『植物はおいしい−身近な植物の知られざる秘密』
『植物はおいしい』(田中修著、2019年、ちくま新書)
植物生理学が専門で、農学博士である著者は、野菜や植物に関する一般向けの書物をたくさん書いていて何冊か持ってしまっています。
植物一般に興味を持っているし、はたけが趣味で、時期によっては日々実際に野菜と接しているので、いつもいろいろ不思議を感じているため、こういう本を読むと、少しずつ保留していた疑問が解決したりして楽しいのです。
この本では、最初の4章が季節ごとの野菜や果物の話題になっていて、その最初が夏から始まる、つまり夏秋冬春(かしゅうとうしゅん)となっています。細かいことですが、私などは四季というと、春から始まるという固定観念がありますが、今年の最初頃にレンタルで見た『リトル・フォレスト』という映画でも季節ごとの4篇からなる作品で、それも夏から始まっていました。季節は繰り返すものなので、どこから始まってもかまわないという意味では、春で終わるっていうのは、これから何かが始まるイメージでなかなかいいなと思っています。
この本で面白かったことを少し書いてみると、
栗(クリ)は、同じ株に雄花と雌花が別々に咲く「雌雄同株(しゆうどうしゅ)」で、しかも同じ株に咲く花の花粉ではタネができない「自家不和合性(じかふわごうせい)」を持っており、新しく好ましい性質を持った品種ができたら、その性質を保つ方法として挿し木で増やしていくことになる。つまり、たくさん木あっても同一の遺伝子なので、タネができない(実が成らない)。そこで、その性質を損ねない似たような性質のもう一つの品種を作って、同じ場所に混在させて育てることによって、お互いに受粉しあって実を成らす事ができる。
薩摩芋(サツマイモ)の皮の内側に薩摩芋の消化を促すための「ヤラピン」という物質が含まれているという話しから思い出したのですが、例えば、葡萄(葡萄)の果実の近くには、発酵を進めるための細菌が最初から住んでいたり、そういう例には事欠きません。つまり、生物は、(多分長年の積み重ねで)分解されて別のものを作り出すのに生かされるように循環していくように連携する仕組みが出来あがっているのでしょう。
著者の田中さんは、最新の話題もフォローしていて、今回も2018年に品種として登録され、2019年(今年)から販売される予定の、砂糖を入れなくても冷えても硬くならないもちができるもち米の話題なども、その仕組みも含めて簡単に紹介してあって面白い。
植物ではないものの、キノコの話題も書いてあって、人工栽培ではおがくずが使われることが多いのですが、繰り返し使えるものはないかと、著者も関わって、おしぼりやタオルなどの繊維素材に米ぬかから抽出した液を染みこませることによって育てる方法がスタートしようとしていることも興味深かった。
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植物生理学が専門で、農学博士である著者は、野菜や植物に関する一般向けの書物をたくさん書いていて何冊か持ってしまっています。
植物一般に興味を持っているし、はたけが趣味で、時期によっては日々実際に野菜と接しているので、いつもいろいろ不思議を感じているため、こういう本を読むと、少しずつ保留していた疑問が解決したりして楽しいのです。
この本では、最初の4章が季節ごとの野菜や果物の話題になっていて、その最初が夏から始まる、つまり夏秋冬春(かしゅうとうしゅん)となっています。細かいことですが、私などは四季というと、春から始まるという固定観念がありますが、今年の最初頃にレンタルで見た『リトル・フォレスト』という映画でも季節ごとの4篇からなる作品で、それも夏から始まっていました。季節は繰り返すものなので、どこから始まってもかまわないという意味では、春で終わるっていうのは、これから何かが始まるイメージでなかなかいいなと思っています。
この本で面白かったことを少し書いてみると、
栗(クリ)は、同じ株に雄花と雌花が別々に咲く「雌雄同株(しゆうどうしゅ)」で、しかも同じ株に咲く花の花粉ではタネができない「自家不和合性(じかふわごうせい)」を持っており、新しく好ましい性質を持った品種ができたら、その性質を保つ方法として挿し木で増やしていくことになる。つまり、たくさん木あっても同一の遺伝子なので、タネができない(実が成らない)。そこで、その性質を損ねない似たような性質のもう一つの品種を作って、同じ場所に混在させて育てることによって、お互いに受粉しあって実を成らす事ができる。
薩摩芋(サツマイモ)の皮の内側に薩摩芋の消化を促すための「ヤラピン」という物質が含まれているという話しから思い出したのですが、例えば、葡萄(葡萄)の果実の近くには、発酵を進めるための細菌が最初から住んでいたり、そういう例には事欠きません。つまり、生物は、(多分長年の積み重ねで)分解されて別のものを作り出すのに生かされるように循環していくように連携する仕組みが出来あがっているのでしょう。
著者の田中さんは、最新の話題もフォローしていて、今回も2018年に品種として登録され、2019年(今年)から販売される予定の、砂糖を入れなくても冷えても硬くならないもちができるもち米の話題なども、その仕組みも含めて簡単に紹介してあって面白い。
植物ではないものの、キノコの話題も書いてあって、人工栽培ではおがくずが使われることが多いのですが、繰り返し使えるものはないかと、著者も関わって、おしぼりやタオルなどの繊維素材に米ぬかから抽出した液を染みこませることによって育てる方法がスタートしようとしていることも興味深かった。
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