『人類と気候の10万年史』
『人類と気候の10万年史』
(中川毅著、2017年、BLUE BACKS)
古い時代の気候変動を解明する地質学の一部屋である古気候学は、従来の地質学の研究対象である数万年や数億年というスケールでの研究で、多くの成果を上げてきたものの古すぎることもあってかなり大きな誤差があるようです。
近年、年縞(ねんこう)と呼ばれる1年に1枚ずつ形成される薄い地層である特殊な堆積物をはがしていくよう分析することによって1年ごとの出来事の推移を調べることができるようになり、1991年に福井県の水月湖に発見された年縞は、良質で45メートルの厚さ、7万年以上もの年月をカバーすることがわかり、その中に含まれる花粉の種類や密度によって当時の植生、ひいては気候がわかるようにりました。
大きく見ると、地球の地軸のずれの周期にあわせて10万年単位で気候の変化がみられるが、もう少し小さなレベルでみると2万3000年周期で寒暖の波がみられ、現在は11700年位前に不安定で寒い時代が終わって安定して暖かい時代にあり、いつ不安定で寒い時期に移るかわからない時代にあるものの、人類による二酸化炭素排出などによって暖かくなってきている状態のようなのです。
面白いのは、人類の歴史は少なくとも20万年以上あるといわれていて、気候的にいろんな時代を過ごしていることになるわけですが、農耕が始まったのが、ちょうど今の安定した暖かい時代の始まりと同時であり、自然の多様性の中で気候が変わって取れる植物や動物が変わっても取れるものを取って暮らす狩猟採集の生活から、単一なものを植えて育てる効率的な農業に依存することによって繫栄することになったと考えられるというところです。
今後、人類の影響による温暖化は進むにしても、気候が不安定な時代がやってきた場合、現在のような単一な農業が成り立たなくなってしまう可能性があり、かといって、人口が増えている現代においては、多様で何らかの食料があるにしても効率でない狩猟採集時代に戻ることはできないことになるわけです。
著者は、もちろん古気候学の研究者なので気候のことだけ説明してくれているのですが、しかし、今後、増えた人類が協力していけば、多様性と、生産性の共存の道を切り開くことができるのでは、と結んでいます。

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(中川毅著、2017年、BLUE BACKS)
古い時代の気候変動を解明する地質学の一部屋である古気候学は、従来の地質学の研究対象である数万年や数億年というスケールでの研究で、多くの成果を上げてきたものの古すぎることもあってかなり大きな誤差があるようです。
近年、年縞(ねんこう)と呼ばれる1年に1枚ずつ形成される薄い地層である特殊な堆積物をはがしていくよう分析することによって1年ごとの出来事の推移を調べることができるようになり、1991年に福井県の水月湖に発見された年縞は、良質で45メートルの厚さ、7万年以上もの年月をカバーすることがわかり、その中に含まれる花粉の種類や密度によって当時の植生、ひいては気候がわかるようにりました。
大きく見ると、地球の地軸のずれの周期にあわせて10万年単位で気候の変化がみられるが、もう少し小さなレベルでみると2万3000年周期で寒暖の波がみられ、現在は11700年位前に不安定で寒い時代が終わって安定して暖かい時代にあり、いつ不安定で寒い時期に移るかわからない時代にあるものの、人類による二酸化炭素排出などによって暖かくなってきている状態のようなのです。
面白いのは、人類の歴史は少なくとも20万年以上あるといわれていて、気候的にいろんな時代を過ごしていることになるわけですが、農耕が始まったのが、ちょうど今の安定した暖かい時代の始まりと同時であり、自然の多様性の中で気候が変わって取れる植物や動物が変わっても取れるものを取って暮らす狩猟採集の生活から、単一なものを植えて育てる効率的な農業に依存することによって繫栄することになったと考えられるというところです。
今後、人類の影響による温暖化は進むにしても、気候が不安定な時代がやってきた場合、現在のような単一な農業が成り立たなくなってしまう可能性があり、かといって、人口が増えている現代においては、多様で何らかの食料があるにしても効率でない狩猟採集時代に戻ることはできないことになるわけです。
著者は、もちろん古気候学の研究者なので気候のことだけ説明してくれているのですが、しかし、今後、増えた人類が協力していけば、多様性と、生産性の共存の道を切り開くことができるのでは、と結んでいます。
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