『寡黙なる巨人』
『寡黙なる巨人』(多田富雄著、2010年(原著は2007年)、集英社文庫)
まさに圧巻の記録・随想です。
免疫学者として著名で、活躍していた著者が、2001年に旅先で突然脳梗塞に倒れたのちの1年弱の闘病記録に、その後6年間の随想を加えたエッセイ集(2010年に亡くなっています)。
半身不随になって、言葉も話せなくなり、食事もままならない状態であった著者は、科学者としていったん死んだ神経細胞が再生することはないと知っているため、ある日、足指が一瞬動いたときに、これから体が動くとしたら、それは自分の中に新たな人間が生まれたことになるのだと認識し、それを「寡黙なる巨人」と呼び、その新たな人が生まれ育つことを大変なリハビリをこなしながらどこか覚めた目で見つめ続けます。
一方で、幸い思考することに関して支障がなかった著者は、使ったことのなかったワープロを指一本で使えるようになり、これまで以上に感じた生きる喜びを語り、理不尽な医療制度改正に怒り、また、芸術文化にも造詣が深く、新作能まで手掛けており、一気に読ませます。

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まさに圧巻の記録・随想です。
免疫学者として著名で、活躍していた著者が、2001年に旅先で突然脳梗塞に倒れたのちの1年弱の闘病記録に、その後6年間の随想を加えたエッセイ集(2010年に亡くなっています)。
半身不随になって、言葉も話せなくなり、食事もままならない状態であった著者は、科学者としていったん死んだ神経細胞が再生することはないと知っているため、ある日、足指が一瞬動いたときに、これから体が動くとしたら、それは自分の中に新たな人間が生まれたことになるのだと認識し、それを「寡黙なる巨人」と呼び、その新たな人が生まれ育つことを大変なリハビリをこなしながらどこか覚めた目で見つめ続けます。
一方で、幸い思考することに関して支障がなかった著者は、使ったことのなかったワープロを指一本で使えるようになり、これまで以上に感じた生きる喜びを語り、理不尽な医療制度改正に怒り、また、芸術文化にも造詣が深く、新作能まで手掛けており、一気に読ませます。

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