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MI ジャーナル

―はたけと芸術を楽しみつつ、仮説を立てながらいろんな人と協働して問題解決を図り、子どもとともによりよい社会を目指していきたい、そんなことを考えている人のヒントになりたい―


キーワードは、農業(はたけ)・仮説実験授業・楽しさ・子ども劇場・芸術文化・冒険遊び場(プレイパーク)・チャイルドライン・協働などなど(ただし、私の中でつながっているだけで、それぞれに直接的な関係があるわけではありませんので、誤解のないようお願いします)


「MI ジャーナル」とは、Micro Intermideate Journal(マイクロ・インターミディエット・ジャーナル)。元のタイトル「農芸楽仮説変革子ども」は私の関心領域のキーワードをつないだだけだったので、2010年3月3日より、私の日々の情報発信という意味で、MI(村夏至)ジャーナルとしたのですが、2014年9月4日から、MIの意味を変えて、小さいながら何かのきっかけや何かと何かをつなぐ内容にしたいという意味の名称にしました(詳しくは、カテゴリー「21MIジャーナル」をご覧ください)。

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『クリスパー(CRISPER) 究極の遺伝子編集技術の発見』

[2018年03月12日(Mon)]
『クリスパー(CRISPR) 究極の遺伝子編集技術の発見』
(ジェニファー・ダウドナ著、櫻井祐子訳、2017年(原著も)、文藝春秋)

1712クリスパー.JPG

クリスパー(CRISPR)とは、「クラスター化された、規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)」の省略形で細菌(バクテリア)のDNAの一部の領域のことを指し、細菌とウイルスとの長い戦いの中で培われてきた防御システムの一つ。

ウイルスは、細胞壁に取り付いて、遺伝子を細胞内に送り込み、細菌の遺伝子を活用してウイルスの遺伝子を増殖させていくが、それに対抗するために、遺伝子自体の配列を変えて装飾し、自分の遺伝子を守りつつ、酵素によって外から入ってきた遺伝子を切断したり、細胞壁に取り付いたウイルスが遺伝子を送り込むためにあけた穴をふさいだり、増殖を防ぐために細胞自体が死んだりといった方法をとって防御することが知られていた。

クリスパーは、ウイルスのDNAの配列のコピーのようになっているので、ウイルスのDNAが進入してくると、クリスパーの部分を複製されたRNAが作られ、その配列によってウイルスのDNAに導かれ、隣接する遺伝子が作り出すタンパク質と協力して、ウイルスのDNAを切断してしまうという、強力なシステムとして働き、この仕組みを解明し、遺伝子編集技術への転用できることを実証した論文を、この本の著者であるダウドナさんは2012年に発表することとなる。

そういった研究・発見がさまざまな研究者との出会いや協力のもとになされていった過程を分かりやすく解説してくれると共に、後半部分では、以来、従来の遺伝子組み替え技術に比べて、低コストで効率のよい遺伝子編集技術として研究が進み、ヒトの卵細胞の遺伝子編集の可能性も出てきたため、広く関係者を集めそういった問題点について話し合うための国際会議を開催することになった経緯などについて書かれています。

研究物語として、大変興味深いのですが、一方で、技術の応用に対して、あまりにナイーブな(この言葉の本来の「無邪気な」とか、「無頓着な」といった意味で)部分が多く見受けられ、気になりました。

例えば、クリスパーを活用した「遺伝子ドライブ」という技術を使うと、不妊の遺伝子をマラリア蚊に組み込むことができ、その遺伝子は指数関数的(加速度的)に増えて、マラリア蚊を絶滅させることができる可能性があるらしいのですが、そのことについて、ある昆虫学者の、「たとえ明日蚊を根絶したとしても、生態系は一時的に混乱するだけで、やがて正常化するだろう」という意見を紹介して、「蚊を媒体とする病気のない世界を実現できるなら、行動を起こさないことは正当化できるだろうか?」と語っていたりするのです。自然界の中での蚊の存在は、マラリアを媒介するだけではなく、他の生物や自然界との関わりの中で考える必要があると思われるのですが。

また、著者も書いているのですが、クリスパーは、単一の遺伝子が関わる病気については有効ですが、多くの病気は、複数の遺伝子が関わっていてその影響がはっきりしないことや、単一の遺伝子が関わるものについても、例えば、「鎌状赤血球症患者はβグロビン遺伝子の両方のコピーを修復すれば病気を取り除けるが、マラリア抵抗性が失われる」といったように、両面性があるので、単純に遺伝子を編集するだけでいいのか、などクリアしないといけない問題はたくさんあるでしょう。

いずれにしても、最近の科学技術は、一般の生活にも影響が大きく、しかも、倫理的な問題など多岐で微妙な問題も大きく、専門家だけでは手に負えないことが増えてきています。議論の場には、科学の専門家、社会科学の専門家などのその分野の専門家だけでなく、一般の人にも分かりやすく状況を説明できるように専門家に促すなど、調整を行うことを専門とする人を養成していかないと、一方的な議論になり、より多くの人が納得できる結論に結びつかなくなってしまうのではないかと思います。


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