『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』
『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』
(藤井一至著、2018年、光文社新書)
本屋で背を見て、「地球最後のナゾ」とは大きく出たもんだなあ。でも、はたけを趣味とする私としては、土には関心がある。ということで読んでみました。
著者は、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所に勤める30代の若き研究者。実際の土壌や、図などが出てくるので、カラー図版をふんだんに用いた贅沢な新書。
世界の土壌は、大きくわけると、ポドゾル、チェルノーゼム、砂漠土、永久凍土、未熟土、若手土壌、粘土集積土壌、強風化赤黄色土、泥炭土、ひび割れ粘土質土壌、黒ぼく土、オキシソル、の12種類しかないらしい。
しかし、素人目に見ても、この分類名からして、何だか分類の基準がわかりにくいなあと思っていたら、後半の方で、FAO(国連の食糧農業機関)主導のもと、食料安全保障と気候変動に向けて土壌保全を目指そうという国際連携の活動が立ち上げられたので著者がその仲の委員会のメンバーに立候補した話が載っていて、世界の土の研究者にはそれぞれ仕事の流儀がある、みたいなことが書いてあり、土というのは、いろいろな要素が絡み合っているので、統一ルールがまだできていないらしいことがわかる。
本の最初では、生物のすんでいる地球と、そうではない月や火星の土の違いについての話しがあり、その中で、「腐植」について、「複雑すぎて化学構造も部分的にしか分かっていない驚異の物質であり、土の機能を工場で再現できない理由もここにある」と書いてあり、私の一番知りたいことは、やはり、まだまだ研究が進んでいないのだなあと。
本の前半にある、著者が、12の土壌の実際を見るために世界を訪ねる紀行文は、単純に面白い。
後半で、若干具体的な植物や最近などと土壌との関係などが書かれているものの、本のタイトルにある「100億人を養う土壌を求めて」という、地球の土の可能性に迫る研究は、まだ緒に付いてもいない感は否めない。しかし、こういった基礎研究は重要だと思うので、折に触れて、例えば今回のような新書などで発信して欲しい。
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(藤井一至著、2018年、光文社新書)
本屋で背を見て、「地球最後のナゾ」とは大きく出たもんだなあ。でも、はたけを趣味とする私としては、土には関心がある。ということで読んでみました。
著者は、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所に勤める30代の若き研究者。実際の土壌や、図などが出てくるので、カラー図版をふんだんに用いた贅沢な新書。
世界の土壌は、大きくわけると、ポドゾル、チェルノーゼム、砂漠土、永久凍土、未熟土、若手土壌、粘土集積土壌、強風化赤黄色土、泥炭土、ひび割れ粘土質土壌、黒ぼく土、オキシソル、の12種類しかないらしい。
しかし、素人目に見ても、この分類名からして、何だか分類の基準がわかりにくいなあと思っていたら、後半の方で、FAO(国連の食糧農業機関)主導のもと、食料安全保障と気候変動に向けて土壌保全を目指そうという国際連携の活動が立ち上げられたので著者がその仲の委員会のメンバーに立候補した話が載っていて、世界の土の研究者にはそれぞれ仕事の流儀がある、みたいなことが書いてあり、土というのは、いろいろな要素が絡み合っているので、統一ルールがまだできていないらしいことがわかる。
本の最初では、生物のすんでいる地球と、そうではない月や火星の土の違いについての話しがあり、その中で、「腐植」について、「複雑すぎて化学構造も部分的にしか分かっていない驚異の物質であり、土の機能を工場で再現できない理由もここにある」と書いてあり、私の一番知りたいことは、やはり、まだまだ研究が進んでいないのだなあと。
本の前半にある、著者が、12の土壌の実際を見るために世界を訪ねる紀行文は、単純に面白い。
後半で、若干具体的な植物や最近などと土壌との関係などが書かれているものの、本のタイトルにある「100億人を養う土壌を求めて」という、地球の土の可能性に迫る研究は、まだ緒に付いてもいない感は否めない。しかし、こういった基礎研究は重要だと思うので、折に触れて、例えば今回のような新書などで発信して欲しい。
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