い時代の話なのですが、でも、私の子ども時代に通じるものがたくさんあり、懐かしいとともに、当日会場には、親子連れがたくさんいて、こんな感じの上映会を子ども会でやってもらっていたなあという想いが重なり、なんだか感傷的になる作品でした。


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石井啓一郎ファミリーコンサート180324

[2018年03月28日(Wed)]
石井啓子さんゆかりの岩国にある古民家を改修した宏樹庵に数年前から本格的に住み始めた石井さん夫婦と、娘さんの陽子さんの3人で毎年開催しているコンサート。

有名な曲から、それほど知られていないけど素敵な曲や日本の曲のアレンジ曲など、プログラムに工夫があり、聴きごたえがあります。私は、生演奏でしかクラシック音楽を聴くことがほとんどないので、いつまでたっても素人なのですが、このコンサートは本当に素晴らしく、とてもおススメで、毎回もっと人を誘えばよかったと反省します。

今回は、私がかねてより希望していた石井啓子さんのピアノソロもあって、より満足度が高いもので、今後もプログラムに入れてほしいなあと思っています。

直前に、許可を取って、前半3曲目の3人で演奏する曲の時だけ写真を撮影させてもらいました(昨年購入したオリンパスのOM-D E-M1 MarkUには、シャッターの無音モードがあるので、客席の一番後ろからだと、あまり気をつかわずに撮影できるので助かる)。

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ピアノの譜めくりをしている女性、どこかで見かけた人だなあと思っていたら、3月初めに由宇文化会館で開催されたゆう音楽祭の第一部でピアノの演奏をしていた(音楽大学を卒業してこれからふるさとで活躍する予定の)松村和さんでした。

石井さん関係で書いておくと、これから5月の連休には、宏樹庵や昨年完成した純木造の展示スペース「幸明館」や近くの自治会館で行われるミュージックキャンプとその最後に行われる「散歩がてらのコンサート」。6月には、息子さんの宏二郎さんの絵画の展示会が行われる予定のようで楽しみです。


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The1st asoviva! CINEMA(アソビバシネマ) 一日かぎりの映画祭に行ってきた180324

[2018年03月27日(Tue)]
岩国出身で東京で働く友人が集まり、アーティストや地元の人と協力して、子どもたちの思い出に残る遊び場を作ろうと開催した映画祭に行ってみました。

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12時から19時くらいまでの行事で、私は当日2時からコンサート鑑賞の予定があったので、まずは下見がてら参加。元河内中学校のグラウンドにある食のブースを見て、ガラスを使った飾りや塗り絵カレンダーなどのワークショップ会場にもなっている上映会場となった河内小学校の講堂をぐるり。

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今回のイベントのメインビジュアルに使われた、ユイ・ステファニーさんの刺繍と水彩を使った作品を、ワークショップやアイフォンケースなどの販売ブースにいたステファニーさんに話を聞きながらじっくり見ることができました。

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岩国に最初に来て滞在したときの印象を形にしたもの。

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そして、今は岩国にかかわってきて2作品目に取り組んでいるとのこと。ステファニーさんに作品を持ってもらい、写真に撮らせてもらいました。立体感のある実物はなかなか見ごたえのあるもので、写真で伝えることはできません。まずは、今回のイベントに参加した目的の一つは達成。

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美味しそうなパンやこだわりのうどんなど食のブースも充実していました。私は、岩国地方卸売市場にお店を構える野菜のおいしい「野菜食堂mameka?」のお寿司などをいただきました。春らしい彩りでとてもおいしい。

一旦会場を抜けてコンサート鑑賞を終えて、5時前に再来訪。最後の長編アニメ『マイマイ新子と千年の魔法』の上映に何とか間に合いました(映画については別記事で)。

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手作りの旗に飾られた素敵な空間にはたくさんの親子連れが。

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上映終了後は、運動場に大小のキャンドルが飾られてしばし、余韻に浸ることができました。

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半月の月(キャンドルの明るさに合わせると、ただのぼやけた丸になってしまいます)と、その左下に輝くオリオン座がきれい。

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たくさんの人の想いや努力が詰まった素敵なイベントでした。


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543_ピーマンと長茄子(長ナス)の「人肌発芽」その後180324

[2018年03月26日(Mon)]
(自宅のインターネット環境が不調なため、ブログの更新が遅れがちになっています)

3月18日の夜にお腹で温め始めたピーマンと長茄子。

長茄子の一番早いのは、3月22日に芽(根?)が出始めたのですが、24日に長茄子が2粒、ピーマンが3粒芽がでてきたので、ポットに植えました。

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3月15日に「人肌発芽」を始めて、ポットに植えていたミニトマト アイコが地上に出てきました。

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簡易温室として使っている一つ目の衣装ケースは、じかに植えたものも含めて、ミニトマト、中玉トマト、ピーマン、長茄子のポットでいっぱいになってきました。


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「FAM’S(ファムズ)キッチンいわくに」プレオープン180321

[2018年03月24日(Sat)]
山陽自動車道岩国インターチェンジ近く、JA山口東本所に隣接する場所に直売所「FAM・S(ファムズ)キッチンいわくに」が、3月20・21日にプレオープンを迎えたので行ってみました(3月23日にすでに正式オープンしているので、少し様子が違うかもしれません)。

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まずは、ローカル新聞である日刊いわくにによる施設情報を、

「農林水産物・生産資材等直売所」(370平方メートル)
「交流・軽食スペース(イートインコーナー)」(30平方メートル)
「厨房・総菜加工室」(50平方メートル)
「調理実習室(食育キッチン)」(50平方メートル)
「情報発信コーナー」(20平方メートル)
駐車場72台分(うちバス用2台)

あいにくの雨でしたが、オープンの9時には、新鮮野菜などを求めて、多くの人で賑わっていました。

イメージ的には道の駅に近いのですが、野菜や(肉や魚もあります)加工品などの販売がメインで、

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レストランはなく、ちょっと食べることのできるイートインスペース(本格オープン後)があります。

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また、農協がやっているということもあって、入り口が別になっていますが、調理実習室があるのが特徴です(中を見ることはできませんでした)。

南と北の2ルートを設けて、保冷トラックで農家を巡って農産物などを施設まで運ぶ「集荷システム」を運用して、今まで出荷できなかった農家の人からも集めることができるようでそのあたりがどのような効果をもたらすか、今後興味があります。

たまたま、知り合いの生産者がいたので話していたら、もともと市場に出荷している人も多いので、市場に出すものと、この施設に出すのものの棲み分けをどうするかはこれから考えていくことになるとのことでした。

また、農協が運営しているので、防除日記など農薬の使い方などをちゃんと記録して提出している人しか登録して、出荷物に貼るシールを打ち出すことができないので、基準に適合した作物のみが売られているとのこと(何度も書いていますが、私は趣味のはたけをしているので、農薬や化学肥料は一切使いません)。

わたしは、農家の高齢化が進む中、作物はあっても、出荷ができない多くの人がいることが気になっているので、うまく運用されていくといいと思い、関心を持っています。


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第601回郷土史研究会『岩国徴古館新収蔵資料展―佐野家文書を中心に―』180318

[2018年03月23日(Fri)]
岩国徴古館が主催している郷土史研究会、時々受講しています。

今回の趣旨は、ここ10年くらいの間に徴古館に寄贈された文書を中心とした資料について、現段階で興味深いと思われるものをピックアップして解説するというもの。今年度から徴古館に採用された学芸員さんのデビュー講演です。ちょうど、3月18日から5月13日にかけての企画展にあわせているので、古文書などの現物も楽しめるという一粒で二度おいしい企画。

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最初に、自己紹介として、江戸時代の流通についての社会史を研究していたこと(特に、江戸時代後半に国内生産量が輸入量を上回った商品作物である砂糖の流通について)、これまで吉川家の文書が多いのでどうしても領主の歴史についての研究が中心であったけど、当時8割を占める町人などの庶民の歴史についても同時に研究を進めていきたいと思っていて、今回の発表も、そういった視点で取り上げていきたい、とねらいを話してくれて流れが分かりやすかったです。

以下、印象に残ったことなど書き残しておきます(私は、歴史については素人なので、誤解や聞き間違いがあるかもしれませんのであしからず)。

1 早馬家文書
 早馬家は岩国の南部にあった神代(こうじろ)村の刀祢(むらの中にいくつかある組を治める村役人)であった家で、70点くらいの資料があるようです。村を治める人には通常、代官―庄屋―刀祢というラインがあって、残っている文書からは、一般的な江戸時代の村の治め方と比べて、岩国では農民により近い刀祢が独自に判断して行っていたことが多かったらしいことがわかるとのこと。

2 嘉屋家文書
 広島との県境にある和紙の生産が盛んだった小瀬地区にある名家に残る文書。村役人関係の書類や土地売買の書類や書画など350点の資料がある。
土地売買の書類には、畑とそこに植えてある楮(こうぞ)が七六銭と呼ばれる藩札で行われていることが書いてあり、その藩札はもともと岩国紙を買い上げる際に用いられたもので、それが土地売買にも使われていたということは、藩札が結構流通していたことがわかる。また、薩摩藩の篤姫が錦帯橋を渡ったらしいということは岩国ではある程度知られた話だと思いますが、山陽道の宿泊場所にもなっていた嘉屋家には宿泊台帳のようなものもあり、その後の篤姫の足取りがわかる資料もあるとのこと。

3 佐野家文書
 岩国領の初代藩主吉川広家さんからの付き合いがあり、御用商人であった京都の呉服商人の1000点はあろうかと思われる文書。
 その中には、江戸末期の吉川家とのやり取りの文書も残されており、禁門の変のときに江戸の吉川家の屋敷は取り立てられ、そこに住んでいた人たちも軟禁状態にさせられたので、京都御用所(役所の出張所?)の世話をしていた佐野家がこれからどうなるか心配している様が、その御用所の運営のあり方の問題と共に推察されるようです。

歴史というものになかなか本格的な興味が持てないのですが、かつての人のやり取りや、仕組みなどを知ると、自然と、今の社会のあり方などについても思い至ってしまうことが私にとっては面白い。

徴古館では、今年度学芸員が久々に2人採用されて充実してきて、これまでなかなか手がまわらなかった研究も進みそうで楽しみです。

なお、平成30年度前半の郷土史研究会の予定や、平成30年度の企画展のスケジュールのチラシもできていましたので掲載しておきます。


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26『やさしくなあに〜奈緒ちゃんと家族の35年〜』2018横川シネマにて21

[2018年03月22日(Thu)]
『やさしくなあに〜奈緒ちゃんと家族の35年〜』
(監督:伊勢真一、出演:西村奈緒、西村記一、西村信子、西村大乗、110分、2017年、日本ドキュメンタリー映画)

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2018年、映画鑑賞26作品目にして、劇場での鑑賞21作品目。

癲癇(てんかん)と知的障がいをあわせ持ち、2、3才の時に長く生きられないと医者から宣告された奈緒ちゃんとその家族を、奈緒ちゃんが8才のときから35年間追い続けたドキュメンタリー映画。

元々は、奈緒ちゃんのお母さんが、監督のお姉さんだったため、家族のための記録として撮影をはじめたものの、結果として、この作品を含めて4本のドキュメンタリー映画になっている(私が観たのは、この作品だけ)。

そういった経緯もあって、映画は、アットホームなというか、お母さんとお父さんのいざこざや奈緒ちゃんの弟の葛藤などについて、近い位置で描写していきますので、本当に個人的な記録なのですが、それ故に、自分の家族のことやいろいろ思い巡らせてしまう。

奈緒ちゃんが、家族や仲間が険悪な雰囲気になったときに発する「ケンカしちゃいけないよ。やさしくなあに、でしょ・・・」という言葉が映画のタイトルになっていて、奈緒ちゃんの存在の大きさが、ほのぼのと伝わってくる作品です。

3月31日まで、横川シネマにて。


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岩国市民歴史講座第2回目『千石原の道しるべ―岩国の道と道標・弥山の道標―』180317

[2018年03月21日(Wed)]
1月からはじまって、隔月で開催されている市民歴史講座。

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今回のテーマは、道しるべ。岩国の主要道路が江戸時代の人と馬のみの通行だったのが、流通が盛んになることによって大八(車)や馬車などの車が使用されることになって道幅を拡張したり、急峻な場所を避けて道の場所が変わったりと言う変遷や、かつては盛んに参詣が行われていた阿品弥山(このあたりで弥山というと宮島の山が有名ですが、岩国の元城下町の近くにある山です)の参詣道にある道しるべについてのお話。

弥山は、「お弥山さん」の愛称で私も知ってはいますが、実は登った事はありません。信仰だけでなく、娯楽の少ない時代の手軽なハイキングコースとして多くの人が登っていたことがわかり、一度行ってみたいと思いました。

いろいろと印象に残る話しがあったのですが、江戸時代、岩国領内では物資の運搬は船が中心で、大八(車)など車はほとんど利用されていなかったとのこと。今で考えると、車の方がはるかに効率的なのですが、車を使うためには階段や急傾斜をなくすことが難しかったということや、領内での物流がそれほど多くなかったこと、社会が安定していたので人や馬を扱う人の職を奪うほどの変化の必要がなかったことなどいろいろ考えられて興味深い。

山陽道の中でも岩国地域は、万葉集に「周防在盤国山乎将超日者手向好為与荒其道」(すはにある岩国山を越えむ日は手向けよくせよ荒きその道)と読まれ、岩国山(岩国山といっても、今の岩国山のことではなく、主に御庄から柱野にかけての山道のことのよう)が当時、険しいことの枕詞に使われるほど難所として有名だったということについてもその背景などが分かりました。

道に夏の避暑のための日陰を作るためや、道の存在を示すために松が植えられたけど、隣接する田畑を持つ農民にとっては、日陰が作物へ悪影響を及ぼすために、わざと根きりをしたり道を削って松を枯らそうとしたという話も面白かった。

次回は、2018年5月26日(土)14時〜16時。
テーマは、「マリア観音〜岩国のキリシタン、藩の宗教政策、明治の廃仏毀釈〜」
ですが、当日は会場の岩国市中央公民館の向かいにある岩国小学校の運動会と重なってることがわかり、変更になるかもしれないとのこと。「岩国市民歴史講座」で検索すればホームページが出てくるので、そこで変更があればお知らせがあると思います。


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542_ミニトマトの「人肌発芽」その後180318

[2018年03月20日(Tue)]
まだ肌寒いので、芽出しを早めるために久々に行っている「人肌発芽」。

とりあえずは、ミニトマトと中玉トマトを5粒ずつ3月15日の朝から行っていて、4年前の実験では、ミニトマトは一番芽が出るのが遅かったので、1週間後くらいだろうと予想しながら、毎日状況を確かめていたら、予想に反して、18日の朝には、ミニトマトの4粒から芽が出ていました。

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ちなみにその時点では、中玉トマトフルティカはまだ芽がでていませんでした。

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早速、取り出して、ポットに植え直しました。これから、ポットを入れた半透明の衣装ケースを、天気がいいときには日当たりのいい軒先に出し(蓋のかけ加減を天気によって調整)、夕方には玄関に入れるという日々が続くことになります。芽が出るまでは、芽が出るかでないか、芽が出てからは、日々の成長が楽しみです。

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その後、日曜日には中玉トマトも芽が出始めましたので、ポットに植え替え、ピーマンと長茄子(長ナス)の「人肌発芽」とポットへのじか植えも始めました(「人肌発芽」とじか植えで時間的にどれくらい差があるか確かめてみるため)。

ついでに書くと、去年の3月に作るのを手伝って分けてもらった椎茸(シイタケ)の原木。5本ある中の一番太い1本だけから、続々と椎茸が出始めています。やはり木が太いほうが栄養がたくさんあるので育ちやすいのでしょうか。作ってちょうど1年なので、まだ時期的には早いように思うのですが。


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2017わくわく科学クラブ<30倍の世界>10回目180317最終回_その2(マスキングテープによるカードづくり)

[2018年03月19日(Mon)]
前の記事でわくわく科学クラブ最終回の概略は書きましたが、最後に行ったマスキングテープを使ったカードづくりの例を紹介しておきます。

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メッセージカードでもいいし、好きなように作ってもいいということで、ハガキと多量ののマスキングテープを用意ました。子どもたちが、いろんな種類のマスキングテープを前に、創造性を発揮して思い思いのカードを作っていくのを見るのはとても楽しい。


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2017わくわく科学クラブ<30倍の世界>10回目180317最終回

[2018年03月18日(Sun)]
ライトスコープを使って、いろいろなものを予想を立てながら見て、意外に奥深い30倍の世界を知っていく<30倍の世界>という仮説実験授業の授業書を1年間かけてほぼ月1回ペースで行っていたわくわく科学クラブも、とうとう最終回。

最後の第五部「ものを大きく見る方法―顕微鏡の話」の残りは少しだったので、さらりと済ませ、あとは簡単顕微鏡づくりやハガキ用の紙でつくった鼻笛の練習をしたり、他のクラスで行われた「もしも原子が見えたなら」の朗読劇を見たり、マスキングテープでカード作りを行ったりといろいろ楽しみました。

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ペットボトルを使った簡単顕微鏡づくりを少し紹介しておきます。

今回準備をしていて分かったのは、2重になっていて、蓋自体の厚みが薄い蓋を選ぶのがポイント。2重になっている部分を千枚通しで取り除き、真ん中に程よい穴をあけ、そこに直径1〜2ミリのガラスビーズ(仮説実験授業研究会のメンバーが、この簡単顕微鏡用にセットして販売してくれたもの)を押し込むだけでできあがり。

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あとは、光が透過して細胞の見やすいものの代表である玉葱(タマネギ)の薄皮をセロテープにくっつけて、ペットボトルの飲み口部分に張り付けて、蓋しめていって、ピントを合わせる(けっこうガラスビーズにくっつくくらい近づける必要があります)て蛍光灯などの明るい場所に向けてのぞくと、かなり大きく玉葱の細胞が見えます。光を透過するものならいろいろなものを見ることができます。


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25『十年』2018横川シネマにて20

[2018年03月17日(Sat)]
『十年』
(監督:クォック・ジョン、ウォン・フェイパン、ジェヴォンズ・アウ、キウィ・チョウ、ン・ガーリョン、108分、2015年、香港映画)

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2018年、映画鑑賞25作品目にして、劇場での鑑賞20作品目。

1997年にイギリスから中国への返還されて20年が経過した香港を舞台に、10年後の未来をテーマに、5人の監督による5つの短編作品で描いた作品。

低予算で作られたにもかかわらず、香港でヒットし、香港のアカデミー賞を受賞した作品。

香港での政治状況や、言語や言葉狩りの問題など、息苦しい部分について、皮肉を込めて、時にはっきり、時に暗喩的に表現してあり、そのあたりのところが香港の人たちに共感を得たのかなという感じがしました。

3月21日まで、横川シネマにて。


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541_久々の子育て?「人肌発芽」180315

[2018年03月16日(Fri)]
苗を手軽に早めに作るために、人肌であたためてタネの発芽を促すことは、かつては普通に行われていたらしい面白いやり方で、「人肌発芽」や「めんどり発芽」、「人肌催芽」と言ったりすることについて、4年前に実際にいろんなタネで試してみたりしたことをこのブログに書き、そのときには、人肌で発芽を促すという意味で「人肌促芽」という言葉がいいのではないかと書き込み、新しい言葉として提唱しました。

しかし、あらためて考えてみると呼び方としては、「人肌発芽」というのが単純にいいのかなと最近は思っています。

最近楽しみとしてタネから育てている野菜の苗。「人肌発芽」は単純に楽しいのですが、西瓜(スイカ)や胡瓜(キュウリ)などのように劇的に発芽が早い瓜系以外は、少し早くなるくらいなので、去年、おととしはやってませんでした。今年は、1、2月の冷え込みが強く、ようやく温かくなってきたものの、また少し冷え込みそうなので、久々に「人肌発芽」で苗を作ってみようかと思い立ちました。

とりあえず、近所のホームセンターにあった、ミニトマトと中玉トマトで。

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ティッシュと脱脂綿のあいだにタネを置き、水で湿らせて、爪楊枝で何箇所か穴を開けたシール付きビニール袋に入れて、大昔のパスポート入れに入れます。

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トマトは、経験上発芽が遅いので、最短でも5、6日後になると思われます。風呂に入るとき以外は、しばらくこれをおなかのあたりの下着シャツとワイシャツの間に入れておくことになります。

発芽するのが楽しみです。


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24『被ばく牛と生きる』2018横川シネマにて19

[2018年03月15日(Thu)]
『被ばく牛と生きる』
(監督:松原保、出演:吉沢正巳、山本幸男、池田光秀、池田美喜子、柴開一、渡部典一、鵜沼久江、岡田啓司、104分、2017年、日本ドキュメンタリー映画)

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2011年3月11日。大きな地震と津波によって、福島第一原発に重大な事故が起こり、周辺の住民は、強制避難となり、当時約3500頭いた牛は、牛舎につながれたまま残されたために世話をする人がいないまま、約1400頭が餓死してしまった。

ペットについては警戒区域から連れ出すことが認められたが、5月には、放射能汚染された食肉を流通させないため、20キロ圏内にいるすべての家畜は殺処分となり、多くの牛が薬殺されることになる。

そんな中、殺すことができないと飼育を続ける人たちがいた。国も、飼育を続けることは認めるようになるのだが、牛が車とぶつかったりといった事故やえさ代などは自己責任という扱い。

飼育農家の人たちは、仮設住宅に住みながら、牛の世話をするために警戒区域に通うことになる。かつて政治活動を行っていて、反原発を訴えながら、全国のボランティアを受け入れて飼育を続ける人、地元の議員として長年原発を推進した立場にいた人、一頭一頭に名前をつけていて、飼うことをやめられない人。それぞれ。

食肉として売ることも、繁殖させることもできない中で、育て続けることに何の意味があるかと言われると、それはそうなのかもしれませんが、あまりに理不尽な事実をどうとらえればいいのか。そのうち、牧草地を除染の結果出た汚染物質の仮置き場に使われることになり、飼育を断念し、殺処分に同意して立ち会うことになった人は、「こんな形で飼育をやめることになって、もう生き物を飼うことはできない。何もやる気がしない」と語る。

去勢を手伝うことになったことをきっかけに被ばく牛の健康診断などにかかわるようになった獣医師は、大型哺乳類の被ばくによる調査は前例がないことからそこに意味を見出し、国にも研究の必要性を訴えながら少ない研究費を使って、いつまでつづけられるかと思いながら調査をしている。

被ばく牛を飼い続けることは、いろんな意味から離れて、ある種の行(ぎょう)というか、原発事故の犠牲に対する祈りのような気もしてくる。

3月21日まで、横川シネマにて。


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『脳の意識 機械の意識 脳神経科学の挑戦』

[2018年03月14日(Wed)]
『脳の意識 機械の意識 脳神経科学の挑戦』(渡辺正峰著、2017年、中公新書)

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「人間の意識を機械に移植することはできるのか?」という面から現在の脳神経科学である著者が取り組んでいることを、できるだけわかりやすく解説してくれようとしている本です。

意識とは何なのかというのは、昔からの大問題で、それは哲学の問題で科学の問題ではないと、はなから対象としていない人から、情報があるところに意識はあるのだから、月の裏側にある石ころにまで意識はあるという人までさまざますぎるようです。

意識というと、普通は感覚意識体験(クオリア)のことを言うようで、それは、外界のことを感覚器官によって感じることが、意識の大きな位置を占めているからで、そして、感覚器官から脳に情報が入ってくる仕組みについては、かなり解明されている。

しかし、感覚器官に入ってくる情報が、そのまま意識に上ってくるかと言うとそうではないことは、例えば、右目と左目それぞれに違う絵を近づけてみると、不規則に一方の絵だけ見える(つまり、情報としては違うものがそれぞれの目から入ってくるのに、どちらか一方しか意識できない)両眼視野闘争と言われる現象などによって確かめられ、その現象を使った実験で、脳内でどういう変化が起こっているのかを調べたりして、意識がどこからどういうふうに生まれてくるかについての検証が続けられている。

機械にも意識が生じるのかについては、脳は、違う役割があるにしても左右対称の構造になっているので、片方の脳を機械に置き換えることができたとして、その左右の脳が何らかの連携を行うことができて統一的な意識を持つことができれば、その可能性が広がってくるのではないかと考えて、研究を進めているようです。

科学の世界では、物質が互いに引き合う「万有引力の法則」などのようにこうなっているとしか言いようのない自然則を発見することが大きな意義を持っているが、意識についてはそういった自然則は発見されていないし、著者もまだわかっていないようです。

しかし、「何かが何かの因果的関係性を取り込む」ことに意識を生み出す自然則が潜んでおり、それは宇宙誕生の瞬間から存在していたのではないかと推測しているようです。なかなか、話が大きい。

書かれていることの多くは、具体的な解明されている神経の仕組みや、意識が生まれる仕組みを追いかけるための実験の工夫など面白いことが多く、一気に読み進んでしまいました。著者があとがきに、「案外、そう遠くない将来に、解決の糸口がつかめるかもしれない」と楽観的な感想を書いていましたが、多くの研究者たちの努力によって着実に進んでいるのを感じると同時に、読んだ私は、まだまだ分かっていないことが多く、謎は深いのだなあという実感を持ちました。


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23『アスファルト』2018レンタルにて

[2018年03月13日(Tue)]
『アスファルト』
(監督:サミュエル・ベンシェトリ、出演:イザベル・ユペール、ギュスタブ・ケルバン、バレリア・ブルーニ・テデス、タサディット・マンディ、100分、2015年、フランス映画)

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2018年、映画鑑賞23作品目。

郊外?の人気(ひとけ)のあまりない古いアパートに暮らす人たちの交流を描く。

アパートにエレベーターを設置することになり、自分は使わないからと唯一分担金に反対した直後に車椅子生活を羽目になった男性と、深夜の病院の自動販売機で食糧調達をしいるうちに出会った夜勤の看護士。かつて映画女優として活躍していた女性と隣に住む男子学生、アパートの屋上に不時着してしまった英語しか話せない?NASAの宇宙飛行士と息子が服役中の英語の分からない女性。3組6人それぞれのつかず離れずのような、ぎこちなくもほのぼのとしたやりとりがたんたんと繰り広げられていく。

大きな盛り上がりもないのですが、あとでじんわりと来るタイプの映画です。

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『クリスパー(CRISPER) 究極の遺伝子編集技術の発見』

[2018年03月12日(Mon)]
『クリスパー(CRISPR) 究極の遺伝子編集技術の発見』
(ジェニファー・ダウドナ著、櫻井祐子訳、2017年(原著も)、文藝春秋)

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クリスパー(CRISPR)とは、「クラスター化された、規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)」の省略形で細菌(バクテリア)のDNAの一部の領域のことを指し、細菌とウイルスとの長い戦いの中で培われてきた防御システムの一つ。

ウイルスは、細胞壁に取り付いて、遺伝子を細胞内に送り込み、細菌の遺伝子を活用してウイルスの遺伝子を増殖させていくが、それに対抗するために、遺伝子自体の配列を変えて装飾し、自分の遺伝子を守りつつ、酵素によって外から入ってきた遺伝子を切断したり、細胞壁に取り付いたウイルスが遺伝子を送り込むためにあけた穴をふさいだり、増殖を防ぐために細胞自体が死んだりといった方法をとって防御することが知られていた。

クリスパーは、ウイルスのDNAの配列のコピーのようになっているので、ウイルスのDNAが進入してくると、クリスパーの部分を複製されたRNAが作られ、その配列によってウイルスのDNAに導かれ、隣接する遺伝子が作り出すタンパク質と協力して、ウイルスのDNAを切断してしまうという、強力なシステムとして働き、この仕組みを解明し、遺伝子編集技術への転用できることを実証した論文を、この本の著者であるダウドナさんは2012年に発表することとなる。

そういった研究・発見がさまざまな研究者との出会いや協力のもとになされていった過程を分かりやすく解説してくれると共に、後半部分では、以来、従来の遺伝子組み替え技術に比べて、低コストで効率のよい遺伝子編集技術として研究が進み、ヒトの卵細胞の遺伝子編集の可能性も出てきたため、広く関係者を集めそういった問題点について話し合うための国際会議を開催することになった経緯などについて書かれています。

研究物語として、大変興味深いのですが、一方で、技術の応用に対して、あまりにナイーブな(この言葉の本来の「無邪気な」とか、「無頓着な」といった意味で)部分が多く見受けられ、気になりました。

例えば、クリスパーを活用した「遺伝子ドライブ」という技術を使うと、不妊の遺伝子をマラリア蚊に組み込むことができ、その遺伝子は指数関数的(加速度的)に増えて、マラリア蚊を絶滅させることができる可能性があるらしいのですが、そのことについて、ある昆虫学者の、「たとえ明日蚊を根絶したとしても、生態系は一時的に混乱するだけで、やがて正常化するだろう」という意見を紹介して、「蚊を媒体とする病気のない世界を実現できるなら、行動を起こさないことは正当化できるだろうか?」と語っていたりするのです。自然界の中での蚊の存在は、マラリアを媒介するだけではなく、他の生物や自然界との関わりの中で考える必要があると思われるのですが。

また、著者も書いているのですが、クリスパーは、単一の遺伝子が関わる病気については有効ですが、多くの病気は、複数の遺伝子が関わっていてその影響がはっきりしないことや、単一の遺伝子が関わるものについても、例えば、「鎌状赤血球症患者はβグロビン遺伝子の両方のコピーを修復すれば病気を取り除けるが、マラリア抵抗性が失われる」といったように、両面性があるので、単純に遺伝子を編集するだけでいいのか、などクリアしないといけない問題はたくさんあるでしょう。

いずれにしても、最近の科学技術は、一般の生活にも影響が大きく、しかも、倫理的な問題など多岐で微妙な問題も大きく、専門家だけでは手に負えないことが増えてきています。議論の場には、科学の専門家、社会科学の専門家などのその分野の専門家だけでなく、一般の人にも分かりやすく状況を説明できるように専門家に促すなど、調整を行うことを専門とする人を養成していかないと、一方的な議論になり、より多くの人が納得できる結論に結びつかなくなってしまうのではないかと思います。


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22『ブルゴーニュで会いましょう』2018レンタルにて

[2018年03月10日(Sat)]
『ブルゴーニュで会いましょう』
(監督:ジェローム・ル・メール、出演:ジェラール・ランバン、ジェリル・レスペール、アリス・タグリオーニ、ローラ・スメット、97分、2015年、フランス映画)

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2018年、映画鑑賞22作品目。

フランス・ブルゴーニュ地方を舞台に、老舗ワイナリーを営む農家に生まれながらその束縛から逃れるために都会に出て、今やパリで著名なワイン評論家として活躍する主人公。

実家倒産の危機を知り、仕方なく再興に取り組むことになる。ワインの味見には自身があるものの、ワイン造りは素人。特徴を出すために昔ながらのワインの造り方を目指すが、確執のある父親や自然の猛威と闘わなければならなくなる。

一面に広がる葡萄(ブドウ)畑が圧巻で、ワイン作りの一端を知ることができて楽しい。人間ドラマに重きがあったので仕方ないのですが、はたけが趣味の私としてはもっと葡萄畑のこと自体を取り上げて欲しかったことが残念。

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