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MI ジャーナル

―はたけと芸術を楽しみつつ、仮説を立てながらいろんな人と協働して問題解決を図り、子どもとともによりよい社会を目指していきたい、そんなことを考えている人のヒントになりたい―


キーワードは、農業(はたけ)・仮説実験授業・楽しさ・子ども劇場・芸術文化・冒険遊び場(プレイパーク)・チャイルドライン・協働などなど(ただし、私の中でつながっているだけで、それぞれに直接的な関係があるわけではありませんので、誤解のないようお願いします)


「MI ジャーナル」とは、Micro Intermideate Journal(マイクロ・インターミディエット・ジャーナル)。元のタイトル「農芸楽仮説変革子ども」は私の関心領域のキーワードをつないだだけだったので、2010年3月3日より、私の日々の情報発信という意味で、MI(村夏至)ジャーナルとしたのですが、2014年9月4日から、MIの意味を変えて、小さいながら何かのきっかけや何かと何かをつなぐ内容にしたいという意味の名称にしました(詳しくは、カテゴリー「21MIジャーナル」をご覧ください)。

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『AIに負けない子どもを育てる』

[2020年01月25日(Sat)]
『AIに負けない子どもを育てる』
(新井紀子著、2019年、東洋経済新報社)

2001AIに負けない子どもを育てる.JPG

2018年に刊行されて話題となった『AI vs, 教科書を読めない子どもたち』(2018年9月10日に簡単なメモをブログに書いています)の続編。とても面白いです。

結論は前作でも書かれていて至ってシンプル。学校教育の中で中学校までに、書いてあることが正確に読める読解力をつけることができれば、それぞれの必要にあわせて学びやすくなるので、そこが一番大切ということ。

AIの可能性と限界を社会に広く公開するために、わかりやすい目標として「ロボットは東大に入れるか」を掲げて研究開発するプロジェクトを展開する過程で、あらためてAIが苦手とするのは「事実について書かれた短文を正確に読むスキル」であることがわかってきた。

その能力を公正に測る問題を作るために、実際に作った設問を有償で受検できる形にして多くの人に実際に解いてもらうというRST(リーデイィングスキルテスト)が開発した著者。面白いのは、実際に多くの人がテストを受けることによって、たくさんのデータを集めることができるようになり、それぞれの問題が適切な問題であるかを統計的に検証・修正していくことができているということ(実際に、設問をこう変更した方が適切に能力を測ることができるのでは、という提案に対して、実際に変更してその結果を確認することができた例なども示されている)。

それを、AIに解かせてみることによって、AIの完成度を測ろうというわけですが、同時にわかった衝撃的な事実は、AIにとって難しいことが同時に多くの人にとっても難しいことだったということ。

実は、多くの人はそれぞれのやり方で文章を読んでいて、それなりに読めていると思っているものの、文章がちゃんと読めているかどうかを測るテストがなかったために、そのことが具体的にわかっていなかったわけです(こういったテストができるのは、比較的均一な背景と教育制度がある日本ならではのようで、日本発の研究になっているみたい)。

この本には28問からなるリーディングスキルテストの体験版も入っていて、実際にどんな問題なのかを知ることができ、そのあとに、分類ごとの問題の特質や、回答の仕方がタイプに分かれることなどの説明があります。

人間がコンピュータと本質的に異なり、そして優れている点について新井さんが考えている3つことを書いていて、それがなかなか興味深い。
1 意味が(なぜか)わかること
2 欲求があること
3 全力で怠けようとすること
 (ドリルなどによる単純な記憶によって成績が上がるという成功体験を積んでしまうと、ちゃんと文章を読む努力をしなくなる)

前作では触れていなかった読解力を培う授業の具体的でわかりやすい例も掲載されています(その中には、結果としてプログラミング教育と捉えることができる例となっているものがあるのも面白い)。

そして、「科学的」に検証されたものではないと断りながら、著者が、これまでの経験の中から、意味がわかって読む子どもに育てるために必要だと思うことを、幼児期から小学校高学年までを年代ごとにまとめて書いてあることは、当たり前のようなことなのですが、それが今おろそかになっているのだろうなあと考えさせられる(端的には、「すべての子どもに、ゼロ歳から十分に母語のシャワーを浴びる機会、インターネットから切り離されてリアルな外部の世界と接触する十分な機会、歩いたり、走ったり、同年代の子どもと喧嘩をしたり仲直りをしたりする機会が保障されるべき」と書いています)。

AIの開発プロジェクトにたずさわった著者にしては、ITの学校での活用が語られませんが、最後の方でようやくそのことに触れていて、新井さんが学校で検討したようがよいと考えるITの活用方法は、次の4つくらいだと書いていて、その上で、パソコン教室があってノートパソコンが1クラス分あれば十分だと書いていて、私も本当にそう思います。

1 高校の統計の授業での大規模データの分析
2 日本語が母語でない生徒の支援のためのIT
3 学校のホームページを完全に機械可読な形式にして、学校だより・給食だより・緊急連絡などを、ブラウザの機械翻訳機能を使って何語にでも翻訳できるようにし、日本語を読み書きできない保護者に確実に情報を伝えること
4 黒板に地図や五線譜、「詩」などをプロジェクターで投影できるKocriと呼ばれるツール

ここまで読んできて、じゃあ、大人になってしまったら、読解力を上げるのは無理なのだろうかという疑問に対して、前作では、具体例をあげずに大人になってから読解力が上がった人がいることを書いていたのですが、今回は、その人の了承を得て実名入りで体験談を紹介してくれています。実は、その人は、まさにリーディングスキルテストの開発メンバーの1人で、当初問題が解けないことをはずかしくて話せないまま、開発に関わっていく中で、自分で自分の読解力のなさに向き合ってひそかにこつこつ努力することによって、読解力が向上していったのだそうです。それまでも、論文を書くのが苦手で時間をかけることで何とか対応していたらしいのですが、それが解決したらしい。

最後に、新井さんはこの本の印税を使って、自らが立ち上げた一般社団法人「教育のための科学研究所」ですべての幼稚園・保育園・小中学校・高等学校に対して、基本的なホームページを(1機関5ギガの容量まで)無償で提供するプラットフォーム「edumap」を2020年春に向けて準備することが書いてあって、実際にホームページで調べてみると、1月から登録を始めているようです。教育改革のために自分ができる具体的なことを行っていて、心意気を感じる。


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