『縁食論―孤食と共食のあいだ』
『縁食論―孤食と共食のあいだ』
(藤原辰史著、2020年、ミシマ社)
それぞれが一人で食べる孤食と、ガチガチのコミュニティの中で一緒に食べる共食の間に、もう少しカジュアルな形で縁食というものが考えられないかという考えなのかな。
より根本的には、都会的な個々別々の人間関係の在り方と、田舎的なちょっとめんどくさいそれとの間の、クールな面も持ち合わせたコミュニティの在り方の食に関した提言ということができるのだと思います。
その中で、現在の子ども食堂の取り組みや、恐慌時などに世界中で取り組まれた施策としての公衆食堂の取り組みなども紹介しながら、(すべての人に最低限の賃金の保障をする)ベーシックインカムならぬ、ベーシック・フード・サービスというものについて「私たちは、食べものが無料であるという社会を非現実的だといいつつ、食べものが廃棄可能である社会の現実をあたりまえのこととして受け入れているという、風変わりな考え方と習慣を持ったエイリアンなのである」と鋭く突っ込みながら、いろいろと大胆な提言もしています(全体的にはすぐには無理でも、共通理解を図ることができる地域での学校給食からでもはじめてはという具体案も)。
最後の章の、「縁食人文学」の中で、生命がお互いに支え合っていることを「もれ」というキーワードで書いているのも、農業史・食の思想史の専門家としての著者ならではという感じで面白い。

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(藤原辰史著、2020年、ミシマ社)
それぞれが一人で食べる孤食と、ガチガチのコミュニティの中で一緒に食べる共食の間に、もう少しカジュアルな形で縁食というものが考えられないかという考えなのかな。
より根本的には、都会的な個々別々の人間関係の在り方と、田舎的なちょっとめんどくさいそれとの間の、クールな面も持ち合わせたコミュニティの在り方の食に関した提言ということができるのだと思います。
その中で、現在の子ども食堂の取り組みや、恐慌時などに世界中で取り組まれた施策としての公衆食堂の取り組みなども紹介しながら、(すべての人に最低限の賃金の保障をする)ベーシックインカムならぬ、ベーシック・フード・サービスというものについて「私たちは、食べものが無料であるという社会を非現実的だといいつつ、食べものが廃棄可能である社会の現実をあたりまえのこととして受け入れているという、風変わりな考え方と習慣を持ったエイリアンなのである」と鋭く突っ込みながら、いろいろと大胆な提言もしています(全体的にはすぐには無理でも、共通理解を図ることができる地域での学校給食からでもはじめてはという具体案も)。
最後の章の、「縁食人文学」の中で、生命がお互いに支え合っていることを「もれ」というキーワードで書いているのも、農業史・食の思想史の専門家としての著者ならではという感じで面白い。

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