『アフリカの難民キャンプで暮らす ブジュブラムでのフィールドワーク401日』
『アフリカの難民キャンプで暮らす ブジュブラムでのフィールドワーク401日』
(小俣直彦著、2019年、こぶな書店)
難民というと、ニュースなどで取り上げられるヨーロッパなどの先進国に避難してきた人たちを思い浮かべてしまいますが、世界にいる約2500万人のうち9割は、トルコ、パキスタン、ウガンダなどの発展途上国にいるのだそう(先人国までたどり着けるのはごく一部ということ)。
そして、受け入れる手法として最も多いのが「難民キャンプ」で、小規模なものを含めて世界に150近くあるうちの3分の2がアフリカにあるとのこと。
著者は、ロンドン大学で博士課程を取得する過程で、2008年から09年にかけての1年数ヶ月、ガーナにある、主に(14年続いた)リベリア内戦による難民を受け入れていたブジュブラム難民キャンプ(当時2万人の難民が住んでいた)に住み込んで、「難民の経済活動」を調査しました。
この本は、その調査の期間中、そこに住んでいたからこそ見えてきた、人々の暮らしぶりを、克明に伝えてくれます。
キャンプと言う名のとおり、本来は一時的な措置であるにもかかわらず、当時すでに開設から18年が経過しており(長期にわたるケースは珍しいことではないらしい)、他国にいる親族などからの送金で余裕のある暮らしをしている人がいる一方で、その日の生活にも事欠く人々がおり、中にはしたたかに起業している人もいること、さまざまな互助組織やグループが存在するなど、小さいながらコミュニティと言うか社会が形成されていること、キャンプの中で生まれ育った人もたくさんいて、アイデンティティの問題も錯綜していることや、支援体制に対する肌感覚で感じる問題点などの指摘も。
とても文章がわかりやすく、また、著者の姿勢が共感を持てるものなので、読み進むにつれて、難民キャンプの善悪を含めたいろんな面が身近に感じられ、親しみさえ覚えてくる。
もちろん、世の中のことなんて分からない(知らない)ことだらけなのですが、こうしてたまたま読んだ本によって、「難民」についてのイメージがこれまでよりも少し豊かになると、この本の冒頭に出てきた「ネットカフェ難民」とか「婚活難民」とかいった言葉が、「難民」についての極狭い範囲での理解から来る言葉であることがわかり、安易に使えないなあ、と思えるようになったのは確かです。
この本は、長年編集の仕事をしている小鮒さんという人が、「こぶな書店」という出版社を立ち上げた第一冊目として発行されたのですが、縁あって、岩国にある喫茶ヒマールが販売・宣伝部門を担っています。
岩国に住み、ヒマールに出入りするものとしては、こんな素敵な本の出版に岩国がかかわっていることがとてもうれしいし、多くの人に読まれて欲しいと思います。
にほんブログ村
にほんブログ村
(小俣直彦著、2019年、こぶな書店)
難民というと、ニュースなどで取り上げられるヨーロッパなどの先進国に避難してきた人たちを思い浮かべてしまいますが、世界にいる約2500万人のうち9割は、トルコ、パキスタン、ウガンダなどの発展途上国にいるのだそう(先人国までたどり着けるのはごく一部ということ)。
そして、受け入れる手法として最も多いのが「難民キャンプ」で、小規模なものを含めて世界に150近くあるうちの3分の2がアフリカにあるとのこと。
著者は、ロンドン大学で博士課程を取得する過程で、2008年から09年にかけての1年数ヶ月、ガーナにある、主に(14年続いた)リベリア内戦による難民を受け入れていたブジュブラム難民キャンプ(当時2万人の難民が住んでいた)に住み込んで、「難民の経済活動」を調査しました。
この本は、その調査の期間中、そこに住んでいたからこそ見えてきた、人々の暮らしぶりを、克明に伝えてくれます。
キャンプと言う名のとおり、本来は一時的な措置であるにもかかわらず、当時すでに開設から18年が経過しており(長期にわたるケースは珍しいことではないらしい)、他国にいる親族などからの送金で余裕のある暮らしをしている人がいる一方で、その日の生活にも事欠く人々がおり、中にはしたたかに起業している人もいること、さまざまな互助組織やグループが存在するなど、小さいながらコミュニティと言うか社会が形成されていること、キャンプの中で生まれ育った人もたくさんいて、アイデンティティの問題も錯綜していることや、支援体制に対する肌感覚で感じる問題点などの指摘も。
とても文章がわかりやすく、また、著者の姿勢が共感を持てるものなので、読み進むにつれて、難民キャンプの善悪を含めたいろんな面が身近に感じられ、親しみさえ覚えてくる。
もちろん、世の中のことなんて分からない(知らない)ことだらけなのですが、こうしてたまたま読んだ本によって、「難民」についてのイメージがこれまでよりも少し豊かになると、この本の冒頭に出てきた「ネットカフェ難民」とか「婚活難民」とかいった言葉が、「難民」についての極狭い範囲での理解から来る言葉であることがわかり、安易に使えないなあ、と思えるようになったのは確かです。
この本は、長年編集の仕事をしている小鮒さんという人が、「こぶな書店」という出版社を立ち上げた第一冊目として発行されたのですが、縁あって、岩国にある喫茶ヒマールが販売・宣伝部門を担っています。
岩国に住み、ヒマールに出入りするものとしては、こんな素敵な本の出版に岩国がかかわっていることがとてもうれしいし、多くの人に読まれて欲しいと思います。
にほんブログ村
にほんブログ村